連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第21週「何とかしたい!」第127回 8月27日(月)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:橋爪紳一朗
「半分、青い。」127話。いよいよあと一ヶ月。どこに向かっているかさっぱりわからない
「STERA」2018年 8/31 号 NHK出版

「STERA 」2018年 8/31 号

127話はこんな話


カンちゃん(山崎莉里那)がフィギュアスケートに夢中になり、鈴愛(永野芽郁)は習わせてあげたいと考える。

アホやなあ


短期間に主要な登場人物がふたり(仙吉、和子)が亡くなり、一時は晴と宇太郎、夫婦の危機まで生んだ楡野家悲願の二号店・五平餅カフェは他人(健人と西園寺麗子)に任せることに。
そして楡野家ではにわかにスケートブームが巻き起こる。
なんたる慌ただしさ。こういう人生の断片を脚本家は「スライス・オブ・ライフ」として描いているそうだ。

家族そろって回転に挑み、ナレーション(風吹ジュン)に「アホやなあ」と呆れられる。
晴(松雪泰子)は浅田真央ちゃんの後ろから行く跳び方を再現。凝っていた。

別日(翌日?)、草太(上村海成)が夏に余った素麺を彩りよく食卓に並べる。現実世界ではちょうど猛暑がぶり返した朝。とっても癒やされるメニュー。
ちょっとひと目を避けて、食堂で草太の妻・里子(咲坂実杏)が鈴愛に相談ごと。
大地くんのおやつをカンちゃんが3:7くらいの割合でもっていってしまうので、お小遣いをあげたら? という提案のつもりだったが、鈴愛はカンちゃんにいきなり怒り出す。
じつはお小遣いをあげていて、それをカンちゃんは貯めていた(10円玉ばかりだが2008年の5才児くらいのお小遣いってそんなものなのですか?)。
それにしても小姑・鈴愛にこんな話をしないといけない里子はやりきれなかったであろう。
同情する。

休みの日なら車で送ることができる???


フィギュアスケートを習いたくてお小遣いを貯めていたカンちゃんを思い、鈴愛は律(佐藤健)に相談に行く。
なんで、律に? とはもう言うまい。そういうものなのだから仕方ない。
律はパソコンで検索して(鈴愛の家にはパソコンがないのかな)、梟町から通うことが現実的でないと言う。
またこういうときの律はとても饒舌だ。データ的な確信があると自信をもって語れる人っている。

休みの日なら車で送ることができるなどと言い出す律。休みの日には自分の子供(翼)と遊んであげてくれ。
さすがの鈴愛も律は来月大阪に帰るのだからと指摘。今度は弥一(谷原章介)が車で・・・とか言い出す。さすがの鈴愛も遠慮するが、田舎のコミュニティーってずいぶん密接なんですね。

それにしても、弥一はお茶を出し、律はパソコンとにらめっこ。
このドラマ、鈴愛も律もあまり働き者じゃない。私自身が何もしない人間なので責められないが、そういうのはよくないことだといつも後ろめたく思ってはいるので、たくさんの人の見るテレビドラマではせめて良い行いを見たい。いや、もしかしてテレビを見ている人たちはほとんどみんなちゃんとしているからドラマでは自由にふるまう主人公たちを見ることで息抜きできるのだろうか。たぶんきっとそうなのだ、うん。

「え、まだ諦めてないの? 」


律と弥一はユニゾンしたところは面白かった
鈴愛には「誰がどう考えても無理ってことを諦めないところ」があるそうだ。
そのわりには、いつも見切りをつけるのが早い気がするが、粘るとこはとことん粘り、諦めるとこはすぱっと諦める人なのだろう。

カンちゃんは鈴愛と布団に横になりながら、青いメダルが欲しいと言う(パジャマ姿でまるまって横たわるカンちゃん、かわいい)。
鈴愛は手作りの青いメダルをあげた。
今まで自分からやりたいと言ったことのないカンちゃんだから、かなえてあげたいと鈴愛の母心。

鈴愛、律、ブッチャー(矢本悠馬)、菜生(奈緒)の梟会は仙吉カフェでおしゃべり。話題はそれぞれのこどもの話。
それでなくてもいつもお客のいない〈ともしび〉に、鈴愛たちまで来なくなって大丈夫なのかと心配になるも、鈴愛たちは長らくこの町にいなかったのだから関係ないのだろう。


この場面で注目すべきは、四人の話を長らく続けず、途中、健人(小関裕太)と麗子(山田真歩)のところに鈴愛が行って別の話題で盛り上がるワンクッション置く工夫。だらだら会話が続くのを退屈に思う視聴者もこれなら飽きずに見られるのではないか。
そのうえ、佐藤健の回転。
よろけながらも、ほかの人たちより断然切れ味が良かった。

そこへ津曲(有田哲平)がやって来て・・・。彼は岐阜犬(和子)があのまま亡くなってしまったことを知っているのか。明日128話で知らされるのか、気になる!

「半分、青い。」はひとつのことをじっくり突き詰めて描かず、どんどん新しい話題に切り替えていく。絶え間ない刺激が視聴者を掴んで離さない。せわしない感じが拭えないが、退屈しないのは事実だ。
(木俣冬)
編集部おすすめ