
先日、韓国発のガールズグループであるTWICEが2019年に日本でドームツアーを行うことを発表した。ナゴヤドームと京セラドーム大阪は1DAYずつ、そして東京ドームは2DAYS行われるとのこと。
振り返れば2000年代、日本において韓国発のドラマが一大ブームを巻き起こした。そして、ソロ・アーティストではあるが、ピ(RAIN)が2007年に東京ドーム公演を行っている。だが、この頃は「韓流ブーム」という言葉が世の中を席巻していたことからもわかるように、K-POPはまだ一過性のものとして捉えられていた現実があったかもしれない。
2010年代に入ると、K-POPが根を生やしたカルチャーとなったことが、データそのもので明らかになる。数多くのアーティストが、東京ドーム公演を行いはじめたのだ。主なアーティストを紹介すると、SUPER JUNIOR(2012年、2013年、2014年)、KARA(2013年)、2PM(2013年、2016年)、少女時代(2014年)、EXO(2015年)、SHINee(2015年、2016年、2017年)……その先陣を切ったのは、2009年に行われた東方神起の公演だった。
彼らは、グループの分裂による活動休止を乗り越えて(なお、JYJも2010年、2013年、2014年に東京ドーム公演を開催)、2012年、2013年、2014年、2015年も東京ドーム公演を開催。さらに2015年からは兵役義務による活動休止もあった。しかし、2017年に復活すると、すぐさま日本で5大ドームツアーを行い、追加公演として今年6月に横浜国際総合競技場(日産スタジアム)3DAYSを開催。そして12月には再び東京ドーム公演(4DAYS)、年末年始にかけて京セラドーム大阪公演(5DAYS)を予定――と、ますます凄まじい勢いである。
そして、東方神起に負けず劣らず、東京ドーム公演の常連となったアーティストがBIGBANGだ。グループとしては2012年、2013年、2014年、2015年、2016年、2017年に東京ドーム公演を行い、G-DRAGONはソロでも2017年に東京ドーム公演を行っている。彼らの徹底的に華やかなパフォーマンスは、ある種のお祭りとして、足を運ばずにはいられない中毒性がある。
また、昨今の韓国発のアーティストに顕著な傾向といえば、グローバルな音楽性。上に記した中にも、日本やアジア圏のみならず、世界的に評価されているアーティストがいるが、それをビルボードへのチャートインという形で証明したのがBTS(防弾少年団)だ。彼らも、今年11月から日本でドームツアーを予定している。なお、東京ドーム公演は2DAYS行われる。
こうして改めて考察してみると、韓国発のアーティストは、楽曲、ライブ、キャラクター、さまざまな点において、熱心に研究を尽くしている印象がある。世界や時代の流れと、ほかにない自分たちらしさを掛け合わせ、大胆に打ち出す。ドーム公演が多い理由も、ただ単に人気がある(人気を継続している)というだけではなく、自分たちのパフォーマンスを、スタジアムの隅から隅まで届けるにはどうすればいいか? を熟考しているから、なのではないだろうか。
さらに言及すると、数多くの韓国発のアーティストが持つ、トレンドやファンの想いといった、さまざまなものをキャッチするアンテナを張り巡らせる力や、それを精巧なかたちにするスキルといった、スターに必要なある種の「器用さ」が、今、日本のみならず、世界をとらえているのだと思う。日本に関していうと、隣の国という親近感がある一方で、日本人には生み出せない魅力があるというギャップも、K-POPが人気を博し続けている理由なのだろう。
文/高橋美穂