
「ショッピングモールの歌姫」と称されるシンガーソングライターの半崎美子が今年9月6日に発売したシングル『明日を拓こう』の発売記念コンサートを11月4日(日)に自身初となる東京国際フォーラムホールAにて行った。
“北海道からどんぶらこ~海越え国越え明日越えて~”とのサブタイトルのついた今回のコンサートは、ホールAの大舞台を存分に利用した映像演出により、一つの映画を観ているような迫力とストーリー仕立て。
1曲目はアカペラで始まった「稲穂」、スクリーンには大きな稲穂が揺らぎ、茜色に染められていく。早くも観客は映像と半崎の歌声に圧倒される。続いて第一興商の企業CMソングとなった新曲「生まれる前から」から、アコーディオンソロから始まるジャジーなナンバー「ふたりの砂時計」へ。
MCでは、今回のコンサートのテーマを語りつつ、9月のインドネシアでのインストアライブの際に同国に忘れてきたマイクが1ヶ月をかけて、海越え国越え今日戻ってきました!と語ると会場から大きな拍手が!

その後、多くの人が半崎を知るきっかけとなった楽曲NHKみんなのうたで放送された「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」を披露。続く「空の青」と「深層」では、「あなたが遺した時間を私はいま生きている。それはあなに支えられて生きているということ。あなたと共に生きているということ。」という半崎からのメッセージが映し出され、曲が始まるとステージ前後にある大きなスクリーンを使って空と海の対照的だが合い通じる幻想的な青い世界に観客は引き込まれて行った。
そして両親への想いを綴った歌「永遠の絆」を披露した後、地方のご当地ソングとして書いた「大阪恋しぐれ」を自ら前口上を挟みつつ、関西弁の歌をパフォーマンス。弾き語りで短く新曲を披露した後、母への思いを綴った歌「母へ」を熱唱。
ここで今回のコンサートの音楽監督を努めた武部聡志氏を呼び込み、武部氏がアレンジを手がけた「明日への序奏」を彼の情感溢れるピアノ伴奏でしっとりと歌い上げた。その後、ステージの映像ではメッセージボトルは海を渡りインドネシアに流れ着く。

次にメッセージボトルは台湾へ流れ付く。若くしてお子様を亡くされた方に書いた楽曲「明日へ向かう人」が台湾ではNHKワールドで紹介され、同様の境遇の視聴者からメッセージが半崎に届いたというエピソードを語り、「明日へ向かう人」を披露した。
続いてメッセージボトルは沖縄に着き、沖縄に住む半崎の姉、朝子がVTRに登場。これまでの半崎のコンサートでは必ず出演を果たして来た彼女だが、今回は客席で見ているとのことだった。しかしその後「愛の讃歌」の途中でドナドナに切り替わり、牛に扮した朝子が登場し会場は笑いの渦に包まれた。
その後のアップナンバー「天国三丁目」でお待ちかねのキャノン砲で金テープが発射! 観客は予め用意していた小さな旗を振り大いに盛り上がった。
そして、いよいよ「サクラ~卒業できなかった君へ~」ではスクリーン一面に桜吹雪が舞い、立体的な映像演出と、空にのぼっていく桜の花びらは、半崎美子の歌に込めた思いそのものと重なり、多くの観客が涙していた。
続いて今回のコンサートのタイトルにもなっている「明日を拓こう」へ。同曲はNHK札幌の「北海道クローズアップ」のテーマ曲として書き下ろした楽曲だったが、9月5日の発売日の翌日、9月6日に北海道胆振東部地震が起こり、その後この歌の持つ意味が少し変わったと言う。「今は北海道、宮城、熊本、だけでなく、インドネシア、台湾でも地震や災害は絶えず起こっている。
そしていよいよ本編最後、今回のテーマを締めくくる曲となったのが、「あの海に帰りたいなら」。半崎は「今日集まってくれたお客さんもそれぞれ違った場所に生まれたが、ここにたどり着いてくれた。事務所に日々届く手紙。感情を持った波はうねりとなって私のところに届いた。互いの川が合流するように出会ったから、ここから一緒に大きな広い海に出よう」と語り、歌い始める。最後には、川を流れるメッセージボトルからまばゆい光と共に綺麗な蝶の群れが飛び立ち、舞い、暗転と共に半崎の姿が消えた。

その後湧き上がるような拍手と共にアンコールが巻き起こり、半崎が再び登場。そして自分の生きてきた道が、誰かのしるべになるようにと願い、インディーズの頃に書いた楽曲「道しるべ」を披露。最後は「感謝の根」で絶えない感謝を伝えながら最後を締めくくった。観客は総立ちのスタンディングオベーション! メンバー全員が手をつなぎ、お辞儀をすると惜しみない拍手が続いた。
彼女の歌には全てストーリーがある。その物語が、どこでどのように生まれ、旅をしていったのか、それを映像の見事な演出もさることながら、人の心を揺さぶる歌で伝えた。常に観客を飽きさせない工夫や努力を積み重ねる半崎美子。5000人であろうと一人一人に届ける姿勢は、ショッピングモールのライブと変わらない彼女の在り方だ。
なお、この11月4日のコンサートの模様は、MUSIC ON! TV(エムオン!)のオトナ向けライブコンテンツ『オトナ、LIVE。』として2019年2月に独占放送が決定している。(番組に関する詳細は、番組特設サイトにて後日発表)
また、この放送を記念して、スカパー!でMUSIC ON! TV(エムオン!)をお楽しみいただいている方を対象としたプレゼントキャンペーンを12月より開始予定、本キャンペーンに関する詳細は、決まり次第MUSIC ON! TV(エムオン!)公式サイトにて案内される。
≪セットリスト≫
1. 稲穂
2. 生まれる前から
3. ふたりの砂時計
4. お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~
5. 空の青
6. 深層
7. 永遠の絆
8. 母へ
9. 明日への序奏
10. 種
11. 明日(あす)へ向かう人
12. 愛の讃歌
13. 天国3丁目
14. サクラ~卒業できなかった君へ~
15. 明日(あした)を拓こう
16. あの海に帰りたいなら
<ENCORE>
1. 道しるべ
2. 感謝の根