
――【seven oops】インタビュー前編より
「こう聴いてもらいたい」みたいなのは今の時代に合っていないような気がする
──それにしても曲調も歌詞も、すごくいいバランスのアルバムですね。
KEITA:テンポ感とかリズムの感じは、だいぶ意識しました。
──「夏のロマンティカ」のようなラテンの曲があったり。
KEITA:これは歌詞から作った曲で。“恋の罪”っていう言葉を、どうしても使いたかったんです。サビの冒頭の<終わらない夏の誘惑は ただふたりの恋の罪>っていう歌詞に合わせてメロディーを探して探していったという感じですね。そうなると、ちょっと熱いアップビートの曲だなと思ったんですけど、ただのアップビートじゃつまらないからラテンっぽくしてみようってことで。
──イントロのギターからしてカッコいい。
NANAE:カッコいいですよね。心躍りますね。
MAIKO:KEITAはメキシコとのハーフなので。
──DNAでしょうか。
KEITA:かもしれないです。
MAIKO:この曲、今回一番楽しく叩けた曲なんです。これまでseven oopsのレコーディングはわりと期間が長くてゆったりやれたんですけど、今回はパツパツで。アレンジがレコーディング当日に仕上がってくることも多くて。もともとたたき込まなきゃできないタイプなのに、覚える時間が限られたなかで必死にやったんですね。特に「東京」とか「なにくそー! 構成、覚えらんねぇよー」って感じで、かなりキツかったんですけど。「夏のロマンティカ」はラテンなので。ラテンって曲を知らなくてもノれちゃうところがあるじゃないですか。ただコーラスはきつかったです。まぁこの曲に限らずですけど、コーラスはそれだけで聴くと音痴みたいな変な音階で。これ、あってる?みたいな。
KEITA:他のサウンドと混ざって初めて効果が出るコーラスになっているので。

NANAE:この曲、私もまっ先にアルバムに入れよう!と言ったくらい好きな曲なんですけど。
MAIKO:歌えないヤツに言われるとムカつく(笑)。
NANAE:きーっ!みたいな(笑)。じゃ、お前がやれよーって思いながら。でも曲を作った人のイメージって、曲を完成させるには絶対的じゃないですか。ただ歌い終わって完成したのを聴いたとき、苦労したぶん可愛いなって感じて。
──ボーカリストからすると「記憶」の歌詞はどうですか?
NANAE:あら、やだっていう。
MAIKO:やらしいっす。
──この曲は男性目線の歌詞ですね。
NANAE:その試みも初めてで。“僕“っていう言葉は初めて。
KEITA:初めての“僕”なので、ちょっと振り切ってみました(笑)。
MAIKO:KEITAの私情が入った。
NANAE:完全に実体験が。
MAIKO:“イタズラな愛撫”ですから(笑)。
NANAE:取材でこの曲の話になったとき、KEITAがこの歌詞を私たち2人に見せるのが相当恥ずかしかったっていうのを知って。彼のなかでもかなりのチャレンジだったんだろうなって。
KEITA:だってすぐわかるじゃないですか、実体験って。
MAIKO:実体験じゃないと、こんな歌詞出てこないでしょ。
──でもこういう歌詞って日本では少ないですけど、海外の曲ではわりとありますよね。
KEITA:多いですね、ストレートに表現するの。それを今のタイミングならやってもいいかなって。
──曲調で言うと、ケイジャンミュージックっぽい「fun!」も楽しいですよね。
KEITA:箸休めじゃないですけど、一旦ここでリフレッシュしてから「この島で」にいくみたいな。なので意外と重要な立ち位置にある曲なんです。軽快なアップテンポの楽しい曲ではあるんですけど、アルバム全体としては絶対ここにいないといけない曲だから。

──また「モノポリー」はちょっとブルージーな曲で。
KEITA:そうですね。独占欲にまみれた女性が主人公の、ちょっと熱い歌詞なんですけど、ソロ回しで賑やかしの声を入れることで、あまり重くならないように仕上がったのかなって。
MAIKO:MICHIRUの声も入ってます。普通はよっぽどのことがあって脱退と思われるかもしれないですけど、ウチらは今もめっちゃ仲良くて。
KEITA:賑やかしを入れることになってすぐLINEしましたから。
MAIKO:そのくせ、まるで弾いたかのようになってる(笑)。
──タイトルの「songs for...」は、どんなところからつけたものですか。
KEITA:1曲1曲のテーマはしっかり出来ていたし、伝えたいメッセージもうまく歌詞に当てはめることができたなと思って。でも最近の音楽の聴き方は昔と変わってきてますよね。それこそアルバム1枚をスピーカーの前に座ってゆくっり聴くこともなかなかないし。通勤通学、ジョギングや家事をしながら、街なかでBGMとして、みたいな聴き方がほとんどで。だからこそ曲の受け取り方も歌詞の響き方も、人によっても違うし、同じ人でも環境によって違うんだろうなって。そうだとしたら、こちらから「こう聴いてもらいたい」みたいなのも今の時代に合っていないような気がして。“songs for”のあとは、聴いた人に埋めてもらえばいいと思ったんです。
──たしかにそうですね。
KEITA:ですよね。もうプレイリストで自分だけのアルバムを作れちゃいますからね。
──でもこのアルバムは聴いてもらいたいです。「東京」から始まって、いろいろあって最後に「この島で」にいきついて、そしてまた「東京」を聴く。それがすごくよかったです。
KEITA:僕もです(笑)。でもそうやって聴いてもらえたら、本当に作った甲斐があります。嬉しいです。
――【マイ旬】地方でのライブの後は必ず誰かの部屋に3人集まって『荒野行動』