株式会社メンヘラテクノロジーが、女子学生と社会人の食事会をセッティングするサービス「MM(ミリ)」をローンチすることを発表した。同サービスに対して、「実質的なパパ活サービスではないのか」「就活セクハラ(企業の採用担当者やリクルーターなどによる就活生へのセクハラ)の温床になるのではないか」といった批判が寄せられているが、そういった声にメンヘラテクノロジーが答えた。
社会との距離を縮めたい女子学生のためのサービス

現在、事前登録を受け付け中の「MM」は、「社会との距離を縮めたい女子学生のための食事会セッティングサービス」。女子学生の「気になっている業界の社会人に会いたい」「自分の視野を広げるために、いろんな社会人の話を聞きたい」といったニーズを満たすものだと説明されているが、一体なぜ学生を女子に限定しているのか? ネット上では、「パパ活や就活セクハラを促進させるサービスではないか」という批判が噴出。ビジネスSNS「Wantedly(ウォンテッドリー)」においてメンヘラテクノロジーのアカウントが停止される事態にもなってしまった(その後、「Wantedly」側に事業内容を改めて説明したことによりアカウント復活)。
一体メンヘラテクノロジーは、どのような意図で「MM」を運営しているのか? 問い合わせた結果をお伝えするが、結論から言えば、メンヘラテクノロジー側にパパ活促進の意図は一切なく、むしろ就活セクハラなどのトラブルが起きないように尽力しているらしい。
女子学生に限定している理由は?
メンヘラテクノロジー代表取締役である高桑蘭佳さんは大学時代、大学という狭いコミュニティの中だけで生活していることにより息苦しい思いをすることが多かった。しかし、フリーライターとして活動をスタートしたことによって、学外の人間との接点が増えて、視野が広がり、自分を肯定できるようになった。その実体験をもとに、経験や自信のなさから1歩踏み出せない女子大生に向けて、「会社説明会やインターンシップ、OBOG訪問よりももっとカジュアルに社会人と接点を持つ機会」として「MM」を生み出したそうだ。
しかし、なぜ女子学生に限定しているのか? まずひとつめの理由が、「まだまだ日本の社会では女子が不利になる場面が多いと感じ、何かサービスを作るなら、女子の役に立つものがいいと思ったから」。次に「女子学生と男子学生ではキャリアに関して知りたいことの傾向が少し違うように感じ、女子限定にすることである程度、話題の幅を絞ることができると思ったから」。3つめが「飲食店への送客手数料をもらうビジネスモデルであるため、検証を行う観点から女子学生が好みそうな飲食店との提携を進めているから」。あくまでメインターゲットは女子学生だが、今後、男子学生も登録できるようにすることも検討中らしい。
もちろん社会人ユーザーとして女性が登録することは可能だ。
「しかし、女子学生が進みたいと考えているキャリアに現状女性が少ない場合も多く、女子学生の将来の選択・視野を狭めることにつながるため、女性社会人に限定してはいません」
だが、社会人ユーザーが女子学生と知り合うメリットは存在するのだろうか? やはり出会い目的なのでは……?
「社会人を対象にアンケートをとった結果、『学生と情報交換をしたい』『学生の考え方を知りたい』『学生のキャリアを支援するような活動がしたい』という声がありました。フリーライターのヨッピーさんが開催した『おっさんの全オゴリで学生様にタダ酒を飲んで頂く会』(今年4月に都内にて開催。
安全対策もしっかり用意
しかし、いくらメンヘラテクノロジーが女子大生をエンパワメントする意思を持っていようと、システムを悪用する人間が現れるかもしれない。そんな不安も覚えたが、運営側できちんと安全対策を用意しているらしい。現時点で、
・食事会は原則、「学生2名以上」対「社会人2名以上」で行う。
・食事会当日までは参加者同士直接やりとりを行わず、「MM」が全て仲介する。
・食事会を行うのは、「MM」と提携している飲食店のみ。
・連絡先の交換、個別での接触を強要された場合は、「MM」へ申告するように学生側にアナウンスする。
・選考への影響を匂わせるなど悪質な場合は、「MM」から会社へ通告する旨を学生、社会人に周知する。
・ユーザー同士のレビュー制度を設け、悪質なユーザーは即利用停止にする。
といったルールが設けられている。最後に「就活セクハラを助長させる可能性についてどう考えているか?」という質問に対して、メンヘラテクノロジーはこのように回答した。
「就活セクハラを助長させるつもりでサービスを始めたわけではありませんでしたが、誤解を招いてしまいました。サービスの背景や詳細な説明が足りなかったため、お気持ちを害された方がいたり、多くのご指摘をいただいたことについて、お詫びいたします。ご指摘はきちんと受け止めてサービスに反映させていきたいと思っています。とくに新卒採用に関わる社会人からのセクハラ問題は、サービス立ち上げ当初から課題として捉えています」
(原田イチボ@HEW)