
BREAKERZのギタリストAKIHIDEが11月からスタートした、全10都市16公演を廻るNAKED MOONツアー。今回のツアーはAKIHIDEのアコースティックギターと唄による独創をメインとしたライブとなっており、そのツアーファイナルにあたる12月23日の三井ホール公演はX'mas Editionとして、これまでのツアー内容とは一味違うスペシャルな一夜となった。
シルクハットを被ったAKIHIDEがステージに登場し席へ着く。まず1曲目「White Christmas」が演奏されるとAKIHIDEの後ろに映し出されたのはツリーの形をした電飾。まさにクリスマスエディションにぴったりな幕開けとなった。「メリークリスマス」と挨拶代わりに一言、そのまま「Ghost」へと続く。冒頭はこれまで廻ってきた今ツアー同様AKIHIDEのソロステージだ。
「NAKED MOON - X'mas Edition - へようこそ。NAKED MOONツアー廻ってまいりました。シンプルな編成で体温を感じていただけるようなライブをしてまいりました。今夜はそんなライブと、そしてクリスマスエディションとして、カラフルな音の景色もお届けしたいと思います。最後まで楽しんでいってください」と挨拶をしたAKIHIDE。
続いてはAKIHIDEが敬愛してやまない久石譲氏の「風の通り道」をカバー。合奏と違い一人で演奏するというのは、その時心に浮かんだ情景を自由にその場のフィーリングで音に表すことができることだとAKIHIDEは言っていた。


アルバム『ふるさと』より、冬にぴったりなインスト楽曲「待雪草」を披露。雪の深い中最初に芽を出し希望の春を知らせる花、待雪草。移ろいゆく季節の情景をアコギ一本で描き、響かせる。
6月に6枚目のアルバム『機械仕掛けの遊園地 -Electric Wonderland-』をリリースしたAKIHIDE。ライブ冒頭に演奏した「Ghost」もその収録曲だが、今回のソロライブにあたりアレンジをし直し、練習を重ねたそう。しかしそれが楽しく、また新たな発見が生まれたと話していた。そんなアルバムの中から「ブリキの花」、そしてソロステージラストはアルバムでも最後を飾っている「夕凪のパレード」を披露した。
AKIHIDEの作品のモチーフとしてよく使われるのが “月”や“雨”、そして“夕焼け”だ。地元八王子の夕焼けが綺麗で、そんな地元の景色は音楽を作る上での原風景となっていると、今回のNAKED MOONツアー初日の地元・八王子公演でも話していた。優しく温かいAKIHIDEのギターと唄に背中を押された気がした「夕凪のパレード」だった。


ここまではソロステージとし、1人で演奏をしてきたが、ここからは素敵なミュージシャンの皆さんとデュオタイムだ。
続いて小林氏が「戦場のメリークリスマス」を曲繋ぎで演奏し観客を沸かせた後、そのまま次の楽曲「Lapis Lazuli」へと移る。AKIHIDEのギターカッティング、そして小林氏は曲後半にはピアノを弾きながらのボイスパーカッションパフォーマンスで魅了した。
続いてはNAKED MOONツアーを一緒に廻った今回の相棒とも言える、ベーシスト砂山淳一氏と共にセッション。AKIHIDEのソロプロジェクトには欠かせない存在で、またバンドマスターとしてAKIHIDEバンドを支えてきた。そんな砂山氏と一緒に演奏する曲は「影踏み」。ウッドベースの低音が加わり厚みを増すメロディー。そしてコーラスでもAKIHIDEのボーカルも支える。
2曲目は「月夜のララバイ」。昨年秋から今年の夏まで四季をコンセプトに開催されたシーズンライブで初お披露目された楽曲だが、2人バージョンにアレンジされまた一味違った楽曲に、そしてツアーを廻りさらに息の合った演奏を届けてくれた。
デュオコーナーの最後はパーカッショニスト豊田 稔氏を迎え、届けられたのは、今までの雰囲気とはガラリと変えたナンバー。「聖なる夜にあってはならないような……。それは今日やめよう?っていうような曲を演奏したいと思います。『Battle』」とAKIHIDEから曲紹介された。アツく激しい演奏テクニックのぶつけ合いに目と耳が離せなかった。デュオコーナー最後の1曲は「LION」で、これまたカッコいいアレンジに豊田氏の唯一無二のパーカッションが光る。


デュオコーナーも終わり最後は全員集合!ここからはカラフルな音楽を届ける……と、その前に今回のツアーで各会場恒例となっていたAKIHIDEと砂山氏の紙粘土企画の話へ。突如始まったこの企画だが、各地でテーマを募集し、そのリクエストに応えて製作をしてきた2人。今回はせっかくなので小林氏と豊田氏にも挑戦してもらい、いままで作ってきた作品たちと共にクリスマスツリーのオーナメントとして、特別に会場にて飾られて来場者にお披露目された。これもまたクリスマスエディションらしい、素敵な企画となった。
「オーナメントだけでなくやはり音楽でクリスマスをお届けしなくてはなりません!」と演奏されたのはジョン・レノン「Happy X'mas」のカバー。4人の演奏で届けられる色とりどりメロディー、そしてステージのバックに灯されたツリーも輝き、耳だけでなく目でもクリスマスを感じられる、そんな1曲となった。
続いてクラップを煽り、前向きな朝顔をテーマに込めた1曲「朝顔のマーチ」。各ソロパートではクリスマスらしい旋律を盛り込んだりと、今日ならではのアレンジで楽しませる。さらに恒例となっているクラップゾーンでは速いテンポに観客がついてこれるか心配していたが、その必要はなかったほど完璧で、クラップによりさらに一体感が生まれた。
「今日はNAKED MOON - X'mas Edition - にお越しいただき本当にありがとうございました。最後にお贈りするのは、随分昔に作って心の奥の引き出しにしまってあった大切な曲をお届けしたいと思います。皆さんが歩んでいる日々、その日々の中、大切な時間の中、今日こうして会場に足を運んでくださいました。皆さんが歩んできた日々、その道のりはいろんなことがあったと思います。素敵な景色の道もあれば、望まざるとも進まなくてはいかなかった道、時には大きな壁や崖や山など、そんな皆さんだけの道で皆さんだけの日々があって、そうして今日ここで繋がっていて、そのおかげでこうして今日同じ時間を過ごすことができました。何かを手にして、無くして、それの繰り返しかもしれませんが、無くすこともきっと意味のある今日につながる大切なカケラだったのだと僕は思います。今日からこの先たくさんの長い道を歩くと思います。


アンコールで再び登場したAKIHIDE。「今回ツアーを廻ってきて、ギターと向き合う時間がすごく有意義だった。ギター1本と自分というのが原点的で、ある意味挑戦的だった」と告げ、「ギターと出会い、ギターがくれた夢や縁でこうして皆さんと出会えました。皆さん本当にありがとうございます」と改めてファンへの感謝の気持ちを述べた。
1人で、ギター1本で何かを奏でられるようになりたいと思ったのは、病院で寝たきりの生活を送っていた知人のためにと思ったのがきっかけで、その方がチャンスをくれ、それが種となり作品を作っていってできたのが「Lapis Lazuli」だったと言う。それと同じように誰かに曲を贈りたいと思った時に沖縄の祖母へ捧げた曲「Okinawa」を披露した。沖縄らしいメロディーの中に沖縄の様々な情景が浮かぶ1曲だ。
再びミュージシャンの皆さんがステージに登場。砂山氏がサンタ帽を被って登場し「あれ? そんな仕込み聞いてなかった! スナサンタがいる!」とびっくりなAKIHIDE。砂山氏の粋なサプライズだった。
今回のツアーでは新曲はやらず、これまで発表してきた楽曲のみであったが、音のプレゼントを皆さまにと、いままで披露したことがなかったという1曲を初披露した。
最後はやはりこの曲。AKIHIDEのソロライブでは一番演奏されている曲である、定番曲の「黒猫のTango」もクリスマスアレンジで会場を大いに沸かせて、特別な一夜を締め括った。
(取材・文/内山美夏海[Being])
≪セットリスト≫
01.White Christmas(cover)
02.Ghost
03.風の通り道(cover)
04.待雪草
05.ブリキの花
06.夕凪のパレード
07.Namida
08.Lapis Lazuli
09.影踏み
10.月夜のララバイ
11.Battle
12.LION
13.Happy X'mas(cover)
14.朝顔のマーチ
15.ノスタルジア
-ENCORE-
01.Okinawa
02.青空
03.黒猫のTango
≪イベント情報≫
【増崎孝司(DIMENSION)presents『the LOUNGE 2019』 feat. 柴崎 浩 & AKIHIDE(BREAKERZ)】
2019年1月14日(月・祝)神奈川 Motion Blue yokohama
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