
ニコニコ動画などで人気を集めている男性4人組グループ・浦島坂田船に所属するうらたぬき、あほの坂田による“うらさか”ユニットの東名阪ツアー『URASAKA KINGDOM~To kiss princess~』が14日、東京・Zepp Tokyoでファイナル公演を迎えた。
この日のステージセットは、白を基調とした王宮を思わせるステージで、設置されたモニターの横には、まさに王宮に古くから使われていたような気品溢れる“王座”が左右に2脚置かれていた。


ライブは「プリンセスに口づけを」から始まり、「ノンファンタジー」「ロメオ」と、クリエイターユニットHoneyWorksが手掛けた人気曲を立て続けに披露する。「ロメオ」は振り付けもあり、歌いながらそれぞれプロポーズをするかのような動きをすると、客席からは黄色い歓声が上がった。知っている人には余談になってしまうが、この3曲には<僕だけのプリンセスに口づけを>だったり、<愛するために僕は僕に生まれて/君は現れた愛されるために>、<僕のお姫様にね なってください>といったTHE 王子様なフレーズの数々が登場する。観客一人ひとりが“プリンセス”を体感できるこの序盤から、既に観客の心を強く掴んで離さないーー。そんな甘いシーンが次々に生まれていた。
会場中をメロメロにしたかと思えば、坂田は最初のMCで怪談でお馴染み、稲川淳二風の小話を披露し、観客の笑いを誘う。そこに、うらたがすかさずツッコミを入れ、打てば響くような、テンポの良い会話が繰り広げられる。それもそのはず、彼らはおよそ10年来の付き合いなのだ。

『この「URASAKA KINGDOM」は、みなさんが参加してくれないと完成しないライブなんです。今日は一緒に盛り上げて、一緒に完成させましょう』(坂田)と挨拶し、2人はそれぞれステージ両脇の階段を上って王座へついた。それを合図に、「ハイヒール・プリンセス」のイントロが流れ始める。すでに2人による歌ってみた動画も投稿されているが、この公演のためにセリフがアレンジされていた。『今日は俺とうらたさんがお前たちをしつけてあげるから、覚悟しておくことだな』(坂田)、『俺が好きなお前らなら、このぐらい言えて当然だよな?』(うらた)とSっ気たっぷりに挑発し、プリンセスたちを甘く翻弄した。
『初めまして、俺だけのフィアンセ』とうらたが呼びかければ、朗読劇の始まりだ。2人はスタンドマイクの前に立ち、セリフを読み上げていく。長い眠りから覚めた王子が、街で一目惚れしたフィアンセと愛を育んでいくというストーリー。聴いているだけで照れ臭くなるシーンがありながらも、朗読劇に聴き惚れていたオーディエンスは、2人が台本を閉じる音で意識を引き戻された。そう、王子とフィアンセの運命の物語は、ステージ上でまだ続いている。そのまま、<幸せになろう>のセリフが印象的な楽曲「フィアンセ」を歌い上げ、前半パートを締めくくった。

公演はオリジナルVTRを挟んで、後半へ。


中盤のMCでは、恒例の男の子・女の子コール。『男の子―!』と煽る場面では、数こそ女性陣に大きく劣るものの、力強い男性リスナーの声に2人が感動する一幕もあった。その後はバンドメンバーがドラゴンクエスト風のインストを奏で、うらたは勇者、マントを羽織った坂田は王様、という設定でトークを繰り広げる。これは、RPGを題材にした人気曲「しんでしまうとはなさけない!」の、贅沢かつ壮大な曲振りでもあった。

それぞれのソロ曲「スクールボーイ」「Life goes on」を、この日は2人で歌唱する特別ver.で披露。特に「Life goes on」においては度々、客席にマイクを向け、会場中に響き渡る歌声を堪能していた。

『URASAKA KINGDOMをこうやって開催できたのは、みなさんのおかげです』(うらた)。一方坂田は『最初の頃は(2人での活動について)いろいろ言われたりもした。今回も応募が少なかったらどうしようかと怖かった』と不安だった気持ちを吐露しながらも、『本当に感謝しています。ありがとうございます』と力強く締めくくった。
鳴り止まないアンコールに応え、2人は再度ステージに登場。ライブでは定番ソングとなっている「イノコリ先生」では、会場に満ちるコール&レスポンスの声によってライブが完成されていく。名残惜しそうにトークを挟み、『全てを辿れば、元は俺たち2人で』『いつもそうやって戦ってきた』『2人は、せーの』『最強ライバル』。そんな曲振りのセリフですら、グッとこちらの心を掴んでくる。一筋縄ではいかない、けれどかけがえのない、10年の重みを感じた。計20曲を歌い終えた2人はステージ中央の扉から満足気に退場し、URASAKA KINGDOMの幕は降ろされた。

URASAKA KINGDOMの幕がまた開く日は来るのだろうか。未来のことは誰にもわからない。だからこそこの日、満遍の笑みで歌う2人の姿を忘れず、そしてこの先も2人に着いて行けば、ずっとずっと楽しい景色を見せてくれるはず。
取材・文/ヒガキユウカ(プレスラボ)
<セットリスト>
01.プリンセスに口づけを
02.ノンファンタジー
03.ロメオ
04.ハイヒール・プリンセス
05.恋をしよう
06.夢ファンファーレ
07.世界の真ん中を歩く / あほの坂田
08.フィアンセ
09.テオ / うらたぬき
10.ユメミドリ
11.WAA!!!!
12.アウトサイダー
13.しんでしまうとはなさけない!
14.スクールボーイ
15.Life goes on
16.かいしんのいちげき!
17.ダンスロボットダンス
18.コンティニュー
ENCORE
EN1.イノコリ先生
EN2.最強ライバル