
約2年ぶりにリリースしたアルバム『JAPRISON』を引っさげて、全国ホールツアー『SKY-HI TOUR 2019 -The JAPRISON-』を開催中のSKY-HI。その2公演目を2月9日に、彼の地元でもある千葉県・市川市文化会館 大ホールにて行い、雪混じりの悪天候にも関わらず集まった観客へ最高のショーを届けた。
アルバムのタイトルになっている“JAPRISON”という言葉は“JAPAN +PRISON(刑務所)”と“JAPanese Rap IS ON”を意味する造語。そのコンセプトを音源化したのがアルバムであれば、そこに視覚を加えて体感させるのが今回のツアーだろう。オープニングからコンセプチュアルな演出を施し、一気にボルテージを上げるという感じではなく、徐々にその世界観に引きずり込んで行くような幕開けだった。歌うSKY-HIの姿ではなく、1曲1曲のリリックに集中させるようなステージングで、まさに“JAPanese Rap IS ON”。彼の綴るイケてるラップで観客を乗せて行く。


とはいえ、SKY-HIのライブの見どころのひとつであるラップとダンスの融合を封印したわけではない。前半でしっかりと今回のライブの軸を提示すると、徐々に華やかなエンターテインメント要素を融合させて行き、気がつくといつの間に音に合わせて踊り、声を上げている自分に気づくという展開。しかも中盤は『JAPRISON』の楽曲を中心に構成されていて、この約2ヶ月、耳のみで感じてきた楽曲たちが、初めて目でも感じられる喜びも相まって高揚する気持ちを抑えきれない。生のバンド&ホーン隊が発する音や、ダンサーとの掛け合い、目の前でこれでもかと見せ付けられるラップスキルなど、ライブだからこそ感じられる瞬間が繰り広げられる。途中、SKY-HIの衣装替えのタイミングで披露されるダンサー陣による寸劇風のパフォーマンスも、箸休めにはならないハイレベルなクオリティで観客たちを楽しませていた。


ライブも後半に入ると、楽しさと華やかさのギアがさらにアップ。コール&レスポンスで観客も楽曲の一部となり、会場の一体感は増して行く。

そんなライブのエンディングを飾ったのは『JAPRISON』と、その導入となった配信アルバム『FREE TOKYO』のキーとなった曲たちだった。改めて、アルバムに込めた想いも口にするSKY-HIの言葉に真剣に聞き入る観客たち。ここまで『JAPRISON』の世界を体感してきただけに、より一層、その言葉が心に染み入った。

終わってみれば全37曲をパフォーマンス。フルコーラスのものあれば、サビだけというものもあるのだが、とてもバランスがよく、あっという間に終わった感じがするのに、満足感が半端ない。最初から最後まででひとつの物語を観たような流れがありながら、前半と後半では全然違うテンションの自分がいて、その点でも素晴らしいライブだった。
取材・文/瀧本幸恵
<ツアー情報>
SKY-HI TOUR 2019 -The JAPRISON-
2019年2月17日(日)静岡・富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
2019年2月24日(日)宮城・東京エレクトロンホール宮城
2019年3月1日(金)福岡・福岡サンパレス
2019年3月10日(日)広島・広島文化学園HBGホール
2019年3月17日(日)北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
2019年3月23日(土)神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
2019年3月30日(土)長野・長野ホクト文化ホール 中ホール
2019年4月6日(土)石川・本多の森ホール
2019年4月7日(日)愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
2019年4月24日(水)大阪・フェスティバルホール
2019年4月30日(火・祝)東京・中野サンプラザ