本部からの人員削減プレッシャーをかけられた台東支店。
営業先から「暗い」とイヤミを言われ、先輩からいじられ、原島浩美(真木よう子)からも「笑顔、心がけてみたら」なんて言われた結果、「明日から急に暗い顔すんなとか言われても出来るわけないでしょ!」と失踪してしまう。
浩美や、期の窓口係・松田葉子(西野七瀬)に説得され銀行に残ることを決めるが、台東支店長が提示したクビにならないための条件は、吉田が地道に足を運んでいた営業先「ディスカウントショップ・タバタ」への50億の融資を成立させることだった。
原作のおいしいシーンばかりを切り貼りしたような構成のせいで、ストーリーの流れがよく分からなくなるでお馴染みの本作。
しかし今回は話自体がコンパクトなこともあり、色々と欲張らず「管理職というわりには、独断専行で動きまくる浩美が、部下を育てる」という話に集中し、比較的すんなりと話が分かる回だった(毎回分かるように作れよという感じではあるが)。

椿鬼奴と西野七瀬とジャニーズの無駄遣い
キラキラネームをつけられたせいで自信がなく、仕事もできない、自分の意見を主張することもできなかった吉田は、唯一の特技・プラモ作りの特性を活かした地道な作業で「ディスカウント・タバタ」の問題点を見つけ出す。
結果、イケイケな社長・田端章夫(水橋研二)の求める、50億を融資してのイケイケドンドンな拡大路線ではなく、5億円の融資で仕入れルートの確保、イントラネットの導入といった現状の問題点を改善する地道な方向性を提案する。
吉田の、元ヤンらしき母親役が椿鬼奴だというのも最高だし、「剣」と書いて「ブレード」(原作では吉田茂)というのが、あだ名かと思いきや本名だったというのもスゴイ伏線だ。
ただ、せっかく椿鬼奴というナイスなキャラを出演させているのだから、もうちょっとストーリーに絡ませて欲しかったとも思うが。
また、吉田が松田葉子に対して好意を抱いているという設定も、「銀行に残る」と決心する際にチョロッとしか活かされていなかった。つくづく西野七瀬ちゃんの無駄遣いだ。
無駄といえば、関ジャニ・丸山隆平演じる加東亜希彦も、失踪した吉田を探しに行ったり、終盤に励ましの声をかける程度にしか使われていない。ジャニーズの無駄遣い!
田端社長は「50億借りた場合の金利」を問い合わせていたはずなのに、いつの間にか「いくら貸してくれるか」という話にすり替わっていた点も気になった。
あ、こう書き出すと、結構不満点もいっぱいあったな。
しかし、これまでまったくと言っていいほど印象にのこっていなかった吉田役の森永悠希が、いい「気弱キャラ感」を出していて、細かい粗にめをつぶれば、彼の成長物語としては上手くまとまっていたのではないだろうか。
なんとこのドラマ、4Kで放送されていた
ドラマ全体を通して描きたがっていると思われるのに、イマイチ本筋のストーリーに絡んでくるんだか絡んでこないんだか中途半端な、頭取 vs 島津副頭取(柳葉敏郎)のバトル。
今回も副頭取一派は「リストラのプレッシャーを与えて台東支店に問題を起こさせる」という罠を仕掛けていたのだが、まんまと吉田が失踪するというビッグな不祥事を起こしているのにもかかわらず、その情報をキャッチできていないボンクラさよ……。
浩美と副頭取一派が直接絡むシーンも皆無だったし、これだったら「頭取 vs 副頭取」という要素を取っ払って、台東支店長あたりを敵役にしちゃった方が分かりやすかったんじゃないだろうか?
最後にものすごい余談だが、このドラマ、なんと「BSテレ東4K」にて4K画質バージョンも放送されていてビックリした。
妙に不自然で、いつも気になっている「よつば銀行台東支店」の外観も、4Kで見ると、どこかのビルに「よつば銀行」という看板を雑に合成しただけだというのが丸分かりなのだ。
こんな、予算が少なくてセットにお金をかけられていなそうなドラマを4Kで放送しなくても……。
色々と新たな(粗の)発見があるので、4Kの視聴環境のある人は4Kでも見て見よう!(BSテレ東4K・金曜21:00〜)。
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・ネットもテレ東
・Paravi
・TVer
『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!〜この女に賭けろ〜』(テレビ東京)
原作:周良貨(原作)夢野一子(作画)『この女に賭けろ』(講談社刊)
脚本:西田征史
演出:星野和成、小野浩司
オープニングテーマ:NEWS「トップガン」(ジャニーズ・エンタテイメント)
主題歌:スガシカオ「遠い夜明け」(Victor / SPEEDSTAR RECORDS)
音楽:信澤宣明
プロデューサー:稲田秀樹・阿部真士(テレビ東京)・八巻薫(MMJ)
制作:テレビ東京、メディアミックス・ジャパン