ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

「OUR MIC FES」開催記念 ファンキー加藤特別インタビュー(後編)


ソロデビュー5周年を迎えたファンキー加藤。彼がこの度、自分と近いスタイルである、楽器を持たない、ダンスをしない、バックトラックと歌唱にて自分の唄を贈るスタイルのシンガーやグループを一同に介した主催フェスティバル『OUR MIC FES』(:アワーマイクフェス)を8月31日に新木場STUDIO COASTにて開催する。前半ではソロデビューからの5年間について話してもらったが、インタビュー後半では本日、全出演アーティストが発表になった「OUR MIC FES」について語ってもらった。

「どこも自身の居場所じゃない」アウェイのなかで歌い続ける理由


ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――先日、加藤さんと近しい音楽性のHilcrhymeのMC TOCさんに取材をしたんです。その際に「ヒットした時にすごくアンチに叩かれたけど、そこから10年、それをし続けた今は誰からも叩かれなくなった。認められたかもしれない反面、やや寂しい気もして。賛否両論が自分をスキルアップさせる原動力のひとつだったから」とおっしゃって。それがどこか加藤さんと重なったんです。

ファンキー加藤:自分たちも恐らく近しいこと、「こんなんヒップホップじゃない」や「ヒップホップを冒とくしている」等々、音楽性への物言いがあったし、それに関しては、自分ではあの頃から今でも自身の音楽スタイルは居場所がない気はずっとしています。デビュー前からヒップホップのイベント等に出ても、ロックバンド系のフェスに出ても、どこも自身の居場所じゃない気がずっとしてますから。だけどそれは悪いことだけではなくて。だからこそ、「そこに自分の爪跡や風穴を開けてやりたい!」「自分のアイデンティティを残してやる!」みたいなものも同時に生まれたのも事実なんです。そこで、「ファンキー加藤やファンモンを実際に初めて観たけどヤバい!」って感じてくれる方が現れたりするのが、一番のガッツポーズが出る瞬間だったりもするし。「飛行機は向かい風があってこそ飛べる」って例えがあるじゃないですか。

――なるほど。

ファンキー加藤:向かい風を受けないと追い風の中だけでは飛べない。その言葉を信じながら、いまだアウェイを感じる場所では歌ってます。もちろん時にはへコんだりもしますよ。
ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――そこで思い出したのが、以前ファンモンが初めて日本最大級のロックフェスに出た際にしてくれた話。当時、「そんなに持ち時間はなかったけど、今までで最も疲れたライブだった」と教えていただいたんです。

ファンキー加藤:それこそあの時はまさに賛否両論でしたから。品定め的に観ている大勢の方々の前で、自分たちをきちんと最後まで魅せる。そんな気概に満ちてました。でも、ちゃんとそこに足跡を遺せた自負もあって。「いやいや、負けねぇぞ!」って。

――その時のフェスでの全日の動員数の最多がファンモンだったことも振り返ると面白いです。

ファンキー加藤:バッシングやアンチも含め、知名度だけはありましたから。だけど、あのステージは本当にプレッシャーが大きかったです。

最初は乗り気じゃなかった主催フェス 「自分は永遠のチャレンジャーだから」


ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――今回の『OUR MIC FES』なんですが。加藤さんと同じシーンのアーティストたちと一緒に、ある意味、居場所を作っていくという目的もあるんじゃないかと。ラインナップ的にそう感じました。

ファンキー加藤:これは僕の主観的な想いなので、今回イベントの趣旨に賛同して参加して下さるアーティストさんたちがみなそう思ってくれているであろうことを前提に答えさせてもらうと。どこか我々のように楽器を持たざるミュージシャンにはコンプレックスがある気がします。かといって、「フリースタイル・ダンジョン」に出る勇気もない(笑)。そんな方々が心地良くイベントに参加できる場所を作りたかったのは事実です。

――いよいよ、という感じもしましたし。その辺り非常に加藤さんらしいフェスだなと実感もしました。

ファンキー加藤:まだまだこれからが勝負ですが。実はこのフェスも事務所の人との雑談から生まれた話で、当初はそんなに乗り気じゃなくて。話していくうちに自分でもだんだんと熱を帯びてきて。気づいたら「よし、やろうか!」と(笑)。でも、ある種、「自分っぽくないかもな……」って気も実はしていて。

――それは?

ファンキー加藤:自分は「永遠のチャレンジャー」的な存在だとずっと自覚していて。その方が自分のモチベーションも保ちやすいし。毎日デビュー戦みたいな感覚でここまで来たので、旗振り役には向いていないだろうと。いかんせん、そのスタイルの方が好みだったので。でも、よく考えたら自分もデビューから15年も経ち、年齢も40歳を超え、下手したら中堅の域をも超えてますからね。気づけば周りには、「学生の頃聴いてました!」や「ファンモンに影響を受けました!」なんて嬉しいことを言ってくれるアーティストもたくさん現れてきだして。

――冥利ですね。

ファンキー加藤:とは言え、反面そこで悩んじゃって。旗を持ったら、以後チャレンジャースピリッツが失われてしまい、ディフェンシングチャンピオンになってしまうんじゃないか? と。だけどそれ以上に、例えば20代前半から中盤までの年齢のデビュー当時の俺が今いたとして。こんなイベントがあり、それを諸先輩がやっているとなったら参加したいし、何よりも心強いんじゃないかなって気持ちの方が勝って。結果、ようやく重かった腰を……(笑)。でも、立ち上がったからには倒れませんから。
ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――「俺が道を切り拓いてやるから、安心してそこを進んでいけ」と。その役を担う決心をしたわけですね。

ファンキー加藤:まずはそんな活動における息苦しさやコンプレックス等を感じることなく、参加者全員が居心地のいいライブができ、本来の自分を発揮できる。そして終わった後には笑顔で帰れる場所を創ろうと。なので、今後それが道になっていくのかは分かりませんが、アントニオ猪木さんを習って「迷わず行けよ、行けばわかるさ」「その一歩が道になる」の精神でいきます。

お客さんの敷居はめちゃくちゃ低く、誰でも来やすいフェスに


ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――朋友やベテラン、同世代もですが、これからの新人アーティストが比較的多いのも目を惹きました。

ファンキー加藤:まずは繋がりがあるアーティスト、それから慕ってくれる後輩たち。その辺りは大きいですね。あとは関東だけでなく、その土地中心にきちんとそれらに根ざした活動をしているアーティストとか。その中でも特にSEAMOさんは呼びたくて。も今も現役でライブがかっこいいのはもちろん、「TOKAI SUMMIT」というSEAMOさん主催のフェスを実際に長きに渡り行ってきた方だし。あと名古屋では「塾長」と呼ばれるぐらい、多くのこのジャンルのアーティストを育ててきた先人だったりもしますからね。

――新人に関してはいかがですか?

ファンキー加藤:正直、フェス実施の発表後に「出たい!」「出させてくれ!」との立候補が結構くるんじゃないか? と期待してました。だけど一部のみで。なかなか勇気がなくて言いづらいのか、ツイッターでフォローやいいねをしてくるレベル留まりで。逆に「自分に是非気づいて声をかけて下さい」状態(笑)。さっきも言った通り、かなり地方色が豊かでもあるので、これを機に各地のこの手の音楽シーンの盛り上がりへの起爆になって欲しいとの願いも込もってます。
ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――ご自身としては、どのようなフェスにしたいですか?

ファンキー加藤:お客さんの敷居をめちゃくちゃ低くしたいです。基本、出演するみなさん、分かりやすくてシンプルな音楽だし、ストレートな応援ソングを歌う方々ばかりなので。元気になれるし、笑顔になれる曲を歌っているアーティストばかり。なので小難しく考えることなく会場に遊びに来て欲しいです。これだけのメンツが揃っていれば、帰り道必ず笑顔になって帰路につけることを保証します。あと、アーティスト同士の縦や横のつながりの発生や育成も楽しみです。なかなかこのジャンルはアーティスト同士で呼び合い、対バンライブが実現しにくいんですが、これを機に今後みんなで上がっていけたらなと。でもステージ上は真剣に、各アーティスト「このイベントで俺らが一番ヤバい!」というのを見せつけて欲しいです。何よりも俺自身がそこに気を張ってますから。誰にも負けませんよ!

――近い音楽性のアーティストだからこその差別化も難しそうですね。

ファンキー加藤:そこなんです。ほかのロックバンドとのイベントやフェスだと居場所はないけど、異質なので目立つことができる。だけど、このように近い音楽性の者同士がぶつかるとなると、演者側のハードルは上がりますよね。頭も気も使ってぶつかり合って欲しいです。
ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水

――ステージに立つ勇気と伝えたいことがあるなら、今後の若手のフックアップにもいいフェスになりそうですね。

ファンキー加藤:それこそマイク一本握ればそこがステージになる。「OUR MIC FES」は、そのような意味合いと願いを込めて作ったので。

――ある意味、それってヒップホップの原点でもありますよね。

ファンキー加藤:確かに。いわばブロックパーティみたいなものですから。これはきっかけでしかないので、ここから何か生まれてくれたら嬉しいです。まず一発目は湖に投げる小石ですから。それが波紋を呼び、岸に着する頃にはどうなっているのか? どこにたどり着くのか? そこも踏まえて今から楽しみです。是非みなさん、それを確かめる意味も含めて遊びに来て下さい。門戸広くお待ちしております。
ファンキー加藤、ソロデビュー5年目で主催フェスをやる理由「居場所がない自分が居場所をつくる」
撮影/川島彩水


取材・文/池田スカオ和宏 撮影/川島彩水
編集/日野綾(エキサイトニュース編集部)

ファンキー加藤さん直筆サインポラを2名様にプレゼント!


『OUR MIC FES』の開催を記念して、ファンキー加藤さんの直筆サインポラを抽選で2名様にプレゼントいたします。

応募方法は下記の通り。
(1)エキサイトニュース(@ExciteJapan)の公式ツイッターをフォロー
(2)下記ツイートをリツイート
応募受付期間:2019年6月24日(月)20:00~7月8日(月)20:00まで

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皆さんのご応募をお待ちしております!
(エキサイトニュース編集部)

イベント情報


OUR MIC FES
日程:2019年8月31日(土)
時間:OPEN 13:45 / START 14:45 / CLOSE 20:00(予定)
会場:新木場STUDIO COAST
出演者:
ファンキー加藤
ET-KING/大田クルー/寿君/SEAMO/シクラメン/Jam9/スカイピース/Skip the Chips/スメルノマニア/SOLIDEMO/TRUMP/next,tight/ハジ→/バカムスコ翔/ぱんち☆ゆたか/THE BEAT GARDEN/ベリーグッドマン/メロフロート/ヤルキスト/Rafvery/ONE☆DRAFT
(※敬称略/五十音順)
http://m.funkykato.com/r/ourmic_fes/

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