ハリー・ポッター「名前を言ってはいけないあの人」 実際はどれくらい呼ばれている?

先日、位置情報サービスを利用したARゲーム「ハリー・ポッター:魔法同盟」が日本でもリリースされた。

「Pokemon Go」などを開発したナイアンティック社によるこちらのゲーム、ストーリーはマグル(※魔力を持たない人間)社会に溶け込んだ魔法使いとして奮闘するというもので「ホグワーツ魔法魔術学校に通いたかった」と考えたことのあるすべてのマグルに夢を与えてくれるものとなっている。


すでにファンの間では広まっているゲームだが、今回はそのリリースを記念して、いちハリポタファンとしての積年の疑問を調べたい。

それは「名前を言ってはいけないあの人、名前呼ばれすぎでは」問題である。

ハリー・ポッターにあまり馴染みのない方のために簡単に解説すると、ハリー・ポッターにはヴォルデモートという宿敵がいる。そして、彼は魔法界ではとにかく「名前を言ってはいけない人」とされている。

なぜ宿敵なのか、なぜ言ってはいけないのか、名前を言うと何が起きるのか、といった詳細な説明は本編で確認してほしいのだが、とにかくヴォルデモートという名前を言うことが魔法界においては信じられないぐらいのタブーだと理解してもらえれば問題ない。そして「タブーのわりに名前呼ばれているのでは?」というささやかな疑問が今回の出発点だということを理解してもらえれば幸いだ。

というわけで、今回はハリー・ポッターシリーズの闇の帝王・ヴォルデモート卿について調べていきたい。

名前を言ってはいけないあの人、どれくらい呼ばれているのか?


今回はハリー・ポッターシリーズのなかでも映画のみを対象とし、脚本中にどれくらい「ヴォルデモート」というセリフが登場したかを調査した。

さらに「名前を言ってはいけないあの人」をルール通りにきちんと名前を言わずに呼んだ場合とあわせて、その割合を出してみたのが以下である。
ハリー・ポッター「名前を言ってはいけないあの人」 実際はどれくらい呼ばれている?
【ハリー・ポッター映画調査 vol.1】名前を言ってはいけないあの人、どれくらい名前を言われたのか

名前を言われた 45.9%
名前を言われなかった 54.1%

闇の帝王、わりと名前を呼ばれている。ほぼ半数は名指しである。

ギリギリのところで名前を呼ばれないケースが過半数を超えてはいるが、タブーというにはあまりにも名指しのことが多く、魔法界のタブーをいま一度見直すべきではないかというのが個人的な意見である。

名前を言われないときの呼び方としては「帝王」「闇の帝王」「あの人」などが一般的で、逆に「名前を言ってはいけないあの人」と呼ばれていることはほとんどなかった(確かに「名前を言ってはいけないあの人」というのは呼び名としては長すぎるので、どれほど恐ろしい相手であってもなんとかして省略したいという気持ちはわからないでもない)。


これ以外にもヴォルデモート卿の本名などで呼ぶケースも一部あり、フィクションの登場人物としてはかなり呼び名・あだ名の多い人物だとも言えそうだ。

名前を言ってはいけないあの人、特に名前を呼ばれたのはいつ?


では続いて、ハリー・ポッターシリーズのうち、特にヴォルデモートの名前が呼ばれたのはいつなのかを見てみよう。

ハリー・ポッターの映画シリーズは、スピンオフであるファンタスティック・ビーストシリーズを除いて全部で8本公開されている。それぞれの作品において「どれくらい名指しで呼ばれたのか」の割合を出してみたのが以下である。
ハリー・ポッター「名前を言ってはいけないあの人」 実際はどれくらい呼ばれている?
【ハリー・ポッター映画調査 vol.2】名前を言ってはいけないあの人が特に名前を言われたのは?

1位 ハリー・ポッターと賢者の石 90.91%
2位 ハリー・ポッターと秘密の部屋 88.24%
3位 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 66.67%
4位 ハリー・ポッターと炎のゴブレット 58.82%
5位 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 24.14%
6位 ハリー・ポッターと謎のプリンス 45.83%
7位 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 29.41%
8位 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 16.67%

最も名前で呼ばれなかったのはシリーズ完結編である「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」、逆に最も名前を呼ばれていたのはシリーズ1作目である「ハリー・ポッターと賢者の石」という結果になった。

これは映画や原作に触れたことがある方なら分かるかもしれないが、後半につれて次第に魔法界の状況が深刻になっていくことに関係している。

最初の頃は魔法界も長閑(のどか)なので、「名前を呼んではいけない等という風潮はよくない」といった意見もあるのだが、時間が経つにつれて段々それどころではなくなっていき、最終決戦の頃には、どれほど勇気がある人間であってもほぼヴォルデモートという名前を直接口にすることはなくなっている。

映画としては「ヴォルデモートの名前が出てこない作品であればあるほど、シリアスな雰囲気の作品」とも言えるので、ぜひどのエピソードを見るか迷ったときは上記の数字を参考にしてもらえればと思う。

名前を言ってはいけないあの人、一番口にしたのは誰か


それでは最後に、「名前を言ってはいけないあの人」の名前を最も連呼したのは誰なのかを見てみよう。
ハリー・ポッター「名前を言ってはいけないあの人」 実際はどれくらい呼ばれている?
【ハリー・ポッター映画調査 vol.3】名前を言ってはいけないあの人の名前をよく言ったのは誰か

1位 ハリー・ポッター 27回
2位 アルバス・ダンブルドア 11回
3位 シリウス・ブラック 5回
4位 トム・リドル / ハーマイオニー・グレンジャー 4回
5位 リーマス・ルーピン 3回

最も多かったのは我らが主役のハリー・ポッター。2位を引き離しての圧倒的である。

2位以下の人物についてはダンブルドアを始めとした“ハリー・ポッターの良き理解者”とも言える大人たちがランキングを占めている。逆に、ハリーの同級生はほぼ名前を呼ぶことを避けており、唯一ヴォルデモートと名指しすることを恐れなかったのは作中でも人気の高いハーマイオニーだけである(余談だが、もうひとりの主要人物であるロン・ウィーズリーは映画内でまったく名前を呼んでいない)。


4位のトム・リドルを除いたすべての人物が“勇気”を信条とするグリフィンドール寮出身だという点もファンとしては注目したいところである(トム・リドルは2作目の「ハリー・ポッターと秘密の部屋」に登場する謎の人物だが、あまり触れるとネタバレになるのでここでは詳しい言及を避けたい)。

いずれにせよ、こういった細部にまで徹底した世界観が、ハリー・ポッターシリーズの魅力のひとつだと言えるだろう。

というわけで、今回の調査はここまでである。原作は2007年、映画が2011年に完結を迎えているが、今回のゲーム「ハリー・ポッターと魔法同盟」や、スピンオフであるファンタスティック・ビーストシリーズ、USJのウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターなど、まだまだ作品の盛り上がりは続いている。あまり今まで触れる機会がなかった方も、ぜひこれを機に原作や映画などを通じて魔法界に触れてもらえればと思う。

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

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