「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

「どうでもいい日常のニュース」や「ひらがなばらえてぃ」など、斬新なアイデアとユーモアが光る動画でTwitterで度々話題になるなど、多くの視聴者を楽しませている気鋭の動画クリエイター・わっきゃい。“帰国子女”や“現役京大生”といったエリート然とした肩書きをもつ彼だが、「無駄なことが大好き」「令和は超つまらない時代であってほしい」など、その発言は実に奔放かつユニークだ。そんな彼の飄々とした人柄の奥に隠された、“かけがえのない日常”を愛するピュアな思いに迫った。

取材・文/曹 宇鉉(HEW) 撮影/稲澤朝博
編集/日野綾(エキサイトニュース)

寡作ゆえに「打率10割」を目指す異色のクリエイター



わっきゃいの動画クリエイターとしての活動スタイルは、多くのクリエイターのそれとは明らかに一線を画している。3年前にYouTubeで初めて“キャップ投げ”を披露してから、これまでにアップロードした動画はわずか50本ほど。それでもチャンネル登録者数は35万人を超え、ほぼすべての動画が圧倒的な高評価を受けている。彼が発案した“キャップ投げ野球”は、各大学にチームが誕生する室内スポーツに拡大。

そして身近なできごとをニュース番組風に切り取った「どうでもいい日常のニュース」は、毎月多くの視聴者を楽しませている大人気シリーズだ。

「僕は極端なまでの面倒くさがり屋なので、単純に動画の本数をあまり出せないんです(笑)。月に1本でも厳しいくらいで、だからこそひとつの動画で視聴者に『また見たい』と思わせなきゃいけない。それがなかなか難しいところではありますね」
「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

実にあっけらかんと寡作であることを認めるわっきゃい。「風邪で1日投稿を休んだだけで文句を言われる人がいるなかで、僕の場合は月に2本動画投稿しただけで『そんなに頑張らなくてもいいですよ!』『無理しないでくださいね!』と言ってもらえるんですよ」と笑う彼だが、ほぼ毎日なにかしらの動画を公開するという一般的な“動画クリエイター像”からかけ離れたマイペースな活動には、当然ながらそれなりのリスクがつきまとう。

「僕のやり方はある意味ではすごく効率的かもしれませんけど、その分ひとつの動画がコケたときのダメージはほかのクリエイターとは比較になりません。月1本の動画がダメなら、その月の動画すべてがダメだった、ということになりますから。毎日動画をアップする人は3日に1本当たればいいのかもしれませんけど、僕は打率10割を目指さないといけない。空振ってしまったら次の月は生活ができないので、そう考えると多少のプレッシャーはありますね」

“凡退”が許されない環境の中で、わっきゃいは言語表現の一つひとつを練りに練って、字幕の表示のタイミングも0.01秒単位で調整するという。その言葉へのこだわりは、コピーライティングという異なる業種でも存分に発揮されている。大手コンビニチェーン・ローソンが8月6日に発売した『悪魔のコーヒー』のパッケージに記載された「#甘すぎる練乳川柳」。わっきゃいが考案した「追い込んで 高めに浮いた スライダー」という一句は、「とんでもない甘さが伝わってくる」とネット上で大きな話題を呼んだ。

「コピーライティングは自分でも得意分野だと思います。このコピーの仕事は名前を伏せてやっていたんですけど、僕の知らないところでいつの間にかバズっていて(笑)。最初に依頼された内容は『甘すぎる』という言葉で締める、というものだったんですが、この商品の甘さを直接的に表現するのはちょっと違う気がしたんです。多くの人に伝えるための広告ではなく、あえて野球を知っている層にしかわからない“狭告”にすることで、『これはたしかに甘いわ』と感じてもらえるような表現にしようと考えました。その結果が、『追い込んで 高めに浮いた スライダー』だったんです」

どうでもいい「日常のニュース」は幼少期の絵日記の続き



自己満足であったとしても、わっきゃいは幼少期から「自分が面白いと思うこと」には決して妥協しないタイプだった。彼ならではの笑いのセンスや鋭敏な言語感覚は、子供のころに熱中していた絵日記にルーツがあるという。

「小学校のころ週末に通っていた日本語の補習校に絵日記の課題があったんですけど、大喜利みたいな感じで必ずオチをつけるような文章構成にしていました。もちろん、完全に自己満足です(笑)。アメリカの学校にもデイリージャーナルというのがあって、書いた内容に対して先生のレスポンスが返ってくるんです。そこで先生をちょっと笑わせてみたり、イジってみたり……。子供のころは絵日記の“ガチ勢”でしたね。今やっている『日常のニュース』もその延長というか、僕は広義の日記だと捉えています」

アメリカ・ロサンゼルスで少年時代を過ごしたわっきゃい。彼が絵日記やキャップ投げ、そして全米オープンで優勝したフルコンタクト空手に熱中することができたのも、トーランス統一学区の自由でおおらかな空気によるものが大きかったのかもしれない。
「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

「今にして思うと、育った環境はすばらしかったですね。僕が住んでいた地域は白人が3分の1、アジア系が3分の1、黒人とヒスパニックが3分の1くらいで、人種を気にしない風土ができていました。それ以外にも、とにかく“気にしなくていいこと”がすごく多いんです。ファッションにしても、成績にしてもそうですね。僕の服装への美意識の低さは、子供のころの生活に由来していると思います(笑)。

アメリカの高校はほとんどが公立なので、勉強ができない子もハーバードに行くような子も同じ学校に通うんですよ。それでも、なにかを熱心にやっている人はきちんとリスペクトされる世界観でした。勉強にしてもスポーツにしてもいろんな趣味にしても、各々が楽しい形で、自分が得意とする部分を磨いていく感じです。そんな環境だったので、僕自身も育っていく過程で他人と自分を比べたりはしませんでしたね。本当に好きなことをのびのびとやっていました」

ロサンゼルスで充実した生活を送っていたわっきゃいだったが、大学への進学を機に日本に移住。合格した大学がエリート揃いの京都大学というあたりが、彼の規格外のポテンシャルをよく表している。

「アメリカでの生活に刺激がなくなってきたんですよね。のほほんとしすぎていたというか、特に苦労をしたということもなかったですし、好きな友達と好きなことをやることに飽きちゃった部分はあるかもしれません。国ごと変えてしまったら親元からも離れることになりますし、自然と独り立ちできるかな、という考えもありました。逆グローバルというか、日本人が大学で海外に行くのとあまり変わらないかもしれませんね」
「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

受験の結果が気になるあまり、「ありえないくらい髪がパッサパサになっていました(笑)」と当時を振り返るわっきゃい。とはいえ意気揚々と入学した大学では、アメリカと日本のカルチャーギャップを感じることも多かったという。

「良いところも悪いところもどちらもあるとは思うんですけど、同調圧力というか、意外とのびのびできないんだな、ということを知りました。もちろん、日本ならではの美点もたくさんあります。薬局とかでよく店の外に商品が陳列されていますけど、海外なら『盗んでくれ』って言っているようなものですから。夜中に1人で出歩けるほど治安もいいし、人間同士の信頼関係を感じます。あと、アメリカは広大すぎてかえって行動範囲が狭くなっていたんですけど、日本は気軽に全国どこへでも足を運べるのがすごく楽しいですね」

「令和は超つまらない時代であってほしい」



わっきゃいと話をしていると、言葉や所作の一つひとつから、自分自信の個性や能力をきちんと信用していることが伝わってくる。「ダメなところもたくさんありますよ!」と自らを客観的に評価しながらも、ルサンチマンをまったく感じさせないところが人間的な魅力につながっているのかもしれない。“才能の無駄遣い系クリエイター”と称されることも多い彼だが、そのことについても「僕、無駄なことが大好きなんですよ」とユニークな持論を語ってくれた。

「生物のなかで、『生きる』という目的と直接関係のないことを楽しめるのって人間だけじゃないですか。人間とほかの生物の違いって、根本的には無駄を楽しめるかどうかだと思うんですよ。キャップ投げや日常のニュースにしても、よく『無駄なことをして、時間がもったいないよ』と言われるんですけど、僕からしたら『なんでせっかく人間に生まれてきたのに、無駄なことをしないの?』と思います。僕は今後も胸を張って無駄を楽しんで、いろんなことを面倒くさがりながら生きていきたいですね。なんなら、僕の動画を見ている時間が一番無駄かもしれません(笑)」
「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい

無駄なことができる時代を「恵まれている」と表現し、さまざまな娯楽に多くの人が熱中している状態を「平和の象徴」だと語るわっきゃい。そしてあらゆる無駄な娯楽を、より多くの人が気兼ねなく楽しむことができる時代になればいい、と希望を明かした。

「令和は歴史の観点から見て、超つまらない時代であってほしいですね(笑)。僕、教科書に載らなそうな退屈な時代がすごく好きで。未来の歴史学者から見たときに、『この時代なんもねえな!』っていうのが理想です。『タピオカが流行った』とか『手持ち扇風機が流行った』とか、本当に素晴らしいことだと思うんですよ。僕が作っている日常のニュースも、言うまでもなくニュースにするような内容じゃない。でも、だからこそすごく気に入っているんです」

今後の展望を聞くと、わっきゃいは「やりたいことをやりたい」と彼らしい言い回しでざっくりとした目標を語ったあと、意外な本音を打ち明けてくれた。

「僕、こう見えて大真面目に『いじめをなくしたい』とか『世界を平和にしたい』と考えてしまうタイプの人間なんですよ。現実的に難しいこともあるかもしれないですが、なんとかそれに近づくための力になれたらいいな、と……。『どうでもいい日常のニュース』にも、みんながみんなの“どうでもいいけど、かけがえのない日常”を送るための力に少しでもなれたら、というテーマがあるんです。僕がこうしてクリエイターとして活動していられるのも、ある意味で超つまらない、平和な時代だからこそだと思うので」
「どうでもいい日常のニュース」に込めた平和への思い 異色の動画クリエイター・わっきゃい


プレゼント応募要項


エキサイトニュース×UUUMのインタビュー連載を記念して、わっきゃいさん直筆サイン入りポラを抽選で2名様にプレゼントいたします。

応募方法は下記の通り。
(1)エキサイトニュース(@ExciteJapan)の公式ツイッターをフォロー
(2)下記ツイートをリツイート
応募受付期間:2019年10月1日(火)~10月16日(日)18:00まで

<注意事項>
※非公開(鍵付き)アカウントに関しては対象外となりますので予めご了承ください。
※当選者様へは、エキサイトニュースアカウント(@ExciteJapan)からダイレクトメッセージをお送りいたします。その際、専用フォームから送付先に関する情報をご入力いただきます。
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(エキサイトニュース編集部)

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