「誰かの手で水をかぶると過去へ、自分の手で水をかぶると現在へ」タイムリープする『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』(テレビ東京、毎週水曜25:35〜)。これまでさまざまな依頼を羽衣(大原櫻子)が能力を使って解決してきたが、いよいよ残り2話。

大原櫻子「びしょ濡れ探偵水野羽衣」母との思いがけない対面11話
イラスト/よねこ

ラストに向けて加速するナンセンス


福引きで残念賞の「つぶしカレーパン」しか当たらないヤンさん(ヤオアイニン)を横目に、1等を当て、「ついてるわ」とつぶやく謎の女。サングラスにマスク姿のその女が4日連続で1等を当てているから調べてほしいという依頼が兄・淳之介(矢本悠馬)の元に舞い込んだ。依頼者は福引きの受付をしている遠藤(渡辺佑太朗)とつぶしカレーパンをつくるパン屋(芹澤興人)だ。

と、今回は比較的まっとうに謎を追求するストーリーだが、食事する場で流れるニュースが「クアッカワラビーが一斉に真顔に」だったり、そこである詐欺にひっかかったと気付いた父(大堀こういち)がなぜか怒りと焦燥のあまり自分の歯を抜くというおそろしくも意味のわからないシーンがたっぷり尺をとって流れたり、ヤンさんが鯖缶を食べつつ鯖を見に行きたがるという執着を見せたり……。ナンセンスぶりは随所に潜んでいる。

妻への思いと兄妹の関係性


Paravi版では父がひっかかった詐欺の方がフィーチャーされる。詐欺師・鷺沼を演じるのは、最近舞台『ウエストサイドストーリー』でも活躍するレロマネスクTOBI。いかにも怪しい風貌がハマっている。父はホテルを格安でビルに建て替えられると誘われてお金を渡し、パン屋は「つぶしカレーパン」がヨーロッパで大ブームで、日本での販売権を独占できると言われてひっかかったというもの。互いに「失踪した妻に帰ってきてほしい」という同じ理由でひっかかったのだった。

そんなこんなで、福引き1等の謎はファーストキスを無理やり奪われた遠藤が、「ついている」と思わせ女をパチンコに依存させるために仕組んだものとわかる(複雑だな……)。そしてそこで、女が羽衣と淳之介の母(ふせえり)であることが判明する。まさに「濡れ手についたアワとアワがつながった」状態!
途中、詐欺にあった父親の姿を見て「家族が苦しんでていても助けられない」としょんぼりする羽衣。
淳之介が「お前は十分いろんな人を助けてるよ」と慰め、これまでの依頼の光景が次々流れる。やっぱりこの兄妹の関係性がよくて、不意に温かい気持ちになってしまうんだよな。
意外と近くにいた母との対面は一体どうなるのか、最終回は今夜。
(釣木文恵)

「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」
出演:大原櫻子、矢本悠馬、大堀こういち、ヤオアイニン
企画:ブルー&スカイ、加藤伸崇
脚本:ブルー&スカイ、村上大樹、テニスコート、金井純一
監督:草野翔吾、金井純一、長野晋也
チーフ・プロデューサー:山鹿達也
オープニング曲:マカロニえんぴつ「surpernova」
エンディング曲:大原櫻子「I am I」
編集部おすすめ