山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

2014年の連載開始以降コミックス累計発行部数2,500万部を突破し、現在はTVアニメ第4シーズンが好評放送中の超人気コミック『僕のヒーローアカデミア』(原作・堀越耕平)。観客動員数139万人、興行収入17.2億円の大ヒットとなった劇場版第1弾から約1年半後となる2019年12月20日、最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が全国東宝系でロードショーされる。

本作は「デク」こと緑谷出久をはじめ、爆豪勝己、麗日お茶子、轟焦凍ら雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たちが全員集結。“次世代のヒーロー育成プロジェクト”の一環として日本のはるか南の島『那歩島(なぶとう)』へ期間限定で研修赴任する。穏やかな島の暮らしに溶け込んでいた彼らだったが、突如島を襲来した史上最凶の敵(ヴィラン)・ナインによってその平和は次々と破壊されていく──。キャラクター原案も手掛けた原作の堀越氏が「ある意味ヒロアカの最終回」とも語る、想像を超えた興奮と感動の大作だ。

今回は、「デク」こと緑谷出久役を務める声優・山下大輝にインタビュー。物語の主人公役として、デクと爆豪勝己、そして雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たちとの絆について聞いた。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

取材・文/原田イチボ(HEW) 撮影/稲澤朝博 編集/日野綾(エキサイトニュース)

デクとかっちゃんは「同じものを目指すからには負けたくない」


山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――作品テーマのひとつである、「PLUS ULTRA(プルス・ウルトラ)」という言葉。今回の最新映画で、とくにPLUS ULTRAだと思うポイントはどこですか?

前作で“師弟の共闘”という展開が大きく盛り上がったうえでの第2弾なので、制作チームもすごくプレッシャーを感じていたと思います。今回は戦闘シーンがものすごく多くて、中盤からは、ほぼずっと闘っているんじゃないかな。僕から言えるのは、アフレコがとんでもなく大変だったということです(笑)。キャスト全員やりきった感がすごかったと思うので、それぞれのキャラクターのPLUS ULTRAな部分をぜひ観てほしいです!

――今回は、デクと爆豪の関係にスポットライトが当たっていますね。2人が共闘するシーンを演じるにあたり、爆豪役の岡本信彦さんとは何か打ち合わせをしたのでしょうか?

いや、何も話し合っていません。アフレコ当日に「今日めっちゃ叫びますね~」「喉死にますね~」と会話したくらいです(笑)。デクとかっちゃん(爆豪)って今まで何度もぶつかってきましたが、意外と似たもの同士なところもけっこうあるんですよ。お互いとくに言葉を交わさなくても「じゃあこういうふうに連携しよう」ととっさに判断できる瞬発力を持ち合わせているし、本当はめちゃくちゃ相性抜群なんだと思います。

今回、かっちゃんがデクの手を取って敵に向かってぶん投げるシーンがあるんですが、昔のかっちゃんだったら、自分ひとりで敵に向かっていた気がします。でも今のかっちゃんは、そのほうが勝率が高いと判断したのでしょう。それはデクの力を認めてくれたということでもあります。お互いのことを理解する関係になってきたんだと感じました。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――デクと爆豪の関係をどのように解釈して演じていますか?

テレビアニメ第61話『デクvsかっちゃん2』で本音を聞いたところから、デクにとってかっちゃんは、「同じものを目指しているからこそ、真正面から向き合わなければいけない」と感じる存在になったんだと思います。「同じものを目指すからには負けたくない」というライバル心が沸き起こったというか。

物語序盤はかっちゃんの圧に対して引いてしまう芝居が多かったんですが、『デクvsかっちゃん2』からは、デクも引かなくなりました。普段は相変わらず大人しいんですが、「でも!」と向かっていくことも増えました。そして、かっちゃんもデクが食い下がることをわかったうえでやっている気がするんですよね。そういった点では、2人の距離がすごく縮まったのを感じています。
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――デク役を演じるうえで、難しさを感じる部分はありますか?

う~ん、ブツブツ言うところかな(笑)。ヒーローオタクでもあるデクは、ヒーローの話題になると止まらない。デクにとっては当たり前の知識をしゃべっているんですが、僕にとっては初めての単語なので、大変なんですよね。あと実は、轟くん、八百万さん、麗日さんって名前がなかなか言いにくい(笑)! 現場で意外と鬼門な3人です。

キャラクターと共に役者の絆も深まっていく


山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――『ヒロアカ』では、“意志を継承していくこと”が大きなテーマになっています。山下さんの声優人生において、オールマイトのような存在を挙げるとすれば誰でしょうか?

僕にとっては、声優業界はオールマイトだらけです(笑)。新人の頃は、オールマイトに囲まれながらアフレコをしているような気持ちでした。今回の劇場版でいうと、マミー役の鳥海浩輔さんは事務所が同じなので、いろいろなお店に連れていってもらって、いろいろ食べさせてもらって、物理的に大きくしてもらいました(笑)。美味しいものをたくさん知っていらっしゃる方なんですよ。

――声優業界は、先輩後輩の関係が密なものなんでしょうか?

どうなんでしょうね? ただ1クールのアニメの現場だと、せっかく共演しても、「やっとお話できるようになってきたな」くらいのタイミングで終わっちゃったりすることが多いと思うんですよ。だから、ある程度同じメンバーで何年も演じていく『ヒロアカ』のような作品では、一緒にご飯を食べに行ったり、悩みを相談したり、アフレコ後にだべったりして話す機会が自然と多くなってきますね。

1-Aの生徒を演じるみんなや、先生やプロヒーローを演じる方々とは、キャラクターたちと一緒に僕たち役者もどんどん絆が強くなっている感覚です。もはや現場がすごく安心する場所になっているんですよ。こんな風に長く続く作品をやらせていただける機会は貴重なので、これからも絆を深めて、それを作品に反映させていけたらいいですね。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――今回の劇場版は、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒それぞれに見せ場があるのが、うれしいですよね。

1-A好きにはたまらないと思います! テレビシリーズの放送開始から3年以上、1-Aみんなで合宿や体育祭などを乗り越えてきて、僕自身、「日々みんな成長しているなぁ」というのをすごく感じています。だからこそ、生徒たちが強大な敵(ヴィラン)に力を合わせていく姿にうれしくなりましたし、「これぞ少年漫画だ!」と熱くなりました。

――“意志を継承していくこと”という意味では、逆に山下さんが後輩声優と接するうえで意識していることはありますか?

意外と後輩のほうがしっかりしているんですよね。僕は好きなことをやって好きなものを食べて……っていうタイプだから、後輩たちのほうがシャキッとしていたりする(笑)。

ただ『ヒロアカ』の現場で緊張していそうな人がいたら、「緊張するよね。僕もそうだよ」と、いう風に声をかけたりします。緊張しているときって、同じ気持ちの人がひとりでもいると楽になりません? その人が持てる力を100%出し切って満足してもらえたら、僕自身もうれしいですし。僕が話しかけることによって、少しでも解れる部分があるのだとしたら、それは積極的にやっていきたいと思っています。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

自信を持って、好きって言える世界を共に作っていきましょう!


山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――『ヒロアカ』といえば、海外人気の高さでも有名ですよね。

去年公開された前作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』のとき、アメリカのロサンゼルスで舞台挨拶に行ったんですが、盛り上がりをすごく感じました。コスプレをしている人もたくさんいて、やはりアメリカでは“ヒーロー”というものが身近な文化なんでしょうね。皆さんの「PLUS ULTRA」の発音が、さすがネイティブで驚きました(笑)。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――夕方放送のジャンプアニメということで、多くのお子さんが見る作品でもあると思います。ひとりの大人として、作品を通して子供たちに伝えたいことはありますか?

ひとりの大人として……、うーん何を言ったらいいんだろう(笑)? 僕は「好きだって気持ちを恥ずかしがらなくていいんじゃないか」と感じるんですよね。1-Aの生徒たちは、ヒーローという存在が好きで、自分もヒーローになりたくて、ズタボロになりながらも夢に向かって頑張っています。

「『これが好きだ』って言ったら、まわりからどう思われるだろう?」とつい不安になってしまう人って、きっとすごく多いですよね。でも好きって気持ちは自分にしかない大切なものだし、その気持ちは、あなたの“個性”でもあります。『ヒロアカ』を見て、1ミリでもその殻にヒビが入ったなら、素敵だなと思います。自信を持って、好きって言える世界を共に作っていきましょう!
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー

――最後に、最新映画についてファンへのメッセージをお願いします。

前作を観てくださった方はとくに期待していらっしゃると思いますが、僕らもその期待を受け止めた上で全力で演じましたし、期待を裏切らないフィルムになっています。性別問わず、どんな年齢の方が観ても何か残るものがある作品だと思いますので、ぜひお友達や家族を誘って劇場に来てください! 絶対損はさせません! たくさんの方に観ていただきたいです。
山下大輝「声優業界はオールマイトだらけ」映画『ヒロアカ』緑谷出久役インタビュー


プレゼント応募要項


劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒローズ:ライジング』の公開を記念して、同作品の劇場ポスターを抽選で2名様にプレゼントいたします。

応募方法は下記の通り。
(1)エキサイトニュース(@ExciteJapan)の公式ツイッターをフォロー
(2)下記ツイートをリツイート
応募受付期間:2019年12月19日(木)~1月6日(月)18:00まで

<注意事項>
※非公開(鍵付き)アカウントに関しては対象外となりますので予めご了承ください。
※当選者様へは、エキサイトニュースアカウント(@ExciteJapan)からダイレクトメッセージをお送りいたします。その際、専用フォームから送付先に関する情報をご入力いただきます。
※当選した方に入力いただく情報はエキサイト株式会社がプレゼント発送に使用するものです。また、提供された個人情報は、同社サービスに関する連絡に限定して利用されます。
※DMでお伝えした期日までに返信をいただけなかった場合は、当選無効とさせていただきます。
※一部の地域では配達が遅れてしまう場合がございます。予めご了承ください。

皆さんのご応募をお待ちしております!
(エキサイトニュース編集部)

作品情報


僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒローズ:ライジング
声の出演:山下大輝、岡本信彦、梶裕貴、佐倉綾音、石川界人、三宅健太、今田美桜、井上芳雄 ほか
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
主題歌:sumika「ハイヤーグラウンド」(ソニー・ミュージックレコーズ)
公開日:12月20日(金)
公式サイト:https://heroaca-movie.com/
公式Twitter:@heroaca_movie
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

<ストーリー>
雪が降り続く冬のある夜。
ヒーロー社会を壊そうと目論む敵<ヴィラン>・死柄木弔たちが、密かに【何か】を運ぼうとしていた。彼らの動きを事前にキャッチしたプロヒーローたちが現場に駆け付け、激しい戦いを繰り広げる。その戦いの中、その【何か】は、仲間とともに去って行った。「実験は、成功した─。」という言葉を残して。

ちょうどその頃、出久たち雄英高校ヒーロー科1年A組の面々は、引退したNo.1ヒーロー・オールマイトの後を次ぐ“次世代のヒーロー育成プロジェクト”の一環として、クラス全員で期間限定の校外ヒーロー活動のために日本のはるか南に位置する離島・那(な)歩(ぶ)島(とう)を訪れていた。ここしばらく大きな事件が全く起きていない平和な島で、駐在ヒーローとして島の人々の生活を助けながら、忙しく、それでいてのんびりとした時間を過ごす中、出久たちは真(ま)幌(ほろ)と活(かつ)真(ま)という二人の姉弟と出会う。ヒーローに憧れる活真と早速打ち解ける出久だったが、なぜか真幌は、かたくなに活真を出久たちから遠ざけるのだった。

そんな中、突如謎の敵<ヴィラン>たちが那歩島に襲来、次々と島の施設を破壊していく。それを指揮するのは、「ナイン」。出久、爆豪ら1年A組のメンバーは力を合わせて敵<ヴィラン>に立ち向かうが、ナインの圧倒的な“個性”と力は想像を遥かに超えるものだった。

なぜ、ナインたちは那歩島を襲撃したのか?そして、出久たち1年A組の“ニューヒーロー”たちは、果たして最凶の敵<ヴィラン>から活真と真幌、そして島の人々を守ることができるのか─!?

Profile
山下 大輝
やました だいき

9月7日生まれ、静岡県出身。アーツビジョン所属。主な出演作は『ポケットモンスター』ゴウ役、『弱虫ペダル』シリーズ小野田坂道役、『ノー・ガンズ・ライフ』荒吐鉄朗役、『厨病激発ボーイ』野田大和役など。

関連サイト
@DaiKing_boy山下 大輝 - 株式会社アーツビジョン