2019年も残りわずか。今年も様々なアーティストがブレイクしたが、そんなアーティストの総決算とも言えるのが、毎年12月31日に放送される音楽番組「NHK紅白歌合戦」である。
大晦日には欠かせない恒例行事となっている紅白歌合戦だが、なんと今年は70年目の節目であり、令和初めての放送でもある。アーティストも2019年に大ブレイクを果たしたofficial髭男ismやKing Gnuから、大ベテラン・石川さゆりや郷ひろみまで、気合の入ったラインナップとなっている。
そんな紅白歌合戦だが、例年話題となるのはやはり「今年の初出場」だろう。というわけで2019年最後は、2000年〜2019年の20年間の紅白歌合戦の初出場にまつわる豆知識をお届けしたい。
紅白歌合戦に最も出場しやすいのは「デビューした年」
ここを読まれている大半の方は、紅白歌合戦に出場する予定ないかと思うが、もしも「将来、紅白歌合戦に出場したい!」という方がいれば参考にして欲しいのがこちらのデータだ。
2000年から2019年までの20年間に紅白歌合戦に初出場したアーティスト計195組について「デビューから何年目で初出場を果たしたのか?」を調べてみたのが以下である(※なお、ここでのデビューとは基本的にメジャーデビューのことを指す)。
<デビューから何年目で初出場するアーティストが多いのか?>
1年目:38組
2年目:35組
3年目:21組
4年目:16組
5年目:8組
6年目:11組
7年目:5組
8年目:3組
9年目:5組
10年目:4組
10年目以上:41組
最も多かったのは圧倒的に「デビューしてから1年目」。紅白歌合戦というと「ブレイクしたらようやく出れる」というイメージがあるが、意外にもデビューしたての新人の方が出場しやすい傾向にあるようだ。
ちなみにこれは2003年「はなわ&テツandトモ」、2008年「羞恥心 with Pabo」といった企画モノのアーティストの出演が多いためでもあり、音楽活動をメインにしているアーティストに絞ると、デビューしてから2〜3年目が最もチャンスが大きい年と言えそうである。
デビューしてから初出演までが一番長かったのは美輪明宏
そんな新人に優しい紅白歌合戦だが、デビューからかなり長い期間を経て初出場を飾ったアーティストがいる。美輪明宏だ。
美輪明宏は、自身が29歳のときに書いたという「ヨイトマケの唄」で2012年に初出場。デビューから61年、当時の年齢は80歳という異例の初出場となった。
この61年という記録は2000年代に初出場したアーティストの中では最長記録となっている。
なお、白組の最長記録は美輪明宏だが、紅組の最長記録は今年初出場となる竹内まりやである。
デビューから42年目の初出場ということで、ぜひ今年の大晦日は彼女を見逃さないようチェックして欲しい。
King&Princeはデビュー年に初出場した唯一のジャニーズグループ
では、逆に異例の早さで初出場を決めたグループを見てみよう。1年目で初出場を果たしたアーティストは多いが、なかでも異例なのは6人組ジャニーズグループ・King & Princeだろう。
King&Princeは2018年5月にシングル「シンデレラガール」でデビュー。そして同年の紅白に早くも初出場を決めたのだが、これは2000年代の紅白歌合戦のなかで「唯一デビューした年に紅白に初出場したジャニーズグループ」という記録を作ることになった。
「ジャニーズなら紅白に出やすいのでは?」と思われる方もいるかもしれないが、意外とそうでもないのが紅白歌合戦の難しいところだ。
最も初出場が早かったジャニーズグループはKing & Princeだが、逆に最も出場までに時間がかかったのは2014年出場のV6と、2016年出場のKinki Kids。いずれのグループもデビューから20年目のアニバーサリー・イヤーでの出場となっており、ファンにとって悲願の初出場だったといえる。
デビュー年に初出場したロックバンドはKing Gnuと175Rの2組
普段はライブやフェスを中心として活動するロックバンドも、ときには紅白歌合戦に出場することがある。往々にして初出場までに時間をかけるアーティストが多いこちらのジャンルだが、メジャーデビューから1年目にして記念すべき初出場を決めたのが、今年のブレイクアーティスト・King Gnuだ。今年1月にメジャーデビューを果たした彼らだが、シングル「白日」がスマッシュヒット。今年の白組として初出場を飾る。
2003年に初出場した175Rも、ロックバンドとしては珍しく、デビュー年に初出場を決めたアーティストだ。
名曲「空に唄えば」のパフォーマンスを覚えているという方も多いだろう。
逆に、ロックバンドで最も初出場まで時間をかけたのがTHE YELLOW MONKEY。2016年に「JAM」で初出場を果たした彼らだが、デビューから25年を経た満を持しての出場であった。
次いで長かったのが、2008年出場のMr.Childrenと、2015年出場のBUMP OF CHICKEN。いずれのバンドもメジャーデビューから17年をかけての初出場となっており、大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。
初出場のアーティストが一番多かったのは2005年
ここまで見てきたように、例年、様々なドラマを生んできた初出場だが、その数は年によってバラつきがある。
2000年:13組
2001年:9組
2002年:14組
2003年:12組
2004年:10組
2005年:15組
2006年:12組
2007年:8組
2008年:13組
2009年:7組
2010年:5組
2011年:5組
2012年:12組
2013年:9組
2014年:5組
2015年:10組
2016年:10組
2017年:8組
2018年:9組
2019年:9組
2000年代で最も初出場者が多かったのは2005年の15組。最も少なかった年の3倍となっており、紅白初出場を願うアーティストに取っては非常にありがたい年だったと言えそうだ。
逆に最も初出場が少なかったのは2010年、2011年、2014年で、それぞれ5組のみが初出場となっている。
この時期に初出場した代表的なアーティストとしては、2010年にその後9年にわたって連続出場することになる西野カナが初出場を果たしているほか、2011年に東京事変のバンドメンバーが出演したことでも話題となった椎名林檎、2014年に「Dragon night」でSEKAI NO OWARIなどが初出場を決めている。
年によって初出場数に差はあるものの、ここ数年は10組前後で落ち着いており、紅白出場を望むアーティストにとってはありがたい傾向と言えそうである。
初出場のアーティストがトップバッターを飾る確率は6%
最後に「初出場のアーティストは何番目に出てくるのか」を見てみよう。2019年を除いた2000-2018年をデータを元に分類してみたのが以下である。
トップバッター:6.3%
2-10番目:23.3%
11-20番目:21.2%
21-30番目:16.9%
31-40番目:16.4%
41-50番目:14.8%
50番目以降:1.1%
2004年に「愛のために。」で出場を果たした上戸彩、2014年「メロンジュース」で初出場を飾ったHKT48など、初出場でトップバッターを飾るアーティストが多い印象があるが、意外にもトップバッターを飾ったアーティストは6.3%とやや少なめ。
最も多いのは2〜10番目、次いで11〜20番目となっており、基本的には初出場のアーティストは前半に出場するケースが多いと言えそうである。
初出場で最も遅い出場順となったのは2005年出場のm-floで、「m-flo loves Akiko Wada」として和田アキ子との共演が話題となった。
その年にブレイクしたアーティストのおさらいにもなる紅白歌合戦。今年の初出場者は9組だが、好きなアーティストがようやく初出場を決めて感無量というファンの方も少なくないことかと思う。残り少ない2019年、体調に気をつけて過ごしながら、紅白歌合戦を見て楽しい大晦日を過ごして欲しい。
■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。
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