そんな小さな違和感が、次第に私の心を支配し始めていた。
そしてそれは、思いもよらない形で爆発する
人前で、笑顔を保てなかった日の話。
その日は久しぶりに友人たちを招いて、うちでホームパーティを開いた。
遼がメインで料理を担当し、私はサラダやデザートをいくつか用意した。
一緒にキッチンに立つ時間さえも、最近は少しだけ怖かったけれど、
今日は“楽しい日にしたい”と、自分に言い聞かせていた。
友人たちは、テーブルに並べられた遼の料理を見て歓声をあげた。
「なにこれプロじゃん!」「レストランみたい〜!」
遼は「いや〜、たいしたことないって」と笑いながらも、
その顔は嬉しそうで、自信に満ちていた。
その横で、私は作った手作りキッシュを説明することもなく、
ただ黙って見守っていた。
誰も、それを食べようとはしなかった。