夫のその言葉が、心に突き刺さった夜から
私たちの“食卓”は、少しずつ静かになっていった。
言葉がなくなるって、こんなにも苦しいんだと知った。
それから、私は遼に何も言わなくなった。
料理を出しても、反応を期待するのをやめた。
会話がない時間が、むしろ“平穏”に感じるようになった。
遼は、私が変わったことに気づいていないのか、
それとも気づかないふりをしているのか
「ありがとう」と、定型文みたいに繰り返すだけ。
それに、私は「うん」と返すだけ。
話すのが怖くなった。
また、あの“無神経な正論”で心をえぐられるのが嫌だった。
気づけば、私たちの食卓には“言葉”が消えていた。