「大丈夫だよ、Fはちゃんと頑張ってる」
久しぶりに会った親友のその言葉に、
Fさんは思わず泣いてしまいそうになった。

婚活がうまくいかないことも、
年齢を突きつけられる現実も、
誰にも相談できず、笑って誤魔化していた毎日。

でも、“頑張ってる”って、誰かに認めてもらえるだけで、
こんなにも救われるものだったんだ――そう、思えた。

少しだけ、心の霧が晴れていくようだった。
でもその数時間後、Fさんのもとに“ある手紙”が届く。

カフェのテーブルに置かれたカモミールティーが、
ほんのり湯気を立てていた。

「…あのさ、アプリの人、みんな消えてくのよ」
「“いい人そう”って思っても、続かないの。
私、なにか間違ってるのかな?」

そう言った瞬間、Fさんの声が震えた。

親友は黙ってうなずいたあと、
コーヒーカップを置いて、ゆっくり言った。

「間違ってないよ。Fは、ちゃんと頑張ってる。
いろんな人が勝手なこと言うけどさ…“幸せになりたい”って思うの、悪いことじゃないよ」

Fさんの目に、スッと涙が滲んだ。
無理に笑ってた毎日。
「平気なふり」が上手くなった自分を、
親友がちゃんと見てくれていたことが、たまらなく嬉しかった。

その帰り道、空は少しだけ明るく見えた。
Fさんは久しぶりに、スマホの通知を無視して空を見上げた。