学生の頃、ずっと憧れていた「歌手」という夢。
社会に出て数年、現実に追われてすっかり忘れたふりをしていた。
でも、あの広告を見たとき、心の奥がザワついた。
「もう一度だけ、夢を見てみてもいいんじゃないか」そう思ったのが間違いだった。

28歳、会社員の俺・M
高校時代は文化祭バンドのボーカルだったが、
歌一本で生きていくのは無理だと気づき、大学進学、就職…と流れるように生きてきた。
だけど、心のどこかにずっと残っていた。
“もし、あのときちゃんと挑戦してたら?”
その夜、SNSに流れてきたオーディション広告が刺さった。


【本気で歌手を目指す方限定】
【審査無料】【プロがあなたを完全バックアップ】
「どうせ宣伝でしょ」と思いつつ、気づけば指が動いていた。

迷った末、音楽好きの友人K(同じく28歳)にLIMEを送る。
Kは大学時代、音楽事務所に所属していた過去があり、歌唱力は本物。
「お前が受けるなら、俺も出してみようかな」と笑っていた。