プロジェクトは進むどころか、連絡が遅れがちになった。
SNSで検索した“オーディション商法”の4文字に、胸が冷えた。


「これ、詐欺じゃん」
現実を突きつけられた瞬間、何もかもが音を立てて崩れ始めた。

「歌手 オーディション 詐欺」「プロジェクト費用 返金されない」
「ボイトレ 高額 契約トラブル」

何気なく打った検索ワード。
でも、そこに出てきた記事や口コミは、
まるで俺の体験談そのものだった。

「審査に通ったのは自分だけ」
「やたらと褒められ、プロジェクト参加を勧められた」
「夢のサポート費用と称して高額な請求」
「最終的には連絡が取りづらくなる」

あまりにも一致しすぎて、背筋が凍った。

しかも応募ページの下の方に、
“プロジェクトには費用が発生します”と、小さな文字で確かに書いてあった。

「気づけたのに、俺は…見なかったフリをした」