夜の掃除を終え、バックヤードで備品の整理をしていると、ドリンクマシンの影からビニール袋をがさがさと漁る音がした。
「…よいしょっと…あ、これはソースもセットで…」
思わずのぞくと、美優さんが袋にバンズやナゲット、サイドメニュー用の食材を詰め込んでいた。
どれも、まだ賞味期限の表示が残っていて、明日の営業に普通に使う予定のものだ。
「それ、今日廃棄になってないですよね?」
声をかけると、美優さんは少し驚いた顔をしてから、すぐに笑顔を作った。
「うん、大丈夫大丈夫。今回は私が発注担当だったの。」
「そうよ。だからこそ、もったいないじゃない?明日使うって言ったって、こんなにあるんだし、どうせ余るってわかってるんだから。むしろ、私が持って帰る分、在庫が減って助かるでしょ?」
一見、合理的にすら聞こえるその理屈に、私はぞっとした。