ようやく休憩に入ろうとした時、川村さんがぽんと俺の肩を叩いた。
「藤井くん、ちょっとこっち手伝ってくれる? 10分くらいで終わるからさ」
言われるがままについていくと、冷凍庫前の在庫棚が崩れていた。冷えきったパック弁当が散らばって、床も濡れている。

川村さんは手早く指示して、別の倉庫へ行ってしまった。俺は1人、凍った床でしゃがみこみながら、寒さと苛立ちをこらえて作業を続けた。
10分なんてとっくに過ぎてる。手袋越しでも指先の感覚がなくなってきた。