作業がひと段落したあと、俺は工藤さんに促されて会社に連絡を入れた。

「はい、引越しサポート受付センターです」

担当の社員に事情を説明すると、相手の声がわずかに低くなった。

「ワレモノ破損ですね……。で、お客様は“作業中に壊れた”と?」
「はい。でも、僕としては丁寧に運びましたし、音も振動も何も――」
「でも、最初から割れていた証拠はないんですよね」

電話口の社員に事情を説明すると、予想よりもあっさりした返事が返ってきた。


想定されていたような変更に、困惑する。

「……じゃあ、僕が弁償とかは……?」
「いいえ、大森さんの個人責任にはなりません。ただ、お客様への謝罪はお願いできますか?」
「はい…」

その言葉が、胸の奥に重く落ちた。