あれから半年。俺はまだ、この仕事をやめていなかった。

今回の現場は、小さなマンションの2階。
今日は工藤さんと、もう一人の新人と三人チーム。
いつも通りに毛布を敷いて、タンスを下ろし、荷物を積んでいく。
淡々とした作業の中で、俺はふと、一枚の書類を取り出した。


依頼主は少し驚いた顔をしてから、「ええ、これは大事な花瓶が入ってます」と答えた。
俺と工藤さんは、箱の中を一緒に確認して、花瓶の状態を写真に撮った。
箱を閉じると、依頼主は安心したようにうなずいた。