私は静かに、部屋のドアをノックした。
コン、コン……と廊下に響く音。
中でテレビが消され、誰かが扉へと近づいてくる。
私はすぐに平松さんのもとへ引き返し、姿を隠した。


フロントにいた、あのスタッフ。
彼は周囲を見回しながら、使い捨ての歯ブラシとタオルを手にしていた。
さらに、部屋の中にはもうひとつ、人影が――。

(やっぱり、グル……!)

平松さんはすでにスマホのカメラを構えて2人の姿を捉えてる。
証拠は、今この瞬間に揃った。
佐野さんたちは数分後、首を傾げながら部屋へと戻っていく。
私たちはそれを見届けてから、ホテルの責任者に連絡を入れた。

編集部おすすめ