トヨタ自動車が2020年のCESで構想を発表し、ウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)とともに開発を進めてきた次世代実験都市「Toyota Woven City」(静岡県裾野市)が9月25日、構想から8年を経て開業した。


 トヨタは単に自動車会の域から、人やモノなどの移動全般を手がける「モビリティカンパニー」への変革を掲げる。

街全体を実証実験場に、参画企業と人工知能(AI)や自動運転、ロボットなど新たな技術やサービスを開発する。


 トヨタグループや参画企業ら計20社で始動した。開発に関わる企業や研究機関、個人などをはじめ、住民らが実生活を送るなかで、さまざまな実証実験を通じて各種データを蓄積し、社会課題の解決や価値創造につなげていく。


 実験都市では企業・個人がさまざまなプロダクトやサービスの実証を開始するとともに、住民が居住し、「モビリティカンパニーへの変革に向けた人が生活する未来のためのテストコースとして歩みを進めてまいります」と当日の式典で豊田章男会長は述べた。


 「woven」は「織り込まれた」の意で、トヨタの源流企業である豊田自動織機に由来。道が織り込まれた街、などの意味が込められている。


 Woven Cityを活用して新しいプロダクトやサービスを開発・実証する企業・個人は、Inventors(インベンター/発明家)と呼ばれ、トヨタのものづくりの知見やWbyTのソフトウェア技術、そして各Inventorが持つ強みや専門性といった、自分たちが持っていないものを掛け合わせることで、いまは存在しない価値をつくり出していく。


 このInventorにシンガーソングライターのナオト・インティライミ氏が新たに加わり、初のアーティストのInventorとして、Woven Cityにて音に関する実証を行なう予定だ。


 Woven Cityでは、Weaversと呼ばれる住むヒト・訪れるヒトも発明に参加する。WeaversはInventorsが開発するプロダクトやサービスを試し、その使い勝手や感想を伝え、Inventorsはそういったフィードバックを発明に活かしていく。2025年9月より、Weaversとしてトヨタ関係者とその家族数世帯が住み始め、Phase 1では最終的に300名程度が住む予定だ。


 Woven City全体の敷地面積は約30万平方メートル。

トヨタの子会社「WbyT」が開発を担う。25日に開業したのは第1期エリア(約5万平方メートル)で、居住施設や実験施設など計14棟。居住施設には同日から、トヨタ関係者の数世帯が入居を始めた。2026年度以降に一般市民も実証実験に加わり、第1期エリアには最終的に約300人が居住する計画だ。(編集担当:吉田恒)

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