財務省が発表した「国の借金」が過去最高を更新し、物価高が続く中で、日本銀行(日銀)の金融政策がいつ本格的な転換を迎えるのかという問いは、今や国民的な関心事となっています。これは単なる金融業界のトピックではなく、変動型住宅ローンの返済額や企業の設備投資、そして私たちが日々手にする現金の価値(円安・円高)に直結する生活防衛の問題だからです。
2024年にマイナス金利が解除されて以降、日銀は緩やかな正常化を進めてきましたが、2026年2月現在の政策金利は依然として欧米に比べれば低い水準にあります。物価が上がっているにもかかわらず、なぜ日銀は欧米のような大幅な利上げに踏み切れないのでしょうか。そこには、金利、物価、賃上げという3つの要素が複雑に絡み合い、一つを動かせば他方に負の影響が出るという「三すくみ」の構造があると考えられています。
まず「金利」の側面です。利上げは景気にブレーキをかける役割を果たします。事実、日本の住宅ローンの約7割は変動金利型であり、金利上昇は家計の可処分所得を直接的に減少させます。また、中小企業にとっては利払い負担増が経営を圧迫し、倒産リスクを高める要因にもなり得ます。日銀が慎重なのは、景気が十分に温まっていない段階での利上げが、経済の芽を摘んでしまうことを避けるためとされています。
次に「物価」との関係です。金利を低く据え置けば、諸外国との金利差から円安が進行し、輸入物価を押し上げます。これが食料品やエネルギー価格の高騰を招く一因となります。しかし、現在のインフレの主因が「国内の旺盛な需要」ではなく「海外由来のコスト増」であるため、金利という手段だけで物価をコントロールすることが極めて難しいのが実情です。
そして、最も重要な鍵を握るのが「賃上げ」です。日銀が理想とするのは、物価上昇を上回る賃金上昇が実現する「好循環」です。2025年の春闘では高い回答が相次ぎましたが、2026年現在のデータでは、物価上昇分を差し引いた「実質賃金」が安定的にプラス圏で定着したとは言い難い状況です。日銀は、賃上げが中小企業まで波及し、人々の購買力が本当に高まったかどうかを、政策変更の「最後の砦」として見極めていると考えられます。
結論として、日銀の動きは、将来的な痛みを避けるために「確実なタイミング」を計っている状況と言えるでしょう。今後の焦点は、4月の新年度に向けた賃上げ回答が、物価高を克服できる水準になるかどうかに集約されることになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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