「政府の発表では物価上昇が落ち着いたと言っているが、体感ではさらに上がっている」。こうした声が絶えないのは、現在の物価高が私たちの生存に直結する「食料」と「エネルギー」を直撃しているからです。
政府や日銀の見通しは、主に500項目以上の商品・サービスを平均化した「消費者物価指数(CPI)」に基づいています。政府は2026年度にかけて、物価上昇率は緩やかに収束し、賃上げがそれを追い越すというシナリオを描いています。しかし、この統計上の数字には、価格が下がっている「パソコン」や「家電」も含まれており、全体の数字を押し下げる要因となっています。
現実とのズレが生じる最大の理由は、比較の視点にあります。統計はあくまで「前年同月」との比較ですが、家計の感覚は「コロナ禍前の安かった時期」との比較です。 例えば、スーパーでの買い物(比較)を考えてみましょう。 ・食用油:前年比では数%の上昇であっても、2~3年前と比較すれば1.5倍以上の価格になっている品目も珍しくありません。 ・電気代:政府の補助金によって統計上の数字は抑えられますが、数年前の月数千円だった時期と比較すれば、現在の請求額は依然として「異常な高値」として映ります。
また、購入頻度の違いも影響します。たまにしか買わない耐久消費財の価格下落よりも、毎日買う「卵」や「野菜」の数十円の値上がりの方が、家計の満足度を著しく低下させます。つまり、統計上の1%と生活上の1%は、その重みが決定的に異なるのです。
このズレを単なる感情論として片付けることはできません。家計への影響を考える上では、政府の見通しはあくまで「マクロ経済の方向性」として捉え、個別の生活においては代替不可能な支出の推移を冷静に比較し続ける必要があります。数字上のインフレ沈静化に安心するのではなく、一度上がった物価水準に対して、自身の所得がどれだけ追いついているかを見極める姿勢が、今後も求められると考えられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)





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