2020年初め、新型コロナウイルス感染症流行の当初から旅客運輸業はインバウンド需要が蒸発するとともに、コロナ禍長期化の中、国内旅行の需要も激減し厳しい経営環境が続いている。特に密になる団体客を扱う観光バス業では倒産が激増し、過去最高となっているようだ。
1月7日、東京商工リサーチが2021年における「貸切バス業の倒産」状況についてレポートを公表している。これによれば、21年における負債額1000万円以上の「貸切バス業」の倒産は14件、前年と比べると27.2%の増加であった。92年以降の30年間では震災後の13年の12件を上回り、過去最多を記録した。また、倒産14件すべてが「コロナ関連倒産」で、コロナ流行によるインバウンド需要の消失とコロナ禍長期化による国内旅行の激減が貸切バス業界を直撃していることを示している。
原因別では、「販売不振」の12件が最多、前年と比べ100.0%増と倍増し、構成比は85.7%で前年の54.5%から31.2ポイントの急増となった。
資本金別では、「1000万円以上5000万円未満」の6件が最多、構成比は42.8%、次いで「1百万円以上5百万円未満」が4件、構成比28.5%、「5百万円以上1千万円未満」が3件、構成比21.4%と小規模がほとんどだ。従業員数別では、最多が「5人未満」の5件、「5人以上10人未満」が3件で、10人未満で倒産全体に占める構成比は57.1%と約6割が小規模企業だった。