キウイを食べて口や舌に刺激を感じた経験を持つ人は多いだろう。イガイガした不快感や、場合によっては痛みを覚える人もいる。
食べるにはやっかいなイガイガの元であるシュウ酸カルシウムの針状結晶に、新たな道が開かれようとしている。
5月19日に茨城県つくば市の農業生物資源研究所は、シュウ酸カルシウムの針状結晶と、タンパク質を分解する酵素システインプロテアーゼをかけ合わせることで、高い殺虫効果を得ることができたと発表した。
シュウ酸カルシウムの針状結晶はキウイ以外にも、パイナップル、サトイモ、ブドウ、アロエ、ランなどの植物に含まれている。これまでは針状結晶が害虫を寄せ付けない防御の役割を担うものと見られていたが、実際の防虫効果のほどは明確に掴めず、メカニズム解明までには至っていなかった。
農業生物資源研究所はシュウ酸カルシウムの針状結晶を精製し、防虫効果のあるシステインプロテアーゼと一緒に葉に塗って、蛾の幼虫に食べさせた。その結果、1日後には身体が黒く変化して死亡することが確認された。どちらかひとつだけを塗布した場合には最高でも25%の致死率だったが、ふたつを合わせて塗ると、86%まで効果が上がることが分かった。