日本政府は1000兆円を超える借金を抱えている。未だに基礎的財政収支は毎年赤字で国の借金は増え続けている。
医療費の中でも特に薬価の問題がクローズアップされることが多く、薬漬け医療を是正するための医薬分業など幾度となく制度改革が推し進められ、医療費を圧縮することに効果を発揮してきたと言える。とはいえ高齢化の中で対象人口は増加し続けているのであり医療費総額が減少に転じることは今のところ考えられない。
9月26日、厚生労働省が「平成30年度、医療費の動向」を公表している。報告書によれば、2018年度の医療費は42.6兆円となり、前年度に比べて約0.3兆円の増加、伸び率では0.8%の増加となっている。
医療保険適用分で内訳をみると、75歳未満が24.0兆円で全体の56.5%を占め、前年度比0.04兆円、0.2%の減少でほぼ横ばいとなっている。他方、後期高齢者である75歳以上は16.4兆円、全体の38.5%を占め、前年度に比べ0.38兆円、2.4%の増加となっている。やはり人口が増加している後期高齢者で医療費の膨張が起きているようだ。公費は2.1兆円で、構成比5.0%、前年度比0.00兆円、0.1%増加で横ばいもしくは微増だ。
1人当たり医療費をみると全体平均で33.7万円、前年度比1.0%の増加、75歳未満では22.2万円、0.5%増加、75歳以上で93.9万円、0.3%減少となっている。やはり後期高齢者で1人当たり医療費は多額になっているものの伸び率は微減となっている。
科目ごとにみると、診療費の医科が1.5%増加、うち入院が2.0%増、入院外が1.0%増で、調剤が3.1%の減少となっている。調剤は15年に9.4%増と大幅に増加した後減少に転じており、薬事を中心に医療費圧縮をはかろうとする政府の意図もうかがえる。政府はかかりつけ薬局等の方針を打ち出して医療費圧縮に努めているが、今後も医療効率化に向けた努力が必要だ。(編集担当:久保田雄城)