日本では長年の金融緩和・低金利政策によって銀行の本業収益は減収傾向で推移しており、赤字転落は時間の問題とされている。金融庁は既にこうした状況を把握しており2017年の基本方針においてメガバンクのリストラ、地方銀行の再編を示唆し、現在この銀行業での大リストラが進行中だ。
メガバンクのリストラでは人員整理とともに金融とICTを融合させるフィンテック化が推し進められている。日本においてもフィンテック化の流れは加速しているが世界市場はどのような状況にあるだろうか。
11日に市場調査業のグローバルインフォメーションが市場調査レポート「フィンテックの世界市場:COVID 19パンデミックの影響と回復」を発表している。レポートでは2019年のフィンテックの市場規模は1112億4050万ドルと推計されている。今後、年平均成長率9.2%で成長すると予測され23年には1580億1430万ドルに、25年には1918億4420万ドルに達する見込みだ。
市場の推進要因としては、Google、Amazon、Facebook、Appleなどのビッグテック企業が金融サービスを目指しており、これがフィンテック市場の成長にプラス影響を与えると見込まれる。ビッグテック企業は、現在提供しているサービスに付随したバンキングサービスを導入し続けている。例えば、FacebookはFacebook Payと呼ばれる決済製品を統合しており、Google PayやApple Payなどの決済アプリやAlipayやWeChat Payのような中国系アプリとの競争に直面することが予測される。こうした競合がフィンテック市場全体の成長にプラス影響を与えると予想される。
市場の制約要因は消費者のデータセキュリティに関する懸念だ。フィンテック企業は個人情報やその他顧客に関する大量のデータを収集しマーケティングに活用している。これらのデータは悪意のある存在によってアクセスされる可能性がある。
今後はデジタル決済の需要の高まり、ブロックチェーン技術への投資の増加、電子商取引の急激な成長、COVID-19の影響による取引のリモート化などが追い風となり市場は急拡大すると予想され、レポートでは30年には3253億1180万ドル市場にまで達すると予測している。(編集担当:久保田雄城)

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