2021年が幕を開けたが、今年はいつもと違うお正月を過ごしているという人も多いのではないだろうか。例年の年末年始ならば、海外旅行に出かける人たちでごった返す空港も、人はまばら。
総合旅行代理店の旅工房が昨年12月15日に発表した調査結果によると、年末年始を「自宅」で過ごす人は82.9%にのぼる。人混みを避けて、初詣すら自粛している人も多い。
新型コロナウイルスのお陰でとんだ年末年始となったが、「自宅での過ごし方」で、考え方が二極化しているようだ。「家族と過ごす時間が増えた」「落ち着いた年末年始を過ごせる」など、ポジティブな意見もある一方で、「家族との衝突が多くなった」「自分の時間が無くなった」「家事が増えた」などのネガティブな意見も増えている。もちろん、これは今に始まったことではなく、昨年の緊急事態宣言で自粛生活を余儀なくされてから度々取り上げられている問題だが、この年末年始の長期休暇でそれがより一層、表面化しているようなのだ。長引く自粛生活を「幸せ」に暮らせている家庭と、そうでない家庭。その違いは何だろうか。
住まいの専門家である住宅メーカー各社の、昨年からの動きの中にそのヒントが見受けられる。
例えば、積水ハウスでは昨年夏、仕切りのない大空間リビングが売りの「ファミリー スイート」に、「在宅ワーク」「おうちでフィットネス」「うちdeバル」などのアフターコロナに対応したライフスタイル提案を盛り込んだ戸建住宅の新コンセプトモデル「ファミリー スイート おうちプレミアム」を発売した。これが顧客に好評を得ているようだ。同社は2018年、「幸せ」を研究する住生活研究所の「住めば住むほど幸せ住まい」研究の成果と先進技術を活かしたコンセプトモデルとして「IS ROY+E Family Suite(イズ・ロイエ ファミリー スイート)」を発売。
また、へーベルハウスで知られる旭化成ホームズも、ニューノーマル時代に対応した住宅「onefitto(ワンフィット)」を昨年11月に新発売した。onefittoとは、ある家族(one family)のある日(one day)の生活にフィット(fit to)する家、という意味を込めて同社が名付けた造語だ。家に居ながら家族と一緒に外気分で寛ぐ「インナーテラス」や「ファミリーベランダ」、夫婦それぞれが在宅ワークだけでなく、家族とのふれあいや趣味など、自分の好きなことも楽しめる居場所「ダブルワークスペース」などを提案している。
さらに置き配に対応するスマートロック付き多目的大型ストックスペースや、衛生に配慮し、帰宅後すぐに手洗いができる動線など、コロナ禍のニューノーマル仕様だ。
2021年も引き続きニューノーマルな生活が求められる。上記2社以外の住宅メーカー各社のニューノーマル仕様なども見てみると、ポイントは「家族間の適切な距離」と「自分時間の確保」にあるようだ。新築やリフォームを予定している場合はもちろんだが、そうでなくても、住宅メーカーの提案には自宅時間を「幸せな時間」にするヒントが他にもたくさん隠されている。それらを参考にするなどして、長引く自粛生活を家族で「幸せ」に暮らし、円満に乗り越えていきたいものだ。(編集担当:今井慎太郎)

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