2014年に政府が掲げた「2020年度までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」という目標は、残念ながら昨年7月に先送りとなった。諸外国に比べて推進速度が遅いことは否定できないものの、官民一体で目標に向けて着実に進んでいることは「なでしこ銘柄2021」からも紐解くことができる。
経済産業省と東京証券取引所は2012年度から共同で、女性活躍推進に優れた企業を選定し「なでしこ銘柄」として発表している。中長期的に魅力のある銘柄として投資家に紹介することで、企業への投資を促すと共に、女性の社会進出への取り組みを加速させることが狙いだ。「なでしこ銘柄」を見れば、どんな会社がどんな形で女性の社会進出をサポートしているかがよくわかる。
例えば、今年で5年連続「なでしこ銘柄」に選ばれた、総合商社の双日は、女性活躍推進はもとより、ジェンダーに関わらず、キャリア意識の高さや育成の環境づくりを重視している。コロナ禍の影響で子供の休園や休校によって休まざるを得ない社員に、有給の特別休暇を付与したり、時短やテレワークなどの特別措置で、子育て中の社員が柔軟に働ける環境を整えた点が評価された。また、4月1日から初の女性執行役員も誕生するそうだ。
不動産業のイオンモール株式会社も5年連続、大手小売業のイオン株式会社は4年連続で「なでしこ銘柄」に選ばれている。イオンモールでは子育て支援策の一つとして、イオンモールに勤務するテナント企業の従業員や地域の人々も利用できる保育施設「イオンゆめみらい保育園」を現在までに22園設置。コロナ禍においても企業主導型ベビーシッター制度を導入し、仕事と育児の両立支援を進める姿勢が評価された。また、イオンは2020年から、女性管理職及び候補者の研修をオンライン化することで、全国の拠点や店舗に勤務する受講者が参加しやすい環境を整えた。これによりグループの横断的なネットワーキングを実現し、女性活躍推進のカギとなる管理職、管理職候補の母集団形成に成功している。
今年で6度目の選定となった大手ハウスメーカーの積水ハウスでは、2014年度と比べて女性管理職を倍増し、「2020年度までに200人」と掲げた社内目標を前倒しで達成している。
また、4月下旬の株主総会後には女性取締役3人、女性監査役2人が就く予定だ。取締役・監査役の女性比率は31%、女性執行役員も2人の体制とするなど、経営層のダイバーシティにも積極的だ。
同社は、女性だけでなく、男性の育児休業取得にも積極的だ。男性従業員の育児休業1ヶ月以上の完全取得を目指し、2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始。対象となる男性社員1ヶ月以上の育児休業取得率100%を継続している。男女ともにワークライフバランスを保ちながら活躍できる職場づくりを目指している。
目標を先送りにした政府だが、「2020年代の可能な限り早期」という方針も発表している。また、早期に達成した上で、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍できる社会を目指す」とも打ち出している。性別問わず、お互いを助け合うことが当たり前の社会。「女性の社会進出」という言葉自体が無くなる日も、そう遠くないかもしれない。

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