昨年から続くコロナ禍の影響で大手アイドルでも苦しんでいるなか、1回目の緊急事態宣言中に所属事務所を辞めて独立し、クラウドファンディングで活動資金を集めて自らの力で次々と「やりたいこと」を実現している“フリーランスソロアイドル”がいた。「森ふうか」は、なぜ多くのファンや関係者たちから支援してもらうことができているのだろうか。
彼女が語ってくれた“コロナ禍の生き残り術”は、きっと多くの人にとっての明日を生き抜くヒントになることだろう。(前後編の後編)

【写真】スーパーポジティブアイドル・森ふうかの撮り下ろしショット

──森さんは21歳でアイドルになるまでに、マクドナルドや有名ホテルのコンシェルジュ、バスガイドなどさまざまな仕事を経験してきましたけど、森さんの礼儀や行動力といったものは、今までのどの経験が活きていると思いますか?

森 やっぱり高校生のときに始めたマクドナルドのバイトですね! 仕事がすっごい楽しかったから「接客業最高! 登り詰めたい!」って思うようになってきて、突き詰めていったら「オールジャパンクルーコンテスト」っていうコンテストの山梨・東京エリアで優勝することができて(笑)。店舗のマネージャーとかもやらせてもらったんですけど、マックって実はクレームの対処方法とかすごいしっかりしてるんですよ。それで私は「接客極めたい」と思って20歳のときにホテルに就職したんですけど、そこでマネジメントや接客の勉強をしたときに中身がほとんどマックと一緒で、「コレってそうだよね、知ってる知ってる」みたいな感じだったから、すでに自分のものになってるなっていう感覚はありました。

──どちらも大事なことは一緒だったんですね。今のアイドルにはそういう“接客力”も重要なのかなと思うんですけど。

森 そうですね。たくさんのアイドルさんがいるなかでいかに「また観たい」「また応援したい」って思って貰えるかはずっと意識してきたし、それこそマックとディズニーの経験が活きていて、ファンの方とのやりとりだったりとか、ちょっとした一瞬の出来事が思い出になったりできるように意識したりはしています。

──ファンは言わば“顧客”ですからね。

森 そうですね~。でもそれが本っ当に大変で! 独立したときはもう「ウヒョ~楽しい~!」って感じだったし、何やってもお客さん興味持ったり付いてきてくれたりしたんですけど、やっぱり今のコロナの状況とかもあるなかで同じことをやってたらホントに来なくなるから。それで「ふーちゃんバックダンサーズ」っていうバックダンサー集団を作ったり、イベンターや吉本の芸人さんを巻き込んで面白おかしくやったりしてるんですけど、そういう“周りを巻き込む”力が無いとこの先は生きていけないのかなって思うから、どんどん巻き込んでいきたいなと思ってます。


──フリーランスアイドルとして新規のファン(顧客)を探すのは大変だったんじゃないかと思いますけど、増やすために努力したことは?

森 やっぱり自信を持って「コレは素晴らしいんだよ」って思える楽曲や衣装を作ることですかね。結局、良い商品を作り続けることがお客さんが付いてくることに繋がるのかなと思ってて、地下アイドルって(距離が)近くて会話が長い方が良かったりっていうのがホントにあって、それで他に移っちゃう人もいてすごい悔しい思いをしてるんですけど、近くてなんぼの世界じゃなくて、いかに良いものを作って面白い楽しいって思ってもらえるか……ってところで勝負していきたいなっていうのはすごいありますね!

──森さんがそれだけエネルギッシュなのは、一度アイドルになるのを諦めてホテルに就職したことや20歳を過ぎてからアイドルになったことも大きいんじゃないかと思うんですけど。

森 そうですね。ずっとアイドルやりたかったけどやれなかったって学生時代と社会人時代があるから、「ここで食っていく!」っていう気持ちが強いのかもしれない。ホテルに就職したのも、ずっとやりた過ぎたけど出来なかったから接客に逃げてたところがあって(笑)。アイドルになってからの負けん気だったり「ここでやったるぞ!」って気持ちが強いのは、そういう期間があったからなのかなって思います。

──今もコロナ禍は続いていますけど、コロナ禍のアイドル活動はどうですか?

森 みんなコロナで大変ななか、私は少しでも前向きになってもらいたいからポジティブなことも言うし、自分を奮い立たせる意味でも前向きなことを発信し続けるから、そんな私を見て少しでも元気になってもらえたらなって思っています。私も辛いこととか仕事嫌だなって思ったりしたこともすごいあったけど、ファンの方には自分を応援することでちょっとでも楽しい思いができたり、嫌なことを少しでも忘れられたり無くなったりしてもらえたらいいなって思いますね。

──フリーランスアイドルとして2年目を迎えました。今後については?

森 やっぱり1年間やってみて自分1人では戦えないと思ったから、もっと色んな人たちを巻き込んでいきたくって。まだ全然形にはなってないけど事務所を作ったり、信用してる人たちとチームとして戦っていけたらいいですね。あと私は女の子を育てるのも好きだから、そっちに関してはサークルだったり、形はなんでもいいんですけど、後輩の子たちと楽しく仕事がしたいです(笑)。


──森さん自身は一生アイドルを続けていこうと思っていますか?

森 そうですね。もう今は他の仕事にあんまり興味がないし、せっかくファンの方から380万円も戴いて、この1年間で“森ふうか”っていうものをみんなで作り上げられたと思うから、簡単には辞められないなって思いますね。

【前編はこちら】クラウドファンディングで380万円を集めたアイドル・森ふうかが語る“クラファンのコツ”

▽森ふうか
2020年にアイドルグループを卒業し、現在はフリーランスで活動するスーパーポジティブアイドル。持ち前の明るさと行動力でコロナ禍の中、クラウドファンディングで170万集めデビューを果たした。さらに、芸能プロダクション『Mori circle』を設立予定、プロデュースアイドルオーディションを開催するなど注目を浴びている。
編集部おすすめ