【写真】心理カウンセラーとして活躍する中元日芽香の最新撮り下ろしカット
――お元気そうで何よりです。
中元 元気です(笑)。
――現在はどんな生活を送っていますか?
中元 週3ぐらいでカウンセリングのお仕事をして、通信で大学生をして、残りの時間は犬と戯れています(笑)。(アイドル時代の)休業中に飼い始めたモニカちゃんが、もう4歳になりまして、時が経つのは早いものだなと実感しています。
――今回、著書を出版することになった経緯を教えてください。
中元 アイドルだった頃から、その日に起きた出来事や気持ちを書いていましたが、それは出版することを前提にはしていませんでした。ですが、卒業後にカウンセラーになって、いろんなお悩みを聞くなかで、私が悩んでいたことと重なるなと思ったんです。そこで、私の経験を本にすることで、「自分と重なるな」と思ってくださる方がいてもいいですし、メンタルヘルスを本という形で示すことができたらなと思い、出版に至りました。
――拝読させてもらいましたが、アイドル時代に悩んだことって、おそらく実際はもっと大変だったんじゃないかと想像しました。
中元 一度書いたものを身近なスタッフさんに読んでいただいたところ、「つらかった」とか「しんどかった」という感想がありました。
――ただ、立ち直ったことは本当によかったなと思います。
中元 日記療法というのがありまして、その日に起きたことや思ったことを書きだしていくと、自分を客観視できるというものなんですけど、それを似たことをしていたんだろうなって思います。実際、書きながらどんどん回復していきましたから。
――アイドルグループに入ったことによって、いくつかの症状に見舞われてしまったわけですが……。
中元 乃木坂46には選抜とアンダーという制度がありますが、私はそれがあったから活動に夢中になれました。当時は、「なんで選抜に入れないんだ!」と思ってはいましたけど(笑)。
――摂食障害の経験についても触れられていましたが、まだ一般的な理解は低いように思います。
中元 当時、アイドルにはビジュアルも求められているからこその葛藤が私にはありました。それがきっかけで摂食障害になりました。表に出る人間なので痩せなきゃいけないことは本人が一番わかっていることです。
「周りのメンバーは痩せているのに、自分はなんで……」と自責の念が強くなってしまいがち。だけど、痩せられないことは、何かのサインじゃないかと考えて、周りのスタッフさんたちなどがアプローチするのがいい働きかけだと、今は思います。
――摂食障害以前に、神経症の症状が出ていたとも書いてありました。
中元 当時、誰かといると、調子が悪くなったんです。腹痛、悪寒、冷や汗……。とにかく調子が悪くなるんです。
そんな状態になってしまった自分にイライラしていたんです。メンバーは空気を読んで、すっと楽屋からいなくなってくれました。
「だから、舞台も最後までできる自信がないんだ」って。そうしたら、同じチームだった(能條)愛未ちゃんが、「自分のセリフだけ覚えてくれたら、あとはウチらでなんとかするから!」って言ってくれて。なんていいチームなんだって思いました。
こんなことがあったら、乃木坂46のことを嫌いにならないですよね。当時はたしかにつらい思いをしましたが、私が卒業という選択肢に走らなかったのは、乃木坂46のメンバーが好きだったし、活動が楽しかったからです。ライブもラジオも握手会も好きでした。「体調さえ良くなってくれたら、現場に行くのが怖いなんて思わないのに」と思っていました。
(後編へつづく)
【後編はこちら】元乃木坂46中元日芽香が語る、自叙伝を出版した意義「メンタルヘルスに興味を持っていただければ…」
▽『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』
中元日芽香
発売:文藝春秋
定価:1,430円(税込)