2021年1月31日にNGT48を卒業し、現在は肩書のないフリーランスとして活動を続けている加藤美南

一時は世間から多くのバッシングを浴びながら、それでもその場に立ち続け、今は新たな道を歩みだした彼女に、将来への展望を聞いた。


【写真】大人っぽさも増した、加藤美南の撮りおろしカット【12点】

──加藤さんはNGT48卒業時点で、将来のイメージは描いていたんですか?

加藤 はっきり決まっていたわけではないですけど、これまで卒業していった48グループの先輩たちがいろんなジャンルで輝いているので、それが励みになった部分はあります。でも、こういう進路のことってコロナがなかったら考えもしなかったと思うんですよ。

──どういうことですか?

加藤 アイドルでいると毎日のように公演やイベントがあるし、安心しきっていた部分もあったんです。与えられたことは全力で頑張るけど、自分から進んで将来のことを想像しなかったというか……。だから、コロナ禍は私にとって自分を見つめ直す大きな転機になったと思います。

──そして現在はコスメに関わる活動を積極的に行っています。これもアイドル時代から考えていたことですか?

加藤 もともと自分がコスメや美容に興味があったので、それをお仕事に繋げていきたいという気持ちはありました。アイドルのときも市販されているコスメを私が紹介して、それを見たファンの方が買ってくれるということはあったんです。だけどせっかくアイドルを卒業したのだから、アイドル時代はできなかったことをしたかったんですよね。具体的には化粧品のプロデュース、それから今後はイベントを企画段階から作り上げていきたいとも思っています。もともと私、自分がすべてを把握していないと落ち着かないところがあるんですよ。

──それは性格的なものでしょうか?

加藤 そうだと思います。
感じること、考えることをイチから作り上げる面白さに目覚めたといいますか。だから最終的には商品開発とか会社を立ち上げたりもしたいなと……。

──会社設立!? 立派な起業家じゃないですか!

加藤 いやいや、まだこれからの話ですけど(笑)。ご存知だと思いますが、私のアイドル時代は、本当にいろいろなことがあったし決して平坦な道のりじゃなかった。だから今でも私を応援してくださる方というのは、本当に私のことを好きじゃないとついてきてくださっていないと思うんです。

──確かにバッシングを浴びている時期がありました。

加藤 感謝……という簡単な言葉では言い表せないほどありがたく感じていますし、申し訳ないという気持ちはいまだにずっと消えないままです。ファンの方たちを裏切るような真似は絶対できないし、大事にしていくのは私の義務。だから、グループを卒業してもアイドルのとき以上にファンの方を幸せにしたいと、それは真剣に考えているんです。そういう中で思いついたのが、メンズ用コスメのプロデュースなんです。私を応援してくださる人は男性の方が多かったから。女性用のコスメは世の中にたくさんあるけど、男性用はまだ少ないから困っている人も多いはずですし……。


──一方で、今年2月には「WEIBO Account Festival in Japan 2020」で新人モデル賞を獲得しました。知らない人のために説明すると、これはどのようなイベントだったんでしょうか?

加藤 WEIBO(微博)という中国版のTwitterみたいなSNSで、中国に対して影響力のある日本人のアーティストさんや役者さんが表彰されるイベントだったんです。会場自体は無観客だったんですけど、規模はとんでもなくて、1日に5億人が観ていたとか……。

──5億人ですか!?

加藤 すごいですよね。そのフェスの1日だけで5万5千人くらいWEIBOフォロワーが増えたくらいで。

──そもそもなぜ新人の加藤さんにこの話が来たのでしょうか?

加藤 私、アイドル時代からWEIBOアカウントを持ってはいたんです。最初はスタッフさんに「前例がないから」とも言われたんですけど、どうしてもと頼み込んで……。というのも、海外のファンの方ってすごく熱狂的に応援してくださるんです。そういう方たちは日本で使われているSNSを見てくださるんですが、私としては自分の方からも向こうにアクセスしたいという気持ちがありまして。どういうことを求めているのかも知りたかったですし、チャンスは自分で広げていきたいという気持ちもありました。それは中国だけじゃなくてタイも同じです。そうやって海外に向けて積極的に発信していきたいという考えは昔から持っていましたね。


──「新人モデル賞」ということは、中国ではモデルとして活動するんですか?

加藤 モデルとしての活動もする予定ですが、決してモデル中心というわけではないです。ただ、いわゆる日本の「タレント」のことを中国では「モデル」と呼ぶらしく、現在は歌手で女優でもない私はモデルという枠での受賞になりました。

──では今後どんなことを中国でやっていきたいと考えているのでしょうか。

加藤 具体的には日本で流行っているコスメや家電を中国の方に紹介していきたいんです。逆に中国で流行っているコスメや家電などは日本にどんどん紹介していったり……そうして、発信者として日中の若者の架け橋になれたらいいなと考えています。

──なるほど、需要はすごく多そうですね。

加藤 実際ものすごく手応えは感じています。日本にインフルエンサーと呼ばれる方は大勢いますよね。韓国で活躍する日本人インフルエンサーも、すでに構いらっしゃるんです。だけど中国で活動している日本人インフルエンサーはまだいない。中国の若い女の子って、日本のファッションやコスメに対する憧れがすごく強いんですよ。だけど、情報がなかなか手に入らないという面もあるんですね。
日本でも中国系メイクは若い子の間で完全に浸透しているし、この流れは止められないと思う。だから私も今は先生について、必死で中国語を勉強している最中です。

──でも事業を拡大していくと、自分1人では対応しきれない局面も出てくるのでは? 今後は事務所に所属したりする可能性もあるんでしょうか?

加藤 いや、できればずっと個人でやっていきたいですね。もちろん事務所所属は事務所所属でいいところもあると思うんです。気持ちの面でも安心できますし。だけど私がこれからやろうとしていることはスピード感とフットワークが大事だと思うので。

──いろいろ考えた上でのフリーランスなんですね。しかしフリーになってから戸惑いや驚きも多かったのでは?

加藤 いや~、本当に大変です。スケジュール管理からお金のことまで、すべてを自分で決めなくちゃいけないわけですから。YouTubeの撮影や編集、スタジオを抑えること、打ち合わせ……やることが永遠にありますね。寝ているときも頭のどこかで仕事のことを考えているような状態。アイドル時代、当たり前だと思っていたことが実は全然当たり前じゃなかったし、多くの人に支えられながら自分は活動できていたんだと痛感しています。


──最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。

加藤 「肩書がない」ということで、アイドル時代よりも応援の仕方が難しい部分はあると思うんです。でも私としては常に新しいことに挑戦しようという気持ちでいるので、その姿勢から少しでも何かを感じ取っていただければうれしいです。「美南ちゃんでもできるんだから、自分も一歩踏み出してみよう」と考えていただけたら最高ですね。

(取材・文/小野田衛)
▽加藤美南(かとう・みなみ)
1999年1月15日生まれ、新潟県出身。2021年1月末にNGT48を卒業し、現在は事務所に所属せずフリーランスとして多岐にわたる活動を行っている。
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