【前編はこちら】蛙亭・イワクラが芸人を目指した理由「小学校のときなんばグランド花月を見て感動」
【写真】お笑い界のニューカマー蛙亭・イワクラ
ーー大阪時代について聞かせてください。NSCに入ったときはコンビではなく1人だったんですか?
イワ 最初はピンでコントをやってました。だけどネタ見せで人前でしゃべるのも恥ずかしいし、声も小さくて先生に「何て言ったのか分からなかった」とか言われてましたね。NSCにはクラスの人気者みたいな人が集まってきていて、そういう人が何か言ってみんなが笑ってる。でも私は全然それが面白くない、みたいな感じが続いて。「あ、辞めた方がいいかも」って、入学して2、3カ月で挫折しかかっていましたね。
ーー立ち直ったのはコンビを組んでからですか?
イワ 6月くらいにコンビを組んでない人が集まる「相方探しの会」というお見合いパーティーみたいなのがあって。そこでの大喜利を見て、進行役だった1期上の先輩と、今の相方の中野さんが「面白かった」って言ってくれて、それで本当に救われましたね。それが無かったらフェイドアウトしてたと思います。そこから中野さんと仲良くなって、「お互いにコンビを組みたいと思ってるけど、どっちがそれを言うか」みたいに探りあう感じになり(笑)、結局8月くらいに私が言いました。中野さんと組んだら一生「面白かったね」って言ってくれそうだったので(笑)。
ーーコンビ結成以降は、ネタ作りはどうなりましたか。
イワ 最初は設定を出し合ってコントを作ってたんですけど、「漫才にした方がイワクラの変なキャラが出る」って先生に言われて、漫才を作り出して。ただ、中野さんが自分で考えた漫才を持ってきたんですけどそれがめちゃくちゃ面白くなくて。「これヤバいな」って思ったんでそこからは私がわりと主導権を取るようにしました。それで、劇場のネタバトルみたいなときに、単独用に作ったコントが初めて上位になって。それが続いたのでそこからはまたコントをやるように……。
ーーよく言われるのは、蛙亭のコントはイワクラさんがネタの大枠の設定やシチュエーションを決めて、それを中野さんが自由に演じるという。それは本当ですか?
イワ 実は設定がちゃんとあるコントに関しては一応台本があるんですけど、中野さんが変な人を演じるコントのときはそうですね。台本ないし、ネタ合わせもしないです。ここ3年くらいはそうですね。
ーーなぜそんなことに?
イワ 単独ライブで、私が本当にギリギリまでネタを渡さなくて、一度、設定だけしか伝えられなくて。「ごめん、できなかったからこれでやって」って。そしたら中野さんからめちゃめちゃいいのが出てきて(笑)。
ーーどこから「武器」が生まれるか分かりませんね。では、上京のきっかけは?
イワ それは19年の『キングオブコント』(TBS)の準々決勝ですね。その年のネタが自分的にすごく自信があって、東京で受けるか、大阪で受けるか、悩んでまして。それで、私、めっちゃ占いが好きなんですけど、今は占い師をやってる当時の後輩芸人にどっちがいいか聞いたんです。そしたら「東京ですね」って。それで初めて準々決勝を突破して、準決勝まで進めたんですよ。
実は準決勝のネタも相談して選んでもらっていて、中野さんのやりたいネタと違ってちょっとケンカになったりもしたんですけど(笑)。準決勝は結果、通りはしなかったんですけど、そのネタを今までで一番うまくできたかな、っていう感じで、落ちたけど勉強になったようなところもあって。今後もこうやって東京で『キングオブコント』の予選に出るだろうし、だったら早めに行っときたいな、って。
ーーきっかけは占いだった、と?
イワ と、『キングオブコント』ですね。もうそのことしか頭にないので。
ーーそのときは、まさかこんなにすぐにうまくいくとは……。
イワ 本当に想像してなかったですよ! 頭が追い付かなかったです。周りの方たちが推してくださったおかげですね。テレビに出られるようになったきっかけで言うと、ゾフィーさんとか、かが屋とか、コント村の人たちが「蛙亭のコントが面白い」って言ってくださったのが本当に大きかったです。それも何を見てそう言ってくださったかっていうと、多分、19年の『キングオブコント』準決勝だと思うんですよ。一緒にエントリーしてましたから。
ーーなるほど。だったらやっぱり東京でやってよかったわけですね。
イワ 本当にそう思います。
ーーネタが評価されてテレビに出るようになって、今はひな壇に座ったり、芸人としてまた違う振る舞いを求められる場も増えたと思います。
イワ 最初はもうわけ分かんない事ばっかり言ってた気がしますね。面白い返しも全然できなかったです。めちゃくちゃ難しいんですよ。「テレビ出てる人はこれを毎日やってんのかよ、何じゃこの世界!」って思いました。で、横見たら中野さんはけっこう飄々とそれをやってて。「頼もしい~ッ!」って(笑)。今は頼ってますね。たまにめちゃくちゃ腹立つときもあるんですけど(笑)。
ーーあとは『キングオブコント』で優勝するだけですね。
イワ それしかないです。私はやっぱり自分に自信がなくて。カマシを入れるというか、自分を鼓舞するために番組で「私は面白い」って言ったりするところあるんですけど、どっちかって言うと「面白くないものは分かる」という感じなんですよ。本当に何が面白いか、っていうのはまだ分からないです。何て言うか、「おもしろ」に対してずっとフワフワしてる状態で。優勝したら、ようやく「自分がやってたことが面白いんだ」っていう自信になると思うんですよ。だから優勝は絶対したいです。
ーー頑張ってください。オズワルドの伊藤さんたちとのシェアハウスの様子をユーチューブで見ているファンも多いと思いますが、めっちゃ共同生活を楽しんでる様子が分かるんで、楽しみすぎてネタ作りに影響しないかだけを心配しています。
イワ あはは。部屋でネタを書いてるとき、同居人の森本サイダーが隣の部屋ですごい独り言を言ってうるさい、ってくらいしか被害がないので大丈夫だと思います(笑)。