ももいろクローバーZの佐々木彩夏が主宰するアイドルフェス『AYAKARNIVAL2021』が11月17日に日本武道館でおこなわれ、大成功で幕を閉じた。たくさんのアイドルが出演する中、圧巻のパフォーマンスで観客をざわつかせたのが、HKT48の地頭江音々。
武道館で「見つかった」彼女に、ライブ後直撃インタビューを敢行。小学校の頃から憧れだったという佐々木彩夏と同じステージに立った気持ちを聞いた。また、『AYAKARNIVAL2021』はLINE LIVEで配信されており、12月17日までアーカイブが視聴可能となっている。(前後編の後編)

【前編はこちら】ももクロ・あーりん主催のフェスで「見つかった」HKT48地頭江音々「次は単独で武道館に立ちたい」

【写真】AYAKARNIVAL2021で佐々木彩夏とHKT48がコラボ

『AYAKARNIVAL2021』でのHKT48は、1期生と2期生がいない若手だけでの特別なチーム編成。若手だけ、といいつつもセンター経験者が3人もいる(田中美久松岡はな、運上弘菜)。そのあたりにHKT48の層の厚さを感じずにはいられないが、キャリアが短い渡部愛加里(ドラフト3期生)と石橋颯(5期生)はまさにフレッシュだが、5年目を迎える4期生の地頭江音々と豊永阿紀は、いささか立ち位置が難しい存在でもある。だが、その2人がコラボ曲でがっつりと爪痕を残してみせた。

この日HKT48が披露したももいろクローバーZの楽曲は、『サラバ、愛しき悲しみたちよ』。多くの観客が抱いているHKT48のイメージを覆すようなパフォーマンスで圧倒してみせたのがセンターの地頭江音々。そしてこの曲の聴かせどころである後半の玉井詩織のソロパートを圧巻の歌唱力で見事に歌いこなしたのが、豊永阿紀(前夜、CSで放送された『第4回AKB48グループ歌唱力NO.1決定戦』で見事に決勝進出を決めたばかりだった)。

失礼ながらHKT48ファン以外にはまだまだ知名度が高くない2人が「ここまで踊れる」「こんなにも歌える」という底力を発揮したことで、彼女たちが注目されるだけでなく、HKT48に対する評価すら大きく変わった観客もいたはず。とてつもなく大きな風穴が武道館に空いた。
 

運もよかった。アイドル全開のステージのわずか1時間後に黒い衣装でクールに決めて、カッコよく歌い、踊っているのだから、もうそれだけで「おっ!」と目を惹く。絶妙な出順、そして佐々木彩夏が引いてくれた奇跡の1曲。さまざまな偶然が重なったこともギャップをより引き立たせてくれた。実はこの日の模様はLINE LIVEには生配信もされていたのだが、そのアーカイブが12月17日まで視聴可能となっており、これから購入することもできる。気になったという方はぜひとも視聴してみていただきたい。HKT48の新しい一歩がそこにはしっかりと刻まれている。
 
偶然といえば、ももクロが『サラバ、愛しき悲しみたちを』をライブで初披露したのも、ここ日本武道館のステージだった(2012年11月5日『ももクロ男祭り2012』)。同じ場所で日付も近いこのタイミングでHKT48が9年後にその楽曲をカバーしたことは、偶然を飛び越えた宿命だったのではないか、とすら思えてしまう。

「武道館っていうことで、より気合も入っていました。私個人としてはアイドル好きなので、やっぱり武道館には特別な感情があるんですよ。アイドルになったからには武道館に立ちたいという想いはずっとあったし、実際に立ってみたら独特な“重み”を感じました。

私たち4期生としても武道館のステージに立ったことがないので……それに『サシコ・ド・ソレイユ』(2016年春のツアー。超ド派手な演出が話題に)を経験していないし、旧劇場のステージに立てていなかったりするので、コンプレックスではないんですけど、先輩方とちょっと空気感が違う部分があるんですよね。ただ、こうやって武道館のステージに立てたことで先輩方が歩んできた道を追体験できたような気がします。

あーりんさんが今回のテーマは『道しるべ』とおっしゃってましたけど、あぁ、本当にそうだなって。自分たちのステージがあって、メドレーもやりきって、そのときに思ったのは『今度はHKT48として日本武道館のステージに立ちたい!』でした。今回の経験をこれからのHKT48の活動につないでいきたいし『AYAKARNIVAL2021』に出演したことが、私たちにとって、HKT48にとって大きな道しるべになればいいな、と思います」

そして、地頭江音々にとって、もうひとつの大きな夢も叶った。

「ももクロに憧れていた私にとって、あーりんさんと同じステージに立つ、しかも武道館のステージに立つなんて信じられないことなんですよ! しかもオープニングで出演者全員で『桃色片想い』を歌ったんですけど、私の立ち位置があーりんさんのすぐ横で『マジか?いいんか、ここで?』って(笑)。リハーサルのときはずーっと至近距離からあーりんさんを見ていて『あぁ、あーりんって実在するんだ!』って不思議な感覚になっていたんですけど、本番では急に現実味が出てきちゃって、もう泣きそうになってました。

エンディングの『走れ!』のときは後列になったんですけど、あーりんさんが『君が好き』と歌っているときに、無意識のうちに「かわいい……」って言っちゃったんですよ、武道館のステージの上で(笑)。それを横にいた(松岡)はなさんに聞かれてしまって「かわいいって言っちゃってんじゃん!」って大爆笑されちゃいました」

一夜にしてたくさんの夢を叶えてしまった地頭江音々。でも、これで終わってしまったら意味がない。『サラバ、愛しき悲しみたちよ』のパフォーマンスで興味を持ってくれた観客に、もっともっと自分の魅力を知ってもらい、HKT48のファンになってもらうこと……それこそが単独コンサートで日本武道館へと帰ってくるために必要な第一歩となる。
HKT48が10周年を迎える9日前、日本武道館にこれからの10年間を眩く照らすであろう大きな大きな『道しるべ』が残された。いつか、ここに帰ってくるためにーー。

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