令和のSNSシーンを盛り上げるコスプレイヤーたち。その中でもキュートなルックスで人気を集めるのが「ぽんちゃん」こと、本田夕歩だ。
今回、2022年最注目の彼女に、コスプレを始めたきっかけから現在の活動についてまで話を聞いた。
(前後編の前編)

【写真9点】愛らしいルックスで人気を集める本田夕歩・私服ショット

──当サイトではコスプレイヤーさんのインタビューを数多く実施してきているのですが、色々な方から本田さんのお名前がよくあがるんですよ。

本田 えぇっ、本当ですか!? 私、そんなに社交性のある人間ではないのに……どんなこと言われているんだろう? 地味に怖い(笑)。

──むしろ、コスプレイヤーさんとの写真を上げたり共にイベントを開催するなど、交流を積極的に図っている印象があったので、その答えが意外でした。
コスプレイヤー界の愛されっ子かと。

本田 (喰い気味で)いやいや! 基本初対面の方とは、どこまで距離を詰めればいいのかわからず、一歩引いたところからスタートしちゃう人間ですよ。誰か仲良しの子がいない限り、踏み込めません(笑)。ただ、友だちの友だちみたいな子とは、繋げていただけるとワッと割とすぐ仲良くなれます。

──社交性がないと言いつつも、心のレンジが広いですね。

本田 ……確かに昔から、2人きりでお話できる時間があれば、「心の壁をぶち破れる!」というタイプではありました。そもそもコスプレを始めたのも、友だちと一緒だったからなんですよね。

──ナイスパスいただきました! どのようにコスプレと巡り合うのですか?

本田 元々両親が『銀魂』とかジャンプ系のアニメが好きで、私も一緒に観てはいたのですが、面白いなとは思いつつハマることはなかったんです。
本格的にアニメ好きになったのは中2の頃。この当時の私は病気がちで、学校に通えず家で過ごす日が長く続いていたんです。ある日、パソコンで偶然『けいおん!』を観たところ、「可愛い!! 面白い、声優さんってスゴイ!!」と思い、そこから『ラブライブ!』のような女の子がたくさん出てくる系のアニメを追い、段々と男性がイッパイ出てくる女の子向けのアニメへとハマり……気づいたら、オタクになっていました(笑)。
 コスプレというものを知ったのは、高校のアニメ好きの同級生が、「福岡で同人誌の即売会でコスプレもできるイベントに初めて参加するよ!」というのを、SNSのタイムラインで呟いているのを見て。「なんだか分からないけれど、私も行きたい!」と言って、参加したのが全ての始まりでした。

──初のイベント参加はどのようなものでした?

本田 そのイベントには私と友人、もう1人、アニメ好きですでにコスプレを始めていた友だちがいて。その子はもうウィッグから衣装まで完璧に揃えていて、そのクオリティーに「すごい!!」と驚いたのが記憶に残っています。私はこのとき、『ラブライブ!』の矢澤にこちゃんのコスプレで参加したのですが、衣装は似せられたものの、ウィッグという存在があることを知らずに、自分の髪の毛で作っていたんですよ(苦笑)。

──あのボリューム感あるツインテールを地毛で!? 強者ですねえ!!

本田 いやいや、本当に何も知らないだけで。正直言うと、ハロウィンの仮装みたいなものの大きいバージョンだと思っていて、まさか本格的になりきるために色々と必要だと思っていなかったんですよ。無知って本当に怖い(笑)。しかも誰かに写真を撮られる文化ということも全く知らず。
いきなり全然知らない方に「写真いいですか?」と言われるのが新鮮すぎて、「これ、大丈夫なの?」と不安に思っていました(笑)。

──何も知らない中での参加、しかも高校1年生の時分として、それは確かに不安ですよね。

本田 そうでした。けど周囲で行われている撮影の雰囲気が良かったので、私も「撮られてみるか……」と意を決して撮影していただいたところ、すごく楽しくなってきたんですよね。

──最初にコスプレイベントに参加された方は、撮影文化に圧倒されてしまうという方が多いという話を聞いているのですが、本田さんはむしろ楽しかったと。

本田 私は本当に何も知らない状態でツッコんじゃったから「なるほど、こういう広い文化なんだ!」とその場で理解したので、全く怖いというか壁を感じなかったですね。

──元々写真を撮られることは好きでした?

本田 大嫌いでした。ずっと自分の笑顔が嫌いで、写真で見る自分の笑顔はもちろん、人前で笑うことも嫌で。友だちとプリクラを撮って遊びで加工しても、「本当に可愛くない顔だな……」と、眺めては憂鬱になっていたんですよ。

──その本田さんがなぜ、“他人に写真を撮られることを受け入れられたのでしょう?

本田 この時の撮影は自分の顔を確認することもなく、ただひたすら撮られるだけだったため「可愛い・可愛くない」を気にせずにいられて。その初めての感覚がなんか楽しかったんですよ。「あれ、写真に撮られても大丈夫だ」って。
もちろんコスプレすること自体も楽しかったのですが、写真に撮られる行為がこんなに楽しいの? という、衝撃を受けたんですよ。

──そこから徐々にコスプレにのめり込んでいきました?

本田 そうですね。イベントで、関東から来られたカメラマンさんから「東京や大阪でもコスプレをやるイベントがあるんだよ」と教えてもらって。面白そう!と思い、高校2年の夏休みに初遠征したんですよ。それが名古屋で開催されている「世界コスプレサミット」で。

──地毛でのにこにーコスから、2回目で早くも遠征。しかも大きなイベント……ものすごいステップアップぶり!

本田 今思うとメチャクチャな進み方ですよね(笑)。けど、自分の中で「楽しそう!これはやってみた!」と思うと、割と軽率になんでも飛び込んでしまうタイプなんですよね。

──軽率(笑)! フットワークが軽くなる、ということですね。その後もどんどんコスプレにのめり込んでいく?

本田 いえ。参加したりしなかったりと、波がありました。高校時代はコスプレ以外にもガツガツオタク活動……『うたの☆プリンスさまっ♪』の一十木音也くんの追っかけをしていて。
出たグッズは全部揃える!という、バイトで稼いだお金は全身全霊オタ活に注ぐ日々を送っていたんですよ。もう「音也くんのお嫁さん」とか普通に言っていたレベル(笑)。逆にこうした生活を送っていたためか、コスプレと並行できなくなってきまして、ほぼやらなくなるようになってしまうんですよ。

──そのコスプレ熱が戻ってくるのはどのタイミングでした?

本田 大学1年生になり、もう少しお金の自由が出来てきたタイミングでコスプレも本格的に再開しはじめるんです。そこからイベントに参加しては福岡のレイヤーさんたちとより仲良くなって、みなさんと“あわせ”(※)をするようになって、楽しさのピークを迎えたんですよ。知り合いが知り合いを呼んで、数珠繋ぎでコスプレ友だちが増えていくのも本当に嬉しくて。みんなと何かできる。そのことがひたすら嬉しかったですね。

──改めて、何がそこまで本田さんをコスプレに熱中させたのでしょう?

本田 好きなキャラクターになりきる楽しさや、友だちと一緒に何かできる楽しさ、というのが大前提ですが、コスプレを通じて自分が変化していくことを実感する嬉しさがすごく大きかったですね。そもそも私は人前で笑顔を見せるのが元々苦手で、なんなら本当に自分が嫌いで。母からも「自分のことを好きにならないと、変れないし、可愛くなれない」と言われていたんですよ。その変わる力をくれたのがコスプレでした。
好きなキャラになることで自信をもらえて。その自信が本来の自分にも返還できた結果、友だちと写真を撮ることも楽しくなりましたし、カメラ前で思いきり笑えるようにもなれました。本当にコスプレのおかげで、私という人間は全くの別人になったと言ってもいいぐらい。趣味であり、特別なものですね。

【後編はこちら】美少女コスプレイヤー・本田夕歩、初めてのグラビア誌面デビューは「恥ずかしさは全然ありませんでした」

▽本田夕歩
ぽんちゃんの愛称でコスプレイヤーとして活動。近年ではアパレルブランドとのコラボを果たすなど、モデルとしても活躍している。
Twitter:@pon_chan216

※“あわせ”とは
「条件を縛って複数人でコスプレすること」を指す。例えば『ラブライブサンシャイン!』で“あわせ”をするとなると、9人いるキャラを、9人で一人もキャラが被らずに全員でコスプレする、という感じ。
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