先日9月7日に、日向坂46からの卒業を決めたことをブログを通じて発表した宮田愛萌。グループ一の読書家であり、しばしば小説やエッセイの寄稿で文才を発揮していたが、ゲーム・アニメ方面への造詣も深く、ファンに向けてその魅力を熱弁するオタク的な一面もあった。
文学少女の枠にとどまらない、宮田の博識才女ぶりを振り返る。

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宮田は2017年8月15日に、けやき坂46の2期生として加入した。加入時点で國學院大学文学部に通う大学生で専攻は古典文学、古典から現代文学まで精通と絵に描いたような文学少女ぶり。「私は同じ本を繰り返し読むことが好きだった。一度目を読み終えたら、すぐに2回目を読む。そして3回目」(新潮社『波』2019年11月号寄稿『私の好きな新潮文庫』)と認める読書家は、恋愛小説アンソロジー『最低な出会い、最高の恋』(2018)への寄稿、短歌イベント『アイドル歌会』への参加など文学方面の仕事を重ねていく。


一方、ルックスと大学生らしい頭の回転のよさから冠番組ではあざといキャラクターやぶりっ子を開眼。井口眞緒が卒業まで『ひらがな推し』『日向坂で会いましょう』で持っていた名物コーナー『スナック眞緒』ではママ役の井口を補佐するバイト店員役で軽妙にツッコミを入れることも。

宮田の活躍や知的好奇心は、純文学方面にとどまらなかった。オタクカルチャー、とりわけ流行のゲームやアニメなどコンテンツへの愛が深く、時々自身のブログでも長文でその魅力を熱弁していた。

例えば、アイドルゲーム『アイドルマスター』シリーズの中でも男性キャラクターで構成される『アイドルマスターSideM』について、21年12月9日と20日の2回に分けていちファンとして魅力を日向坂のファンに布教していく。

とりわけ作中ユニット『Altessimo』の担当(ファン)となったいきさつや、ヘビーローテーションしているSideMの楽曲とプレイリストを公開し、それぞれの曲やキャラクターへの感情をたっぷりこめてつづる様はアイドルマスターのファンにも波及して話題を呼んだ。
『アルテP』『ハイジョ(SideM内のユニット『High&Joker』のこと)』のような、アイマスファンが使うコアな略語でつづられる文章に、宮田の文才のみならずプロデューサー(アイマスプレイヤーの通称)としての熱意が溢れている。

また、男性声優が演じるキャラクター同士でラップバトルが展開される『ヒプノシスマイク』についても同年12月15日のブログで「シンプルにまずは曲を聴きましょう」と読者に向けて、個別の楽曲の魅力を語り始める。こうやってコンテンツの「布教」にいそしんでいる様子は、もはやアイドル・宮田愛萌というより、熱意あふれるひとりのオタクでもある。それでも作品をほとんど知らない日向坂ファンや、逆に日向坂ファンではないそれぞれのタイトルのファンに好感を持ってもらえるところにも彼女の表現力の巧みさが光る。

他にもSHOWROOMでもしばしば上記タイトルや『アイカツ!』『刀剣乱舞』など熱中しているゲーム・アニメについて熱弁する時があり、創作の才だけでなく、自身のこだわり・情熱を言葉にする力も卓越しているアイドルだ。

22年1月には声優の石原夏織とラジオ『文化放送サタデープレミアム まなもの部屋with石原夏織』(文化放送)で共演、ずっと大ファンだったという石原とのトークの中で、本好きが昂じて出版関連の仕事を目指した隠れた動機が「ライトノベルの編集さんになって、アニメ化されたら(石原に)会えるんじゃないかと思って」だったことを明かしている。
文学方面だけでなく、オタクカルチャー方面への好奇心と行動力も活動のモチベーションになっていたようだ。2人の交友はこの後も深まり、3月の『ひな誕祭2022』には石原が観客として東京ドームを訪れている。

博識で文才に恵まれ、トーク力も発揮してきた宮田。卒業後もたくさんの人に本の価値を伝えていきたいとブログで語っていたが、多方面に発揮されてきた自身の情熱をもってすれば、これからもアンバサダーのように本や文学、またオタクカルチャーの魅力を発信していくことができるだろう。

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