元HKT48のメンバーであり、2期生のエースと呼ばれた田島芽瑠朝長美桜。現在、田島芽瑠は女優への道へ、朝長美桜は自身のブランド『Amy』のプロデューサーとして活躍している。
かつて「めるみお」と呼ばれ並んで立っていた2人が、今年9月23日に、「めるみお10周年祭り」というイベントを開催したのだ。2人は一体どんなステージを作り上げたのか…。ファン待望の伝説の1日をレポートする。(前後編の前編)

【写真】「めるみお10周年祭り」で変わらぬ絆を見せた田島芽瑠と朝長美桜【9点】

2012年9月23日。

この日、HKT48の2期生たちは劇場でお披露目をした。彼女たちにとってアイドルとして、芸能人としてのスタートラインがそこにある。


2022年9月23日。

お披露目からちょうど10年目のこの日、2期生のエースと呼ばれた田島芽瑠と朝長美桜は、ふたたび『めるみお』として、二人並んでステージに立っていた。10周年を記念し、みずから企画したイベントには、ずっと応援してくれているファンが駆けつけ、昼夜とも客席は満員。そこには「めでたさ」と「なつかしさ」が充満していた。

今回のイベントを立案したのは田島芽瑠だった。

「もともと10周年記念でイベントをやりたいと思っていたんですよ。
最初はひとりでやるつもりだったんですけど、私の10年間を考えたら、どうしてもみおは欠かせない存在だなって思ったので『一緒にイベントやらない?』って私から声をかけました。ちょうど今年は9月23日が3連休の初日でイベントをやるには最高の日どりだったし、私とみおのスケジュールも合わせることもできて、いろんなめぐり合わせがぴったり重なったんですよねぇ~」(田島芽瑠)

たしかに昨年だったら連休と重なっていなかったので遠方のファンは足を運びにくかっただろうし、なによりもコロナ禍でイベントを開催できるかどうかすら怪しかった。それを考えると、この「めぐり合わせ」は奇跡的でもある。

田島芽瑠は今年の春にHKT48を卒業。朝長美桜は2020年1月にひと足早く、第二の人生を歩みはじめていた。

そう、ふたりとも現在の職業は「アイドル」ではない。


女優として着々と実績を積み重ねている田島芽瑠。

アクセサリーブランド『Amy』のプロデューサーとして奔走している朝長美桜。

10年前、同じステージでスタートを切ったふたりが、アイドルというフィールドを離れ、それぞれの道でしっかりと結果を残している。だからこそ、この日、胸を張って10周年イベントを開催することができた。

「あの人、いまはなにをしているんだろうね、という状態ではちょっとイベントはできなかったよね」(田島芽瑠)

「ちゃんとイベントの最後にいまやっているお仕事の告知をできるって幸せなことだと思う。ファンのみなさんはもちろん、後輩たちにも『こういう生き方もあるんだよ』ということを伝えることができればいいなって」(朝長美桜)

アイドルとは人生のゴールではない。


みんな、どこかで卒業し、次なる夢へと向かっていく。偶然にもこの日、同期の坂口理子がHKT48からの卒業を発表。10年前、21人でお披露目をした2期生だが、これでHKT48に残っているメンバーは渕上舞と秋吉優花のたったふたりだけとなってしまった。

もっとも10年経っても、まだ複数のメンバーが残っているというのはアイドルグループとしては特筆すべきことである。それだけアイドルの「旬」は短いのだ。

二公演が開催された10周年記念イベントはその趣がまったく違う内容となっていた。


第一部のメインは「年表トーク」。お披露目からの10年間の年表を画面に映し出し、それをみながらふたりが思い出トークに花を咲かせる。最初の3、4年間はトピックスも豊富で、関連する写真や映像も山盛り状態。どう考えても時間が足りない、と思って見ていたら、徐々に見出しになるようなニュースが減っていき、朝長美桜がHKT48を卒業した2年前の時点で「めるみお」としての歴史は終了、ということで年表もここでストップしていた。

自虐気味に「年々、話題も写真も減っていく」と笑ったふたりだが、充実しまくっていた最初の数年で、ふたりがセンターに大抜擢された『メロンジュース』と『桜、みんなで食べた』という代表曲に恵まれたのは本当に大きい。『メロンジュース』は紅白歌合戦初出場のときにパフォーマンスしたこともあって一般層への浸透度も高く、いまでもHKT48のライブでは欠かせない一曲となっている。
もうセンターに立っていたふたりはいなくなってしまったけれど、ずーっと歌い継がれているのだから、これは「センター冥利」に尽きる話ではないか? 選ばれし者しか立てないセンターというポジションで結果を残すということは、すなわち歴史に名を刻み、語り継がれる存在になるということなのである。

前述したように、ふたりの職業はもうアイドルではない。

だからこそ、ステージ上でのふたりはいい意味で肩の力が抜けていて、とてもリラックスしたムードでイベントは進んでいった。現役アイドルだったら、さすがにもうちょっとちゃんとしなければいけないのだろうけど、集まったファンもふたりが心から楽しんでいる姿を見ることができて、とても幸せそうだった。あのころのイメージを破壊しない程度に肩の力が抜けているのであれば、みんな大歓迎なのである。

全体の7割ぐらいを田島芽瑠がマシンガンのようにしゃべりまくるのもあのころのままだし、急に話を振られた朝長美桜が困ってしまうところも変わらない。アイドルでなくなっても、ふたりが揃えば『めるみお』だし、瞬時に『あのころ』が蘇る。

「ちゃんとしたリハーサルもしていないのに、ここは私がステージのこっち側に行って、みおが反対側に行ったらいいかも……と思っていたら、本当にみおがそう動いていて。これが10年間、ずっと一緒にやってきたってことですよね。ステージに並んで立っているだけで安心するし、打ち合わせなしでも同じことを考えていて、自然に動いているってすごくないですか?」(田島芽瑠)

そして、第2部ではさらなる「絆」が生み出されることとなる。

【後編はこちら】アイドルとして理想のセカンドキャリアを邁進、元HKT48・田島芽瑠&朝長美桜の今