【写真】自伝エッセイについて語るEXITのりんたろー。【8点】
美容のハウツーはもちろん、自身のコンプレックスや芸人としての苦悩など、自身の半生を振り返る内容となっている著書『自分を大切にする練習』。出版の話をもらったときには「どこに需要があるんだろう」と思ったという。
「芸人として、そういう部分をさらけ出すのはどうなんだろうという照れというか、葛藤もありました。でも、『VOCE』での連載を通して、美容と出会ったからこそ得ることができた幸せな体験をシェアしたい。最終的には、自分が美容やそれを通して出会った人に背中を押してもらったように、誰かの助けになるものが書けたらいいなと」
自伝エッセイの部分には、驚くほど赤裸々に悩んでいた当時の葛藤や気持ちがつづられている。
「顔が大きいこともだし、紫外線アレルギーで自分の肌をずっと隠して生きてきたんですけど、美容に出会って、見た目への向き合い方はもちろん考え方が変わっていった。コンプレックスすらも『それも自分』と肯定的に捉えられるようになっていったことを書くためには、もともとの要因を書かないと逆に意味が分からなくなってしまうなと。
本書では連載で専門家に教わったという美容初心者におすすめのアイデアも、りんたろー。の言葉で紹介されている。
「自分も教えていただくまで自己流で、洗顔一つとってもとりあえず洗えていればいいと思っていたので、目からウロコのことばかりでした。りんたろー。にだってできたんだから自分もできるんじゃないか、と思ってもらえるようにしたいなという気持ちがありますね。自分という交換できないハードをどう大切にしていくか。そう考えたときに自分は美容、セルフケアを取り入れてよかったよ、という提示になっている気がします」
男性が美容?と思われることもいまだに多いというが、自分がアピールすることでその垣根をなくしたいとも語る。
「まだまだハードルが高いと思う人ももちろんたくさんいるでしょうし、自分がこうやって発信することでだんだんとそれがスタンダードになっていけばいいなと。恥ずかしいとか、忙しいからを理由にしてやらないのはもったいないとも思いますね。最近、ちょっと年上の芸人さんに『コスメは何使ったらいいのかな』と相談されることもあるんですよ。芸人のなかでも美に対する考え方が徐々に変わってきたなというのは肌で感じます」
今年8月には結婚。
「僕にとってセルフケアの時間は、歯を磨くのと同じような感じで生活の一部になっているので、結婚したからといって変わったことはないですね。シェアできることはシェアしてますし。お互いを尊重できている気がします。あ、でも僕のコスメを勝手に使っているのは、ちょっと納得いってないですね(笑)。これまで『VOCE』さんと一緒に歩んできた道のりを踏まえて選んだコスメですから。ぽっと出のあなたが急に使い始めるのは違うんじゃない?って(笑)。ちゃんと、この本を読んでほしいなと。でも、まあ僕のコスメを使ってキレイになってくれるのはうれしいですけど!」
一方、コンビを組む兼近と美容やセルフケアの情報交換をしているのかと尋ねると、皆無だと笑って首を振る。
「彼は本当にそういうものに興味がないというか、逆にやりたくないというタイプ。でも、別に何もしなくても彼はきれいだから、それはそれでありなのかなと。女性に対してもそうですけど、絶対メイクしなくちゃいけないわけでもないでしょうし。
本書の内容は兼近にもざっくりと報告済みだというが、完成した本は自分で買ってほしいという。
「こっちから出来上がった本を持っていくのはちょっと違うかなと(笑)。僕も彼の本は買って読んだので、こっちだけプレゼントするわけにもいかないでしょ。変なプライドがありますね(笑)」
そんな兼近からの感想はもちろん、今は発売後の反響が一番の楽しみだという。
「EXITりんたろー。ってこんなこと考えてたんだ、と思う人が多いんじゃないかな。『ポンポン!』とか『Here we go!』しているイメージだと思うので(笑)。そういう方には僕を知ってもらう機会になると思うし、『実はこういうこと考えてます』と伝える術になったかなと思っています。『本当はこんな人なの!?』と驚いてもらえたらうれしいですね」
(取材・文/吉田光枝)
【後編はこちら】EXITのりんたろー。が明かす容姿いじりからの脱却「誰かが傷つくかもしれない打席は選ばない」
▽『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
著者:りんたろー。
価格:1650円(税込)
発売日:2022年11月11日(金)
発行:講談社
自身の内面と向き合い続けた道程を赤裸々に書き下ろした自伝エッセイとともに、「美容は心を鍛えるための最強のツールだ」と語る著者が美容初心者に贈るセルフケア32のアイデアを収録。