一発撮りで収録されたミュージシャンのパフォーマンス映像を公開しているYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』。ソロアーティストによるパフォーマンスや弾き語り、バンドによるアコースティックアレンジでのパフォーマンスを想起しがちだが、270回を超える配信回の中には、女性アイドルグループのメンバーも多数参加している。
テレビの歌番組や自身のライブでも滅多に披露することがないソロやコラボレーションによる貴重なパフォーマンスの数々。今回は、女性アイドル達による『THE FIRST TAKE』楽曲に注目しよう。是非とも、その緊張感と共に彼女たちの素晴らしい歌声を体感して欲しい。

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まず、1曲目は、乃木坂46の遠藤さくらが歌う『きっかけ』。乃木坂の初期のアルバム収録曲だが、乃木坂ファンのみならず、音楽ファンにも広く知られる名曲だ。ライブでは重要な位置で歌われることが多く、NHK紅白歌合戦で歌われたこともある。
アイドルグループが紅白でシングル曲ではなく、アルバム収録曲を披露するというのはかなり珍しいケースではないだろうか。

さらに、Mr.Childrenの桜井和寿が名曲と評し、ライブでカバーしたことで、広く音楽ファンにも知られることとなった1曲だ。オリジナルバージョンは、ピアノイントロが印象的な楽曲だが、『THE FIRST TAKE』では、アコースティックギターで始まり、中盤からピアノやパーカッションが入ってくるシンプルなアレンジになっているので、是非、ヘッドフォンで歌いだしから、遠藤の澄んだ声に集中して聴いてみて欲しい。もちろん、表情や手の動きなどにも注目すると、より緊張感やライブ感を味わってもらえるだろう。改めて、曲の良さと強さも感じられるパフォーマンスだ。

2曲目は、日向坂46の齊藤京子が歌う『僕なんか』。
この曲は、活動休止中だった小坂菜緒が復帰してセンターを務めたシングル曲。今年3月に行われた東京ドーム公演のアンコールで、サプライズ披露されて話題になった。さらに、渡邉美穂最後のシングル作品ということで、ファンにとっても重要な1曲だ。

そんな小坂がセンターを務めた楽曲を『THE FIRST TAKE』では、低音が印象的なメンバーの齊藤が1人で歌唱している。オリジナル同様に、ピアノのイントロでスタートし、齊藤の力強い歌いだしに続いて、ストリングスが入ってくる美しいアレンジだ。齊藤の声の魅力を存分に味わえるだけではなく、普段ユニゾンで歌われることが多いアイドルソングをソロアーティストが歌ったとしたら…こんなにも印象が変わるのか?とハッとさせられるようなパフォーマンスになっている。


続いて、3曲目は、STU48石田千穂が歌う『花は誰のもの?』。テレビの歌番組でもたびたび披露され、STUの代表曲となった1曲。作詞はもちろん秋元康で、作曲を元チェッカーズの鶴久政治が手掛け、世界平和を願うメッセージソングとして注目を集めた。前述の2曲とは異なり、落ちサビ部分も含め、比較的オリジナルに近いアレンジが、石田の伸びやかな歌声を際立たせている。是非、最後の大サビを歌い終えた後の「♪ラララ~」の部分で見せる石田の表情にも注目して欲しい。緊張から解き放たれた、こうした表情の変化や仕草をアップで見られるのも『THE FIRST TAKE』の魅力のひとつだろう。


ここまでは、ソロでのパフォーマンスを取り上げたが、グループメンバーが複数で、もしくは、全員で歌っているパターンも紹介したい。まずは、指原莉乃がプロデュースを手掛ける=LOVEの佐々木舞香、野口衣織、諸橋沙夏の3人による『あの子コンプレックス』。歌唱前のドキドキがこちらまで伝わるような映像なのだが、パフォーマンスが始まった瞬間にONへと切り変わる表情、そして、歌い終えた後に再び見られるフワフワとしたほころんだ表情。ライブ前後の一部始終も堪能できる、これぞ『THE FIRST TAKE』といった映像だ。また、3人ゆえ、コーラスやユニゾンも味わえるほか、曲の良さとエモさも感じられるので、この動画がきっかけで、イコラブの沼へとハマって行った人というもいるのではないだろうか。

そして、もう1曲。
最後に、私立恵比寿中学×石崎ひゅーいの『ジャンプ』にも注目して欲しい。エビ中楽曲と言えば、ゲスの極み乙女の川谷絵音、マカロニえんぴつのはっとり、ポルカドットスティングレイの雫、岡崎体育、吉澤嘉代子ら、提供アーティストが豪華なことでも知られている。

それだけ、多くのアーティストから愛されているグループだということなのだが、石崎ひゅーいが提供したこの『ジャンプ』という楽曲は、ライブの後半に披露されることも多い、現エビ中にとって、とても重要な1曲だ。『THE FIRST TAKE』では、2021年時点でのメンバー6人と石崎ひゅーいのギターのみでパフォーマンスされた映像が公開されている。オリジナルとは異なり、いきなり、安本彩花のアカペラでスタートするこのバージョンは、個性的なメンバー揃いのエビ中のグループとしての歌唱力と石崎の楽曲の力強さを再認識出来る映像になっている。エビ中は、他にもメンバー6人のみの『なないろ』という曲のパフォーマンスもUPされているので是非チェックしていただきたい。


ドラマのイッキ見やマンガのイッキ読みにも最適で、見たい、読みたい、聴きたいコンテンツが溢れるお正月休みがやってくる。休み中に追いつかなきゃ、あれもこれも見なきゃ…と焦るあまり、コンテンツ疲れしてしまう…なんてこともあるかも知れない。そんな時には、『THE FIRST TAKE』に癒やしを求めてみてはどうだろうか。そこでは、何度も聴いた曲やよく知っているつもりの曲が、また違った輝きを見せてくれている。

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