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『ノーサイド・ゲーム』(TBS)やNHK連続テレビ小説『まんぷく』、大河ドラマ『晴天を衝け』などで活躍する大谷亮平は逆輸入俳優として知られる。韓国で俳優として活躍し、多くのヒットドラマに出演。「韓国ドラマアワード2014」でグローバル俳優賞を受賞した後、日本での本格的な俳優活動をスタートさせたからだ。
大谷は2022年11月に日本テレビの『アナザースカイ」に出演。日韓のドラマ現場の違いについて言及した。それによると、韓国の俳優が1年に出演するドラマの数は1~2作品。多くても3作品だ。ところが、日本では5~6本の作品に出演することもある。一概にどちらがいいとは言えないが、作品に対する準備期間が長い方が、作品や役柄に対する理解を深めるという意味では有利ではないだろうか。
また、日韓共同製作の映画『力道山』に出演した経験を持つ中谷美紀は、韓国の有名映画雑誌『シネ21』のインタビューで、両国の製作期間の違いについて言及している。日本では映画を撮る時、通常制作期間は1ヵ月ほどで、長くても3ヵ月を越えず、短いと3週間で一本の映画を制作することもある。韓国映画の制作期間はもちろん、映画の規模や性格によって異なるが、1年前後が一般的だ。
彼女は言う。「今までこんなに余裕のある製作現場を経験したことがありません。太陽の角度が良くないという理由で30分以上待ったことがあるのですが、羨ましかったです。 それでも笑いを失わず効率的に働く韓国スタッフの姿を見ながら多くのことを学びました」と。
2016年に出演した韓国映画『哭声/コクソン』で、韓国最大の映画の祭典・青龍映画賞で男優助演賞を受賞した國村隼は、朝鮮日報の子会社・スポーツ朝鮮のインタビュー(2020年7月23日)で、日本では撮影現場でモニターをほとんど観ないのですが、韓国は毎シーン撮影をするたびに監督と俳優たちがモニターの前に走っていくのを見て本当に不思議だったと語っている。一場面、一場面細かい話し合いを経て、本当に苦心の末にカメラを回すのを見て、韓国のシステムは本当に違うと感じたと明かした。
両国の制作現場の違いに言及しているのは俳優だけではない。『ベイビー・ブローカー』で韓国映画の監督を務めた是枝裕和は 2022年10月8日、釜山国際映画祭(BIFF)映像産業センターで開かれた「映画環境改善を考える韓日映画団体懇談会」に参加し、韓国と日本の映画関係者と様々なテーマで討論を交わす中で、韓国映画の撮影現場、労働環境が日本よりはるかに良かったと率直な心境を語った。韓国には映画振興委員会があり、一括して映画を支援しているのを見てとても羨ましかったというのだ(※政府機関である文化体育観光部の下に映画振興委員会があり、映画人の教育から映写技師の国家資格認定、映画製作における金銭的支援などを行っている)。
また、日本でも活躍する韓国人俳優も両国の違いについて語っている。日本の映画「新聞記者」 第43回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した、シム・ウンギョン(沈 恩敬)は、韓国と日本、両国で活躍している女優だ。彼女は 2020年3月29日、韓国日報のインタビューで監督の違いについて言及している。
ここまで、両国の制作現場の違いを見てきたが、最後に数字的な面から両国を比べておきたい。日本・韓国ともに、邦画の製作本数は年間約500作品ほど。日本の年間映画観覧客は約1億7千万人、韓国は2億2千万人だ。 映画館数(スクリーン)は日本は約3500ヵ所、韓国は2800ヵ所余りだ。この数字を見ると、両国の差は小さいように思えるが、韓国の人口は日本の半分以下。1人あたりの平均映画閲覧回数には大きな差が出てくる。日本は1.6回、韓国は4.1回だ。
近年、カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』やアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』など、世界的にも再び日本映画に注目が集まっている。
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