昨年10月の公開以来、ロングランヒット中の映画『RRR』の日本での興行収入が10億円を突破した。日本国内で公開されたインド映画では初の快挙だ。
本日3月13日に発表された第95回アカデミー賞では、キレキレのダンスシーンで流れている楽曲『Naatu Naatu』が歌曲賞を受賞。さらなる世界的ヒットが見込めそうだ。

【関連写真】壮大なスケールで世界でヒット、映画『RRR』場面カット

上映時間3時間の大作にも関わらず、観る者を全く飽きさせず、何度も観るリピーターが続出。発声可能な応援上映なるものまで行われている。『RRR』がここまで人々を熱狂させる理由は何なのか?エンタメ好きの著名人達がこぞってラジオで絶賛したことも、ヒットを後押ししたと言っていいかも知れない。

例えば、多忙を極める中、エンタメコンテンツをチェックしまくっていることで知られるTVプロデューサーの佐久間宣行は、毎年1月に、自身のラジオ番組『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』で、前年の年間エンタメランキングを発表しているのだが、昨年2022年の映画部門で『RRR』を2位に挙げている(ちなみに、1位は『THE FIRST SLAM DUNK』)。

佐久間は、自身のYouTubeチャンネル『NOBROCK TV』でも、東野幸治と共に2022年のエンタメを振り返る企画を配信。東野もエンタメ作品を細かくチェックしていることで知られているが、まだ『RRR』を観ていなかった東野に対して、佐久間が熱くプレゼンしていた姿も印象的だったので、佐久間ファンは確実にこの作品をチェックしていることだろう。

その他、伊集院光も自身のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』で、『RRR』を絶賛。やはり、リスナーから厚い信頼を得ているパーソナリティのレコメンドには説得力があるようだ。そして、映画批評と言えば、話題作が公開される度に、ライムスター宇多丸の評価が気になる映画ファンも多いことだろう。

もちろん、宇多丸もレギュラー番組『アフター6ジャンクション』の人気コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」で『RRR』を取り上げている。
いつも通り、圧倒的な映画知識と丁寧なリサーチで、熱量を持って解説した後、宇多丸は最終的に「今、日本の映画館で公開中の映画で間違いなく一番面白い」と太鼓判を押した。

さらに、直近のラジオで言うと、大きな話題となった『オールナイトニッポン55時間スペシャル』の『ウッチャンナンチャンのオールナイトニッポン』で、ウンナン2人が語った『RRR』の感想も大変興味深かった。南原は、かつて『ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説』という全編インドロケの映画に出演。一方の内村は、映画監督としても活動をしている。

南原が「これまでのインド映画と比べると洗練されている」、「大映ドラマと仮面ライダーが一緒になったような作品」と語ると、「口を開けたまま観ていた」という内村は「全部がクライマックス。クライマックスの後に、またクライマックスが来る」、「走れメロスが2人いる感じ」、「3時間あるけど、いつトイレに行っても大丈夫(笑)」と感想を語った。このように映画の感想を長尺のフリートークで聴けるのもラジオならではだ。

普段、リスナーとして聴いているラジオ番組のパーソナリティが絶賛したり、著名人がSNSで積極的に感想を発信したりしていたことが、『RRR』を観たい!というモチベーションをどんどん高めていった。特に、SNSでは「生涯1位」と推す人が続出。ここまで来ると、もはや、ハードルが上がりまくってしまい、裏切られた時のショックが大きいような気もするのだが、期待を裏切られたという話をほとんど聞かないのも、この作品の凄さだ。

とにかくエネルギーが半端ないので、気持ちが熱くなり、人に勧めたくなったり、人と話したくなったりする映画であることは間違いない。アクション、友情、ダンス&音楽、そして、最後の爽快感とエンドロール。
それらをまとめて『少年ジャンプ』の漫画のようだと例える人も多く見られたのだが、それも頷ける。

ただし、このような著名人の感想や口コミ情報を仕入れれば仕入れるほど、それらの答え合わせ的に映画を観てしまい、100%楽しめないかも知れない。もし、まだ観ていない方がいたら、「とにかく面白いらしい…」くらいの前情報だけに留めてもらって、観に行ってもらった方が良いだろう(このようなオススメ記事を書いておいてなんだが…)。

社会現象化しつつある『RRR』の勢いは止まらない。まだまだ全国の映画館で絶賛上映中なので、是非とも、大スクリーンで、自分の目と感覚で確かめてみて欲しい。

【あわせて読む】制作費インド映画史上最高97億円、世界で話題の映画『RRR』は日本人のステレオタイプを崩せるか?
編集部おすすめ