お笑いコンビカンニングを結成してから31年を数えるベテラン芸人、カンニング竹山が、7月11日に著書「カンニング竹山の50歳からのひとり趣味入門」(ポプラ社)を上梓した。競馬好きで知られる竹山だが、実は他にも様々なジャンルに興味を向ける趣味人だったのだ。
売れっ子芸人が忙しい合間を縫って「楽しい事」と向き合う姿勢、そして趣味を通じて感じた「前向きな生き方」について語ってくれた。(前後編の後編)

【前編はこちら】カンニング竹山が“ひとり趣味”を本に「50代、好きに生きていいんじゃねぇか?」

【写真】50代を謳歌するカンニング竹山

突き詰めれば、生きていることそれ自体が趣味だと思っています。人間、いずれ死ぬから、それまで精いっぱい楽しく生きる、っていう考えが自分の中にはありますね。それがいつなのかはわからない、明日なのかそれとも20、30年後なのかも。だからこそ、世の中のおじさんは、今のうちに楽しいことやっとかないともったいないよ、と思います。

人生の中で唯一続いている趣味が、今の仕事、お笑いかもしれない。昔ほどバラエティ番組を見たりしなくなったけど、自分が何かを演じるのも好きだし、ワーッ! って怒鳴ってる自分も好きだし、もちろんお客さんにウケてもらうことも好き。正直、お笑いのこと以外は何一つ続いてませんよ。笑わせたいし、それを笑ってもらっているときが、一番アドレナリンが出てると思います。

これまで、キツかったこともめちゃくちゃありましたよ。若い時にサボりまくってたってのもあるけど、スベりすぎて客席が誰も笑ってないことなんて山ほどありますから。芸人はみんな経験すると思いますけど。


今だって、「放送禁止」っていう年に1回の舞台を作ってるときは、怖かったりキツかったりすることはザラです。でも「放送禁止」は、僕のお笑い芸人としての「幹」の部分だから。それさえやってれば、テレビ仕事でもYouTubeでも何でもやりますよ、って言うのが僕のスタンスです。

何千円とかの金を取って自分の発表会をするってよっぽどのことじゃないですか。「見てもらえてよかった」じゃダメだから。お客さんの心をえぐって、感動させて、おもしろいと思わせて帰ってもらわないといけない。プレッシャーはあるけど、「人がやれないことを俺はやれるから、やらなきゃいけない」っていう勝手な自負もあるんで。だからトータルで考えたらお笑いは仕事でもあるし、人生の楽しい趣味だとも思ってる、ってことですね。

『50歳からのひとり趣味入門』は、なんとなくこの先に不安を持っている人に読んでほしいなと思ってます。やっぱり同世代くらいの人だと、悩んでいる方も多いでしょうし。もっと楽に考えて生きていけばいいんだ、と思ってもらえると一番うれしいですね。

僕らよりも下の世代の人には、「おじさんになってもこんなに楽しいぜ」っていうことを伝えたい。
僕自身、10代より20代の方が楽しかったし、20代より30代のほうが楽しかった。何なら、今が一番楽しいんですよ。

年を取ることをイヤだイヤだと言っても仕方ないじゃないですか。実は年を取れば取るほど自由が利くっていうメリットがあるんだよ、ってことです。僕だって16歳の時にはおじさんがこんなに楽しいなんて知りませんでしたから。立場があるからちゃんとしなきゃいけないこともあるけど、意外と16歳の時と同じような気持ちで生きているところもあるし。僕は今、めちゃくちゃ自由ですよ。

あとは、結局のところ時代を作っていくのは若者じゃないですか。会社のプロジェクトとかもそうだろうし、芸能、お笑いの世界もそう。僕らにもそういう時代が過去にあって、そこから外れていくのは自分が社会の中心じゃなくなる寂しさを感じるかもしれないけれど、その代わり自由を手にするってことなんだろうなと考えてるんです。若い子たちが社会全体のことを考えてくれるから、俺らは黙って静かに「すいません~」って言いながら遊んでればいいのかな、って(笑)。

今後、「これを趣味にしようかな」と考えていることも、実はあります。
自分の舞台において、「どうしてもこれをやりたい!」ということが生まれつつあるんですよ。それは自分の芸の中でも「話芸」の部分だったりするんですけど、もっと極めるためにチャレンジしようと思っていて。「楽しみたい」とはまた違った「突き詰めたい」という欲求があるんです。できるかどうかもわからないですけど、新しい目標、趣味として52歳から入門しようと思ってるんですよね。
編集部おすすめ