【関連写真】南沙良&鈴鹿央士共演ドラマ『君に届け』場面カット
たとえば10月24日深夜から放送されるドラマ『マイホームヒーロー』(TBS系)は、『週刊ヤングマガジン』で連載中の同名コミックスが原作。『100万の命の上に俺は立っている』の山川直輝と、『サイコメトラーEIJI』の朝基まさしがタッグを組んだ作品で、累計発行部数は330万部をゆうに超えている。
主演を務めるのは、実力派俳優の佐々木蔵之介。しがない会社員の父親・鳥栖哲雄役を演じており、娘の零花役に元・乃木坂46の齋藤飛鳥、妻の歌仙役には木村多江が抜擢された。
同作はかなりセンセーションな作品であり、哲雄が娘の彼氏を殺害してしまい、その死体を隠蔽するという衝撃の幕開けからスタートする。一線を越えた後も過激な展開が続くため、ファンの間では「実写化不可能では?」などと囁かれていた。
ただ、8月22日に公開された予告映像を見る限り、それは要らぬ心配だったようだ。作中には鬼気迫る表情でカレシを殺害する哲雄の姿はもちろん、死体を煮込むための煮えたぎった浴槽まで忠実に再現されており、予告だけでスタッフの本気度が感じられる。
主演の佐々木によると「登場シーンの9割がピンチ、撮影中は毎日血塗れでボコボコ」だったそうなので、恐らくバイオレンスなシーンも盛りだくさんなのだろう。豪華キャストを揃えておきながら、放送時間が深夜枠なのも何となく頷ける。
ちなみに同作はドラマ版に加え、来春に実写映画も公開予定。
10月からスタートする人気漫画の実写化ドラマには、恋愛作品も数多くラインナップされている。『推しが上司になりまして』(テレビ東京系)や『君となら恋をしてみても』(MBS毎日放送)、『帰ってきたらいっぱいして。』(読売テレビ)などだ。そしてその中でも、『君に届け』(テレビ東京系)は特に注目しておきたい。
同作は今年3月からNetflixで先行独占配信されていたが、今回「水ドラ25」の枠で初めて地上波放送される。原作は累計3600万部を記録する大人気少女漫画で、「貞子」というあだ名で呼ばれる高校1年生の黒沼爽子と、クラスメイトの風早翔太による甘酸っぱい青春物語だ。
『君に届け』の実写化といえば、2010年に公開された実写映画の印象が強いだろう。当時は主人公の爽子役を多部未華子、風早役を三浦春馬さんが務めていたが、今作ではキャストを一新。女優でモデルの南沙良が爽子役、新進気鋭の若手俳優・鈴鹿央士が風早役を演じている。
爽子役の南は、2018年公開の初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で鼻水を垂らすほど号泣するという迫真の演技が注目を集め、ブルーリボン賞新人賞、日本映画批評家大賞新人女優賞など、新人部門4冠を獲得。それに対して鈴鹿は、2019年の『蜜蜂と遠雷』で映画初主演ながら「日本アカデミー賞新人俳優賞」などの賞に輝いた上、ドラマ『silent』(フジテレビ系)でさらにその名を轟かせている。
演技力の高い2人が新たに紡いだ『君に届け』は、ネット上でも話題となり、「Netflix」でグローバルトップ10入りを果たすことに。そして公開からわずか4日間で、累計視聴時間673万時間を記録していた。
また青春ものでいえば、10月20日に放送される『フェルマーの料理』(TBS系)の存在も忘れてはならない。夢破れた天才数学少年が若き天才シェフと出会い、数学的思考で料理という難題に立ち向かっていくという、若きプロフェッショナルたちによる青春ストーリーだ。
W主演を務めるのは、高橋文哉と志尊淳。そしてこの2人と共にメインキャラクターを務める役者として、今ブレイク中の小芝風花がキャスティングされている。
小芝といえば、出演する実写化作品が次々とヒットしていることで有名。これまで演じてきた漫画キャラは数知れず、今年4月には同名コミックスを実写化した『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)で主人公の鼓田ミナレ役を熱演したばかり。“やさぐれ金髪女”を見事に演じ切り、作中でかましたド迫力のマシンガントークは、TikTok上でも大きな注目を集めていた。きっと今作でも、実写化成功のカギになってくれるに違いない。
ちなみに『フェルマーの料理』の原作コミックスは、『月刊少年マガジン』で不定期連載されているため、単行本はまだ3巻までしか刊行されていない。ドラマが原作に追いついた後、どのように物語を展開していくのか。
いずれの作品も放送までもう間もなく。名作ドラマの誕生に期待しよう。
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