8月8日に開催されたAKB48チーム8の毎年恒例ライブ“エイトの日”。OGの出演もあり、大盛況に終わったライブだが、開催前はチーム8そのものの存続への不安もあった。
けれどそんなチーム8の中核を担う岡部麟は「苦難をバネにして成長してきたので、絶対に折れません」と言う。その真意とは。
AKB48チーム8の茨城県代表として、2014年にデビュー。それから、ひたすらに突き進んできた岡部麟。やがてチーム8とAKB48を兼任、しかもチームAのキャプテンを任されるという異例の抜擢を受けて、プレッシャーを感じながらもリーダーシップを発揮。今年の1月にはTOKYO DOME CITY HALLで初のソロコンサートも開催した。もはやAKB48グループには欠かせない存在となった岡部麟に、チーム8はこの先どこへ向かうのか、率直な意見を訪ねてみると──。

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──先日迎えた「エイトの日」、毎年恒例の、チーム8にとっては大切なイベントですが改めてあの1日は、どんな日になりました?

岡部 すごく特別で、不思議な1日になりました。朝公演に出演してくれたOG(卒業したメンバー)のみんなの顔を見たとき、昔「ライブ来てくださ~い」と、練り歩きながらチラシを配って宣伝したり、泥臭くガムシャラになって頑張っていた頃の思い出がふと甦って……一瞬でデビューした頃の自分に戻りました(笑)。

──卒業メンバーが舞台に立つと聞いて、ファンも驚いたと思います。中野郁海さんや山田菜々美さんなど、卒業して間もないメンバーから懐かしいメンバーまで……。久々の再会はうれしい? それとも照れくさい?

岡部 逆に私は燃えました! 昔は「卒業」というものを悲観的に捉えていて、もっと一緒に同じ夢を追いかけたかったな……と、別れるたびに思っていたんです。
それが、OGのみんなと「今何をしているの?」と話をしたら、今の場所での夢を追いかけているよ! と、全員が話してくれて、そのときの顔がすごく輝いていたんです。お互いに進む道は変わり、離れても、それぞれの「夢へのルート」をしっかり走り続けているんだ! と知れてすごくうれしかった。おかげで、私も負けてられない! という気持ちになれました。

──チーム8は、47都道府県、各県に1名代表メンバーがいるわけですが、OGの方と、OGの方の代わりに新しく加入した2代目メンバーがステージを共にする場面もありました。それを隣で見ていて、どんな想いを抱きました?

岡部 『47の素敵な街へ』で、OGと2代目の子が一緒に県名を叫ぶ場面を見て、OGのみんなが2代目を継いだ子たちに「チーム8を託したよ」と言っている様に見えて「すごくイイ光景!」と思いました。その反面、2代目の子たちは複雑な心境だったと思います。OGと初期メンバーが「あのときは~」と昔話している輪には当然入りづらかっただろうし、『47の~』以外での絡みがほぼなかったですから。

──愛知県代表の2代目メンバーである、歌田初夏さんもSHOWROOMで「OGの方々と一緒にユニットをやりたかった」と、想いを吐露していましたね。

岡部 そうでしたね……。そうした気持ちをなぜ汲んであげられなかったんだろう? という反省もあって……う~ん、難しい! このときの気持ちはまとめきれません。(現在代表メンバーがいない県の) 県追加オーディションも決まり、チーム8が変わっていく今、もう一度2代目の子たちに寄り添って、これからについての話をしなくちゃと改めて思いました。(今年4月に開催された)5周年記念コンサートも1つの区切りになりましたが、エイトの日を境に、いろいろと考えていかなければいけないことも増えてきました。


──今年は、年の初めにチーム8の代表曲『47の素敵な街へ』がAKB48のリクエストアワー1位を獲得とうれしい話題が続いた一方、メンバーの卒業が相次ぐ、うれしさも寂しさもないまぜの5周年イヤーになりましたね。

岡部 今の状況を見たファンの方から「8、大丈夫?」という声が届いています。そう思われても仕方ないですよね(苦笑)。けれど、ファンの方が危機を感じているという空気は、私たち全員に伝わっています。そのおかげ……と言っていいかは分かりませんが「ファンの方が抱いている不安を吹き飛ばすためにはどうすればいいか?」と、初代メンバーも2代目の子も、今まで以上に、この危機を乗り越えるための案を、すごく考えるようになったんですよ。これまで、話し合いの時間を設けてもなあなあで終わることもあったので、言い方は悪いかもしれませんが、この別れはチーム8が成長するための大きなキッカケになったのかなと。

──その、危機の乗り越え方の具体的方法は?

岡部 これからは私たちが積極的に、チーム8のキラキラした姿を出して行こう! という、結論になりました。きっと今のチーム8を語るとなると、この危機の部分“だけ”を切り取られてしまい、これはドラマだ! とまとめられ、発信されてしまうと思うんです。けど私……そういうの、苦手なんです(笑)!

──ネガティブな面ばかりを強調するな! ということですね。

岡部 そうしたくなる気持ちも分かります。ただ、私たち全員は心の底から楽しもう! ファンの方にも心の底から楽しんでもらいたい! と思って、一生懸命活動しています。それがアイドルとして正しい姿じゃないですか。
その一生懸命さにフォーカスしてもらえないなら、これからの活動を通して私たち自身が「チーム8、最高に楽しいぞ!」と伝えていかないと。アイドルも、応援してくださる方も笑顔が一番ですからね。

──AKB48の新シングル『サステナブル』に収録される、約1年ぶりのチーム8楽曲、『好きだ 好きだ 好きだ』(トヨタレンタカーのCMソング)は、まさにチーム8のキラキラ、楽しさが凝縮されてますしね。

岡部 最高にチーム8らしい楽曲です。難しいことは考えず、元気さとフレッシュさを乗せて歌え~!! という曲ですので(笑)。

──今回、チーム8の現状についての話題を振ったとき、暗い話になるだろうと思っていた自分を、責めたくなりました(苦笑)。

岡部 絶対に暗くさせません(笑)! チーム8は結成当初から「いつ消えてなくなってしまうんだろう?」という不安と、ずっと隣り合わせで活動を続けてきています。逆境には慣れています。むしろ、苦難をバネにして成長してきたので、絶対に折れません! ぜひ安心して、これからのチーム8を見守ってほしいですね。

──心配するより、47人が揃う瞬間を心待ちにしていろ! と。

岡部 だってみなさん、その光景が見たくて応援しくれているんでしょ(笑)?

── 頼もしいお言葉です!

(取材・文/田口俊輔)
▽岡部麟(おかべ・りん)
1996年11月7日生まれ、茨城県出身。AKB48チーム8、チームAキャプテン兼任。
ニックネームは「べりん」。2014年4月3日にチーム8の茨城県代表としてお披露目。AKB48の50thシングル『11月のアンクレット』で初選抜。2018年春からはチームAキャプテンとしても活動。2019年1月17日にはTDCホールにて初のソロコンサートを開催。
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