【写真】切なくて心に響くストーリー展開に注目の『トキコイ』第5話【10点】
後輩の広瀬(西垣匠)から、LINEで愛の告白を受けてしまう廻(吉岡里帆)。
相手に送ったメッセージを削除するには、送信取り消しの機能(ただし、送ってから24時間以内)を使わなくてはいけないのは、LINEの超基本。どうやら廻は、それを知らなかった様子。だが彼女はこのミスをきっかけにして、「削除はされても、想いは伝わる」という結論にたどり着き、それが今回のエピソードの伏線となる。(以下、放送されたドラマのネタバレを含みます)
第5話の違法タイムトラベラーとして登場するのは、30年後からやって来た矢野。演じるのは、元キングオブコメディ今野浩喜である。ラランドのニシダといい、3時のヒロインの福田麻貴といい、このドラマってお笑い芸人のゲスト出演率が高くないですか(そもそもタイムパトロール隊員の一人がシソンヌのじろうだし)。
妻の美郷を演じるのはシンガーソングライターの安藤裕子。もともと俳優業をやっていただけあって、演技がメチャうまであることは、先月公開されたばかりの映画『キリエのうた』でも証明済み。『時をかけるな、恋人たち』は、毎回出演するゲスト俳優がツボすぎる。
矢野はバス事故で亡くなってしまった妻に会うために、30年前にタイムトラベルしていた。もちろん、歴史への干渉は許されない。翔(永山瑛太)のとりなしもあって、彼女とよく行っていたというレストランで食事することだけは許されるのだが、廻と翔が駆け落ちするのしないのという会話をしている間に、姿をくらましてしまう。きっと彼は、妻がバスに乗り込むことを阻止しようとするはず。歴史が改変されてしまう大ピンチだ。タイムパトロール隊は厳戒態勢を敷いて、矢野の行方を追う。
案の定、事故当日に美郷の前に姿を現した矢野は、タイムパトロール隊によって取り押さえられてしまう。そして記憶を消され、30年後の未来に送り返されてしまった。一件落着ではあるのだが、廻はどうしても納得がいかない。
彼女は30年後にタイムトラベルして矢野を現代に連れ戻し、LINEで妻に謝罪のメッセージを送る。そして彼女からの優しいメッセージを受け取る。辻褄を合わせるために、せっかく届いたメッセージは削除しなくてはいけない。
「削除はされても、想いは伝わる」。運命の残酷さ、時間の流れの中での人間の無力さがつたわる、実に感傷的なエピソードだ。そしてタイムパトロールの任期が迫り、記憶が消されてしまう直前になって、廻と翔と駆け落ちすることを決意する。えっ、このドラマって未来からやってきた違法トラベラーを取り締まるだけの話じゃなかったんですか。むしろ、ここからがこのドラマの本番なのですか。
【あわせて読む】『時をかけるな、恋人たち』が描いた時空を超えても「忘れない愛の形」と「忘れる愛の辛さ」